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女王の束ねた混沌  作者: GGGolem
12/15 パール編
107/132

107/132 (4/11)

 後日、皇国カオスブラッドによる戦争終結の知らせが届いた。結果は皇国の勝利。カオスブラッド連合軍は目的を果たせずに撤退したようだ。


 それから暫くの月日が流れ、ある日僕は王との接見を試みるため、一人パールの王都へと向かう。


 馬車に乗り王都に到着すると、中心部に建つ城を訪れた。門番の兵士にアランという名を告げ、王に接見できないか尋ねると、暫くして僕は王の元へと通された。


 その男、パールの王サカズキの前に立つと、彼は僕に笑顔を向ける。


「まさか君と再会できるとはね。戦死の報告を受けていたから、驚いたよ。誤報を聞かされたのかな?」


「いえ、僕は確かに死にました。ですが、その後パールにあった別の体に意識が移ったみたいで……」


「別の体……?あまりピンとこないな……。外見は以前会った君にそっくりだし、力も健在に見えるけど」


「教団の力はブラッドの頃の体から受け継いでいます。違うのは体に流れる血……今の僕は、パールの人間です」


「つまり、今君が操っているその体は、ずっとパールで生きていたということ?ブラッドの君が死んで、その意識と教団の力が引き継がれたと……。記憶はどうなってるの?」


「両方の記憶があります。ブラッドで戦闘員として過ごし、潜入していた皇国で戦死したこと……それから、パールで戦闘員を志し、部隊を除名になるまでの記憶も……」


「除名って、君が?」


「はい。パールの僕はあまり戦闘の才能が無かったようです。所属していた部隊の方々にも凄く迷惑をかけてしまって……」


「なるほど……。君の状況は分かったよ。もちろん理解はし難いけどね。その体について何か心当たりは?」


「分かりません……。ただ、僕には親がいないので、それが関係しているとは思います。恐らく普通の人間ではないのでしょう……」


「そうか。今の僕の気持ちを正直に言うとしたら、君がパールに居ることはとても嬉しい。部隊をクビになったのならそれも丁度良かったよ。もし時間があるのなら、少しの間僕からの依頼を受けてくれないかな?」


「もちろんです。僕にできることがあれば」


「助かるよ。それで、ここへ来たのは戦争についての情報が目的かな?」


「はい、陛下であればご存じのことも多いと思いまして……」


「そうだね、把握はしてるよ。終戦後に何度も勢力間で会談を行っているから。今回の戦争で、カオスブラッドの作戦は完全に裏目に出たらしい。皇国で開催される闘技大会当日に侵攻開始することで、主力の消耗を狙ったみたいだけど、皇国はそれを予期して部隊を国境に配置していた。それで全部返り討ちってわけだね」


「そうですか……。僕以外の戦死者で聞いているのは?」


「それならリストがある。ちょっと待ってて」


 王は少しの間席を外し、戦死者のリストが記された紙を持ってきて僕に手渡した。恐る恐る上から順に見ていていったが、知っている名前は一つも無く安堵する。


「ありがとうございます。知り合いは居ませんでした」


「それは良かった。ただ、少しだけ続きがあってね。この戦争は単に皇国が勝っただけでは終わらなかったんだ」


「続き、ですか……」


「カオスの軍に対して皇国騎士の第一席が配置されたみたいなんだけど、カオスはそれを見てすぐに撤退したんだ。女王の判断だろうけど、そのおかげでカオスからはほとんど戦死者は出ていない。対してブラッドは、前の戦争で皇国領となった区域に執着し、そこだけでも取り返そうと粘った。結果ブラッドからは大勢の死者が出て、カオスの早期撤退を知った一部の戦闘員が暴動を起こした」


「暴動……?」


「ブラッドの戦闘員はあまりまとまりがなかったみたいだよ。統括の指示が行き届かず、軍として機能していなかったんだ。暴動を起こした戦闘員は同盟を組んでいた筈のカオス領を攻撃し始めて……それで、カオスでは非戦闘員だった人々まで犠牲になってしまった」


「そんな……。それからどうなったんですか?」


「ブラッド統括のアスラが自ら出向いてその暴動を止めたんだけど……良くなかったのは、皆殺しにしたことだ。アスラは指示に背いた全員をその場で殺してしまった。これがブラッド内で問題になり、アスラは追放、今はベルクが統括の座を継いでいる」


「統括が追放……。ちょっと、信じられません……。そもそもどうして皆殺しにする必要が……」


「それなら本人に聞いてみるかい?」


「えっ……」


「ブラッドを追放されたアスラは、今僕がこの城でかくまってる。ついてきて。彼の部屋へ案内するよ」

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