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その日は王都の宿に泊まり、翌日も僕は王に呼ばれ城へ向かった。
王は城の一室に僕を招くと、その場で封筒を手渡す。
「君にプレゼントだ。喜んでもらえるといいけど」
「ありがとうございます……。これ、招待状ですか?」
「うん、パールでは最大の闘技大会になる。本来はギルドを通して招待するんだけど、君は所属がないからね。それと、今回は次の大会の選考を兼ねることにもなってる」
「選考……?パールで最大の大会なのに、その先があるんですか?」
「今回に限ってね。実は、四勢力合同の闘技大会が開催されることになったんだ。その出場者を、今回の大会で決めることになる」
「合同……!?そんな話が……」
「出場枠は各勢力三人だから、一人は大会の優勝者、もう一人は優勝者による指名で決めようと思ってる。残りの一枠は僕自身だ。とても重要な大会になるからね、見てるだけじゃいられない」
「ご自身も参加されるんですね……。大会の目的はなんでしょうか」
「人類の結託と各勢力の立場を決めること。初めての試みになるけど、僕はこれが平和の祭典になることを願っているよ」
それから暫く僕は王都に滞在し、王からの依頼を受ける日々を送った。魔物との戦闘の中で自身の戦い方を見出し、三番目の能力にも慣れてきた頃、パール最大の闘技大会はもう目前に迫っていた。
その日王の元へ行くと、彼は深刻な表情で口を開く。
「アラン、Sランクの魔物の情報が届いた。君の故郷の街の近くで目撃されたみたいだ」
「Sランク……。街の人たちは無事ですか?」
「すぐに避難を始めるよう勧告してある。ギルドの人も含めて、全員ね」
「そうですか……。僕に行かせてください。この力を試します」
「頼もしいね。僕も一緒に行くよ。君と二人でなら討伐できるかもしれない」
王と二人で僕の故郷の街へ向かうと、既に魔物による被害を受け混乱状態にあった。地面はしきりに揺れていて、耐えきれなくなった建物が倒壊していく。その瓦礫の山を飲み込むように、地中から巨大な蛇の頭が顔を出した。
昔図鑑で見たことのある姿、アポピスだ。
前方から怪我を負った一人の少女が走ってきて、彼女は僕を見て口を開いた。
「アラン!?何してるの!?早く逃げ……」
僕が片方の瞳に赤い輝きを宿すと、それを見た彼女、リリアの言葉は途切れた。更にもう片方の瞳に黒い輝きが宿ると、彼女は完全に言葉を失う。
そして、その黒い瞳が更に輝きを増すと、召喚された黒い剣を持つ腕が黒い甲殻を纏い、魔人の腕へと変化していく。
同色二教団単眼開放。イコルとルドラではできなかった手法だが、同じ色であれば同じ目で同時に開放できることが分かった。統括から譲り受けた能力とブラッドで得たルドラの力は両方が黒の輝きを宿すため、片方の目だけで二つの力を開放できる。これが僕の新しいスタイル、三教団同時開放だ。
「リリア、僕は大丈夫」
「あ……貴方、本当にアランなの……?」
僕は彼女に笑顔で頷くと、すぐに魔物の方に向き直る。
魔物は再び地中に潜ろうとしていたが、その動きは急激に鈍くなった。隣ではパールの王が教団の力を開放していて、彼の能力により魔物の動きを鈍らせているようだ。
僕が黒い剣を掲げると、剣を通して黒く濁った膨大な魔力が宙に放たれ、それらは無数の細い線のように形状を変え上空へとのびていく。やがて魔力の線が一点で交わり対象への道を示したとき、僕はもう片方の腕を前方に向けた。僕の腕の動きに合わせ、凝縮された混沌の魔力は綺麗な直線を描き、目標へ向かって一列に並べられていく。
混沌一列。血を魔力に置き換えることで完成させた、パールの僕のための技だ。




