114/132 (11/11)
勢力合同闘技大会までの期間、僕はアーティアの宮殿で過ごした。毎日彼女と戦闘訓練を重ね、僕は彼女の魔法を、彼女は僕の剣術や体術を学んだ。
ある日、剣戟で彼女が僕の木刀を弾き飛ばしたとき、彼女の剣の腕が明確に僕を超えたことを悟った。
「降参です。凄い上達ですね。こんなに早く負けるなんて」
「ふぅ……剣はこんなものでしょう。あとは例の技です。あの技の対抗策を考えなければ、貴方を超えられません。さあ、ここからは能力を使って訓練しますよ」
「それは明日からにしましょう。今日はもう日が暮れます」
「……それもそうですね。では汗を流しに行きましょうか」
僕は飛ばされた木刀を拾い、それを近くに待機していたメイドの一人に手渡す。アーティアも自分の木刀をメイドに預け、身に着けていた訓練着の鎧も一部を取り外した。
「アラン……今更ですが、私は貴方を合同大会の参加者に指名したことを、少し後悔しています」
「えっ、そうですか……。やっぱり僕では頼りないですかね……」
「はい、貴方では頼りないです。剣の腕だけを見れば確かに一流かと思います。しかし、貴方の剣には相手を倒そうという意思がまるで無い。筋力もなく、振りも軽く、技能だけが先行した見た目だけの剣術です」
「そうかもしれません……」
「貴方、人間相手に真っ当な戦闘をして勝ったことがありますか?前回のような大会での試合も含めて」
「そ、それは……」
「私たちは偶然にも一回戦で当たりましたが、もし相手が別の方だったとしても、貴方は負けていたのではないですか?」
「どうでしょう……。分かりません……」
アーティアは僕の目を見ると、僕の頬に手を当てて優しく微笑んだ。
「悪いことではないと思います。暫くの間貴方と過ごして、貴方のことを少しだけ理解できました」
「えっ……」
「合同大会では貴方の分まで私が勝ちます。貴方は安心して今まで通りの戦いをしなさい」
合同大会の日が近づき、各勢力の参加者も全員が出揃った。皇国からは皇国騎士の第一席、第二席、第五席の三名。ブラッドからはルーク、ベルク、アイカの三名。カオスからは女王、蒼炎、白狼の三名。パールからはサカズキ、アーティア、アランの三名だ。
最も予想外だったのは皇国の第五席。確かロダが仕えていた金獅子のラドという男だが、第三席第四席を差し置いて選ばれたようだ。
ブラッドのアイカも少し驚いた。唯一のルインブラッドとして、赤髪やアヤを差し置いて選ばれている。きっと彼女の成長と、ルインブラッドでの活躍の証だろう。以前のブラッドの体では、彼女の幽閉期間に僕が皇国へ行ってしまい、結局それ以降は一度も会えていない。今度の大会では再開できるだろうか。再開できたとして、彼女はパールの僕に対して何を思うのだろうか。
そして大会当日、僕はサカズキ、アーティアの二人と共に、開催場所である皇国王都にある世界最大の闘技場ヘと向かった。
闘技場の前まで来ると、アーティアが真剣な表情で緊張感を漂わせる中、サカズキは笑顔で僕たちに声をかける。
「さて、いよいよだね。パールの戦力を世界に見せつけよう。勝つよ、二人とも」
彼の言葉に僕とアーティアは頷き、そして三人で闘技場内へと足を踏み入れた。




