116/132 (2/6)
僕はルークと二人で全勢力共通で用意された控室へ向かい、そこに設置されたスクリーンから試合を観戦した。
通常の観戦席は全て埋まっており、闘技場内に収まりきらない観客は至るところに設置されたスクリーンを通して試合を観戦しているようだ。観客は皇国以外の勢力からも押しかけており、この大会が世界中で非常に大きく注目されていることが分かる。
「一戦目は知らねえ奴らだな。パールの方はお前の仲間か。どんな奴なんだ?」
「教団の力を持っていて、攻撃を反射する盾を召喚できる。多分彼女の盾を正面から突破することは君にさえできないと思うよ」
「ほう。もう一方の白狼って奴は?」
「そっちは僕もあまりよく知らないけれど、第二期教団の力を持っていた筈だよ。一人でカオスの術は使えないだろうから、教団の力を主に扱うんじゃないかな」
「なるほど。一対一だとカオスってだけで不利に聞こえるな。女王はどういうつもりなんだ?」
「ああ、確かに。不利を飲んで参加してるってことだよね」
「いや、そもそもこの大会自体が女王の提案って聞いたぜ?一勢力を率いる人間ってのは、何考えてんのか分からねえな」
「それ、ブラッドのことも言ってる?」
「当たり前だろ。あれだけブラッドのために動いていた奴が、仲間を殺しまくって追放されたんだぜ?こっちは必至に皇国の相手してるってのに、意味わかんねえよ」
「ブラッド戦闘員の立場からするとそうかもね。あ、始まるよ」
アーティアと白狼の試合は両者が教団の力を開放するところから始まった。序盤は白狼がスピードでアーティアの盾をかいくぐり優位に立ち回ったが、アーティアが得意とする氷雷の魔法詠唱を完了すると、そこからは凍結と痺れで白狼から機動力を奪い、一気に攻め立て決着をつけた。
一回戦第一試合はアーティアの勝利。負傷した彼女はパール医療班からすぐに治療を受け、三日目の先鋒戦決勝に備えることになる。
一戦目を終え、ルークが口を開いた。
「見ろよ、結局血の差だ。能力の相性なら白狼が優位だった」
「結果的にはそうだね。でも、これでパールは一勝目だ」
「次は……ベルクと第五席か。第五席は所有者だったか?」
「いや、違う筈だよ。皇国流格闘術と二刀流剣術の複合だったと思う」
「なんだそりゃ。強えのか?」
「もちろん強いとは思うけど……そのやり方で第五席まで上り詰めたわけだから。それより、ブラッドの方が驚いたよ。ベルクさんを先鋒に持ってくるなんて」
「そうか?分かりやすい話、実力順だ。中堅のアイカはお前の妹だろ?あいつは戦闘力で言えば今のルインブラッドでトップだぜ?」
「そうなんだ……。強くなったんだね」
「そろそろ始まるぞ。教団無し、純粋な血の試合だ」
一回戦二試合目は長期戦となった。受けたダメージをブラッドの力で再生するベルクに対し、第五席も高いレベルで気力を操りダメージを受け流していた。第五席は二刀流剣術を主体に立ち回り、終盤で皇国流格闘術を解禁。最後は破空で試合を制した。
ロダもこの試合をどこかで見ているのだろうか。彼が第十二席を退いたという話は今のところ耳にしていない。彼が今も一人の剣士として第五席の元で動いているとしたら、今この勝利に誰よりも喜んでいる筈だ。




