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魔王少年アスラ  作者: バーチ君
オスマイ帝国
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オルセン王国のフィリップ王子

 オレ達は盗賊が出るという街道沿いに舞い降りた。そこから盗賊を探しながら、次の街プエリまで行くつもりだ。



「ミコト。最初は魔力感知よ。」


「どうすればいいんだ?」


「自分の魔力はわかるわよね?その魔力を薄く広げていく感覚よ。」



 ミコトが歩きながら静かになった。どうやら魔力感知を実践しているようだ。オレの魔力感知では、すでに盗賊達が森の中にいるのがわかっている。果たしてミコトにわかるだろうか。



「リン。赤い点のようなものがあるんだが、これはなんだ?」


「大きさは?」


「結構小さいぞ!」


「それが盗賊達よ。その赤い点が大きくなればなるほど強力な魔力を持った存在ってことよ。」


「そうなのか?なら、ここから西の方向だ。急がないと。」


「大丈夫よ。みんなもうわかってるから。」


「そうなのか。」



 ミコトはオレ達との実力差を知って少し気を落としているようだった。



「ミコト。お前の剣をちょっと見せてくれ。」


「いいけど。どうしたんだ?」



 オレ達は一旦立ち止まった。そしてミコトが聖剣リジルを手渡してきた。オレはそれを手に取ってゆっくり魔力を流していく。すると、リジルの表面の曇りがどんどん取れて眩しい光を放ち始めた。



「何をしたんだ?アスラ!」


「お前のその剣は聖剣リジルだろ!でも、あれだけボロボロだとリジルが可愛そうだからさ。」



 ミコトがリジルを握ると眩しい光がどんどん弱くなっていく。だが、以前に比べて曇りは取れてかなり切れ味の鋭い剣になった。



「お前にはまだその剣を使いこなすだけの力がないんだ。訓練しないとな。」


「アスラの言う通りよ。聖剣って言ったって、使う人間が凡人なら剣も平凡なものになるのよ。」


「わかった。この剣の主人にふさわしい人間になってやるさ。」



 森の中に入っていくと盗賊のアジトらしき屋敷が見えてきた。



「30人はいるわね。」


「ああ、ここにはな。ここから少し離れた場所にもいるから50人程度だと思うぞ!」


「どうするんだ?」


「最初は様子を見るさ。」



屋敷の外にいる盗賊達を見ると、オレの知っている盗賊達と雰囲気も服装も違っている。

むしろ訓練された兵士のようだ。



「彼らは本当に盗賊なのか?」


「どういうことだ?アスラ。」


「彼らの様子を見ていると兵士のように思えるんだけど。」


「そうね。確かに盗賊には見えないわよね。」


「よし!決めた!正々堂々と正面から行くぞ!」


「アスラ!何言ってるんだ?相手は50人以上いるんだぞ!」


「だから何なんだ。50人程度しかいないんだろ。余裕じゃないか。それより、リン、マロン分かってるな。」


「何がだ?私にも説明してくれ!」


「だ・か・ら~!殺すなってことよ!」


「なんだと~!殺さないように50人の相手をするだと?不可能だ!」


「ああ、そうさ。不安ならここで待ってていいぞ。ミコト。」


「見損なうな。私だって行くに決まってるだろ!」

 


 オレ達4人は堂々と屋敷に向かって歩いていった。すると、屋敷の外にいた者達が気が付いて大声を出した。



「敵襲だ!敵が来たぞ!」



 屋敷の中からもぞろぞろと人が出てくる。全員が手に武器を持っていた。そして左右の木の上には数人の男達が弓矢を持って構えていた。



「お前達は何者だ?」


「オレ達は冒険者ギルドに依頼されたのさ。」


「なんだと~!俺達を討伐に来たのか?その人数で。」


「まあね。話によってはそうなるかな。」


「ふざけるな!そんな人数で何ができる!」


「別にふざけてなんかないさ。ただ、その前に話が聞きたくてね。」


「問答無用だ!帝国の犬め!」



 男が手を下に下げるとオレ達に向けて矢が放たれた。



「マロン!」


「うん!」



 マロンがジャンプしてその矢をことごとく打ち払う。すると今度は前にいた男達が剣を抜いてやってきた。すると今度はリンが魔法を唱えた。



「面倒よね~。地面にひれ伏せ!『グラビティー』」



 こっちに斬りかかってきた男達が全員地面に叩きつけられた。



ドテッ グホッ



「き、き、貴様ら!人間なのか!」


「さあ、どうかな。それよりそこにいる人がリーダーなんだろ!どうするんだ?」



 すると一番後ろにいた若者が前に出た。



「フィリップ様。おやめください!」


「そうか~。フィリップっていうのか~。それでどうするんだ?」


「彼らの命は助けてくれ。その代わり俺の命をやろう。それで文句はあるまい。」


「別にあんたの命をもらっても仕方ないし、オレ達は人殺しをするために来たわけじゃないからさ。」


「そうか。」


「みんな武器を下ろせ!この人達は敵ではなさそうだ。」



 全員が武器をしまった。どうやらこの人達は盗賊ではないようだ。何か事情があるのだろう。



「リン。もういいよ。」


「わかったわ。」



 リンが魔法を解除した。自由になった男達は剣をしまった後も、フィリップを守るように周りに集まる。



「話を聞かせて欲しんだけど。いいかな?」


「ああ。わかった。屋敷に来てくれ。」



 オレ達が屋敷に入るとどうやら作戦会議をしていた様だ。大きなテーブルの上には地図が広げられていた。



「俺はオルセン王国の第1王子フィリップだ。」



 するとミコトが言った。



「オルセン王国は数年前に帝国に滅ぼされた国じゃないのか。」


「ああ、そうさ。ここから数キロ先の街ガルロからが我が国の領土だったんだ。だがある日、帝国の奴らが突然攻め込んできて我が国を占領したんだ。我が国の隣にあったランダ王国も属国にされたようだしな。」


「なるほど、それで帝国に反旗を翻そうとしていたのか?」


「そうさ。我が祖国の復興のためだ。それに帝国に占領されて民達は重税に苦しめられているんだ。俺は帝国から領民を救わねばならん。」



 するとリンが不思議そうに言った。



「おかしいわね~。私達が通ってきた街じゃ人々はみんな幸せそうだったわよ。」


「お店もたくさんあった!」


「ああ、そうだな。最初から帝国だった街はな。だが、俺達のように征服されたり属国にされた街の人々は苦しんでいるんだ。俺達から奪った金であいつらは贅沢三昧なのさ。それに、新たに軍備も増強しているようだしな。」


「何のためだ?」


「そんなことわかるだろ?ナデシア聖教国やスチュワート王国に攻め入るためさ。他の国々は、オルセン王国やランダ王国のような小国とはわけが違うからな。」



 だんだんオレの怒りが燃え上がってきた。


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