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翌日、僕はこの日もカオス領の城の一室で目覚めた。
結局僕が何者であるかは分からないままだ。カオスとブラッド両方に存在した二つの体、この間にはメアという女性による繋がりがあったようだが、真相は彼女からの手紙の返事を待つしかない。
『記憶の整理はつきましたか?』
整理はついたよ。やっぱり両方の記憶がある。僕がカオス領で一度死んだとき……君はあの日のことを覚えてる?
『あまり詳しくは……。森で異形の者に襲われたことは覚えていますが、実際に命を落としたところまでは……』
そうか……もしかしたら、魔物の方にも何かあるかもしれない。あんな姿の魔物は図鑑でも見たことはないし、特別な力があったとも考えられる。
『いえ、あれは魔物ではなく……』
不意に部屋のドアを叩く音がして、僕は脳内での会話を区切った。返事をすると黒い服の女性が中へ入ってきて、彼女は笑顔で口を開く。
「おはようございます、アランさん。朝食の用意ができていますよ」
「おはようございます。すみません、毎日……」
「いえ、気にしないでください。それより昨日はどうでしたか?少し遠出したと聞きましたが」
「はい……色々なことを思い出しました。僕は昔カオス領に居た時期があったみたいで……」
「えっ!そうなんですか?もしかして、その時に蒼炎様とお知り合いに?」
「そうですね……。彼は僕のことをずっと覚えていてくれて……思い出せてよかったです。本当に、カオス領へ来られて良かった……」
僕が朝食の席に着くと、そこには青いローブの男、蒼炎の姿があった。
彼は僕の方を向いて口を開く。
「起きたか、アラン。手紙は昨日出しておいた」
「ありがとうございます。返事は来るでしょうか……」
「どうだろうな……リヴィ様には来るだろうが、私には分からん」
「リヴィ様というのは?」
「私と共に行動していた、黒い鎧の少女だ。手紙を出す際には彼女の言葉も添えている。それに対しては毎回返事が届くのだが、私に対しては気まぐれだ」
「そうなんですね……」
「それで、今後のことは決めたか?」
「いえ、まだ……。僕が決めていいんですか?」
「もちろんだ。ブラッドへ帰還し再びカオスと対峙するというのであれば、今ここで私が相手になるだけだが」
「ブラッドへ帰還するには、カオスと対峙するしかないのでしょうか……」
「今はな。戦争が続く限り、戦うしかないだろう」
「それなら、早く戦争を終わらせたいです。僕にできることはありませんか?」
「できること?戦地へ仲裁にでも行く気か?お前の力ではどうにもならんだろう」
「ですよね……」
「終戦を待つしかない。私の考えでは、それはど長引くこともないからな」
「どうしてですか?」
「我々が既に退いているからだ。これほど早い段階での撤退は、カオスの王も想定していないだろう」
「ですが、怪我が治れば貴方はまた戦地へ向かうのですよね?」
「いや、恐らくその指示は出ない」
「え、どうして……」
「王は既に戦地へ向かった。城に居る我々に指示を出せるような状況ではない。そして、撃化する戦闘の中で王は生き残れない。王が亡くなれば、その後を継ぐのはリヴィ様だ。彼女は戦争の継続ではなく、和解交渉へ移ることを選ぶ」
「じゃあ、彼女自身はあまり戦争を望んでいないんですね」
「それはどうだろうな。彼女が内に秘める想いは時に凶悪だ。女王に即位したとき、カオスをどう導くかは私にも分からない」
「そうですか……。戦争が長引かないのなら、少し待ってみようと思います。何か手伝えることがあれば言ってください。何もせずに居るのも申し訳ないですから」
「それならば一度教会へ向かおう。周辺の情報が集まっている」




