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魔王少年アスラ  作者: バーチ君
オスマイ帝国
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オスマイ帝国の街ジェリア

 旧辺境伯領を出発したオレ達は帝国との国境まで来た。スチュワート国側の検問はそのまま通れたが、オスマイ帝国側の検問であれこれと聞かれた。最終的には冒険者が旅をしているということで納得してもらえた。やはり、Sランクというのは便利なものだ。



「あの兵士達、結構しつこかったわよね。」


「スパイだと思われたんじゃないかな?」


「どこのスパイ?」


「オスマイ帝国は世界中の国と仲が悪いから、どこのスパイとかじゃなくて、他国からの人間をみんな疑ってるんじゃないか。」


「ふ~ん。スパイってなんかカッコいい!私、スパイやりたい!」


「ダメだよ。マロン。普通が一番なんだから。」



 10数年前の事件以来、帝国はスチュワート王国とのパイプが途絶え、かなりスチュワート王国を警戒するようになったらしい。その結果、商人の交流もほとんどなくなり、帝国は全ての作物や商品を自給しているようだ。



「アスラ!あれって街じゃない?」


「ああ、寄っていこうか?」


「うん。」



 オレ達はオスマイ帝国の最初の街ジェリアによることにした。ジェリアの街は結構標高が高い場所にある。だからかもしれない。空気が澄んでいておいしく感じた。街の中に入ってみると、あまり店はない。どうやら自給自足しているようだ。



「この街って本当にお店がないよね~。」


「そうだよな~。」


「アスラ兄。宿はある?」


「そうか~!リン。マロン。宿屋を探すぞ!」



 オレ達は街中を歩いて宿屋と冒険者ギルドを探した。すると、街の一番外れに冒険者ギルドがあった。中に入ると、他の国のギルドと様子が違っていた。



「ちょっと聞いていいですか?」


「あら、可愛い坊やね。なにか用?」


「この街に宿屋はないんですか?」


「ああ、宿屋ね。ここが宿屋にもなっているのよ。良かったら泊まる?」


「お願いします。」



 どうやら、この街では冒険者ギルドが宿屋を経営しているようだ。オレ達はお金を払って部屋に行った。当然部屋は1部屋だ。部屋には普通の大きさのベッドが一つしかない。



「なあ、リン。今回は3部屋借りようぜ!」


「ダメよ。無駄遣いは!」


「無駄遣い禁止!」



 夕食まで時間があったので街を散策することにした。街のいたるところに畑がある。果樹園らしき場所もあった。でも、この高地でどうやって畑や果樹園に水を撒いているのだろうか。



「リン。この街じゃあ、どうやって畑に水を撒いてるんだ?」


「知らないわよ。」


「アスラ兄。あれ。」



 マロンが指さしたのは井戸だ。確かに人々が頻繁に水を汲みに来ている。



「ああ、井戸か。でも、井戸水だけで畑の水を賄えるのかな~。」



するとベンチに座っていた老人が声をかけてきた。



「井戸水だけじゃ無理じゃよ。」


「じゃあ、どうするんですか?」


「お前さん達はどこから来たんじゃ。」


「はい。スチュワート王国からです。」


「そうか。なら知らんでも仕方がないの~。この街の中心にウンディーネ様が祭られておるんじゃ。ウンディーネ様が井戸が枯れないようにしてくれておるんじゃ。それに水が少ないときには雨を降らしてくれるんじゃよ。すべてウンディーネ様のお陰なんじゃ。」



 確かにウンディーネは水の大精霊だ。十分あり得る話だ。街を散策すると。井戸が東西南北の4か所にあった。それぞれから水を汲んでいるのだろう。そして、オレ達は宿屋に帰り食事をした後、狭いベッドに3人で寝た。翌朝、窓の外から聞こえる人々の怒鳴り声で目が覚めた。



「お前ら北の者達が水を使いすぎたのが原因だろ!」


「ふざけるな!俺達はいつもの通りにしか使っちゃいないぞ!」


「なら、東か西の奴らが水を大量に使ったに違いねぇ。」


「だったら、俺達のせいじゃねぇだろうが!」



 どうやら南側の井戸の水が出なくなったらしい。



「アスラ。気にすることはないわよ。水の流れが少し変化しただけよ。すぐにまた戻るわ。」


「ならいいけどさ。」



 オレ達が食事をしようと1階の食堂に行くと受付の女性がいた。どうやら、この女性が宿の店主をしながらギルドの受付から買い取り、さらにはギルドマスターをすべて行っているようだ。



「あなた達、Sランクなのよね。」


「ええ、まあ。」


「ならお願いがあるんだけどさ。この道を下って行ったところに森があるのよ。どうやらそこに魔物が住み着いたようなの。討伐に行ってくれないかな~。」


「他の冒険者達はダメなんですか?」


「あいつらを見ればわかるだろ!あいつらなんか束になったってオーク1匹がいいとこだね。」


「わかりました。」


「そうか。言ってくれるか?ありがとうな。報酬は弾むからな。」



 オレ達はギルドの前の道を下って森に行った。森の中を探したが魔物の姿はない。ただ、ところどころに地面に穴が開いていた。その周りにはゴブリンやボアの死体が転がっている。



「リン。いないな~。魔物って何なんだろうな?」


「この穴にでも隠れてるんじゃないの?」


「あたしが行こうか?」


「やめとけ。何がいるかわからないだろ!」


「わかった。」



 その日は魔物の姿が見当たらなかったとギルドに報告した。そして翌朝、また人々が騒いでいる。



「どうなっちまってるんだ!南の井戸だけじゃねぇ。東の井戸も西の井戸も水が枯れちまったんだぞ!やっぱりお前達のせいじゃないのか!」


「俺達は普段通りしか使ってねぇよ。」


「じゃあ、どうしちまったんだ~。もしかしたらウンディーネ様が機嫌を損ねちまったんじゃねぇのか?」


「そうかもしれねぇな。お供え物をケチったりしていたからだぞ!」


「俺のせいか?!」



 どうやら、この村の井戸がほとんど枯れてしまったようだ。こうなると畑の作物は育たない。



「アスラ。やっぱりあの穴が怪しいわよ。」


「でも、どんな魔物なんだ?」


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