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ロダに体の中心を貫かれ、そこから噴き出す血を眺めていると、ロダはすかさず頭部への追撃を放った。僕はこれを避けようとしたが、剣は仮面をかすめていき、仮面が外れて床に落ちた。
基本的に僕の体には斬撃が効かない。剣を突き立てられれば、そこから流れた血が瞬時に硬化し攻撃を弾くからだ。しかし、今の技は僕の体を完全に貫いた。ルークの扱う破空と同じように、物理的な硬さが無視されたみたいだ。
体の穴はすぐに再生して塞がり、それを見てロダは口元に苦い笑みを浮かべる。
「ブラッドと戦うのは初めてだけど……その再生、なんかずるいね……。弱点は心臓か頭部、それと炎や打撃だっけ……」
「皇国ではそういうのも習うの?」
「まあね……。昔対ブラッド用の講義を受けたよ……。カオスやパールについての講義もあったかな……」
「そうなんだ。今のは皇国流?剣術があるなんて知らなかった」
「ああ……まだ未完成だけどね……。でも、今のは最初の技として採用してもいいかな……。君のは?その目、能力者の証だろ?銀の血はずっと気になっていたけど、それが君の能力?」
「いや、僕の能力は単にブラッドの力を強くするだけだよ。普通の戦闘員は、こんな風に床全体を血で満たせるほど増幅できない」
「じゃあ、その銀の血は……」
「色々あって……まともじゃないんだ。僕は」
「そうか……君も、苦労してきたんだね……。もっと別の形で出会えたら、いい友人になれたかもしれない……」
「本当に、僕もそう思うよ……」
「さて、それじゃあ……。ここからは、殺すか殺されるかだ」
「ああ、いや……本当に申し訳ないんだけど、僕はまだ全力じゃない」
「えっ……はは……それは、笑えないな……。ようやく希望が見えたと思ったのに……」
「悪いね……君がどれほど成長しても、たぶん僕には届かないよ。その皇国流を今ここで完成させても、その更に先の技術を身につけたとしても、僕に勝つことはできないと思う」
「そこまで言うのか……凄い自信だ……。じゃあ、見せてもらってもいいかな?君の全力を」
「命を奪うことになる」
「構わないさ。僕だって、君を殺す気で立ち向かうから」
「分かった……後悔しないでよ」
僕はルドラの力を開放し、召喚された黒色の剣を床に突き刺す。床に広がっていた血が黒く淀み不気味に蠢くと、血の沼から無数の線が上空へ向かって放たれ城の天井を突き破っていく。
「な……なんだよそれ……。能力が、二つ……?」
「行くよ、ロダ。これが僕の全力だ」
何度か使ってみて思ったが、これは人間相手に撃つような技じゃない。Aランクの魔物ですら一撃で葬る、あまりに殺傷能力の高い技だ。ルークはたまたま生き延びたけど、彼が異常だっただけで、これを受けて死なない人間はそういない。それでもロダに退く気がなく、僕の全力が見たいというのなら、その希望通りにしようと思う。
僕が両腕を前方に向けると、内に宿る強大な力がそれに応じる。混沌一列。その一撃はロダの体を城壁ごと貫き、この場にあったあらゆる物を僕の視界から消し去った。




