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魔王少年アスラ  作者: バーチ君
オスマイ帝国
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アデル!代官になる!

 シュバルツ達がアデルを説得していると、代官であるアントニー男爵の軍勢が集落の手前まで来た。



「武器を捨てて降伏せよ!そうすれば命だけは助けてやる。ただし、ロベルト辺境伯の息子のアデルだけは死罪だ!」


「私が行くわ。シュバルツ!」


「そうだな。俺達が兵士達に話をしよう。」


「待て!シュバルツ!」


「任せておけ!アデル!」



 シュバルツとマリアが兵士達の前に立った。そして、大声で言った。



「私は第1王女マリアです。何事ですか?これは!アントニー男爵、説明しなさい!」


「アントニー男爵!私は侯爵のシュバルツだ。兵を引け!お前には不正を行った嫌疑がかかっているんだ!」



 すると、まさか王女と侯爵がいると思っていなかったアントニーの顔色が蒼くなった。アントニーの側近が小さな声でアントニーに囁いた。



「男爵様。こうなったら、王女と侯爵の首を手見たげに帝国に逃げるしかありますまい。」


「そのようだな。」


「皆の者!王女殿下と侯爵様がこのような場所にいるはずがない!アデルが用意した偽物だ!王女殿下の名をかたる不届き者達を打ち取れー!一人も生かしておくでない!皆殺しにせよ!」



 ここでアデルが兵士達に命じて、まさに戦いが始まろうとしていた。



「アデルさん。あんたが悪者になる必要はないさ。悪役はオレが引き受けるよ。後ろに下がってな。リン。マロン。」


「了解よ。」


「うん。」



 オレもリンもマロンも魔力を解放する。晴れていた空に黒い雲がかかり始めた。そして、オレとマロンの背中には黒い翼が、リンの背中には白い翼が出た。3人は上空に舞い上がった。アデル達もアントニー達も驚いてオレ達を見ている。



「オレは魔王だ!兵を引くがよい!代官アントニー!」


「ふざけるな!魔王は10年前に滅んだはずだ!あいつはただの魔族だ!打ち取れー!」


「馬鹿な奴だ!」



 オレは全身の魔力と闘気を高めていく。



バキバキバキ ドッカーン



 オレの身体の闘気が爆発した。辺り一体に凄まじい暴風が吹いた。馬は恐怖に怯え、アントニー達は馬から転げ落ちた。



「この世に顕現せよ!『シャドウドラゴン』」



 オレの頭の上に巨大な竜が現れ、大きな口を開けてくねくねと動いている。



「行け!シャドウドラゴン!」



 巨大な竜は代官達の方に向かって行く。



「ギャー 助けてくれー!」


「お助けをー!」



 代官の兵士達がどんどん逃げていく。代官も側近達も逃げようとしていた。



「リン!マロン!」



 リンとマロンが代官とその側近達を拘束する。



「他の兵士達はいいの?」


「あいつらには何もできないさ。後はシュバルツに任せるよ。」



 オレ達は地上に舞い降りて姿を戻した。シュバルツとマリア以外は恐怖で顔が引きつっている。



「アデルさん!オレ達は何もしませんから。大丈夫ですよ。」


「は、はい。」


「それより、こいつらをどうしますか?」



 目の前には代官のアントニーとその側近が2名いた。



「アスラ。こいつらを王都に連れて行きたいんだが、お願いできるか?」


「別にいいよ。シュバルツ、マリア。オレは政治に口出しするつもりはないけどな。ただ、この街の領民達の声を代弁させてもらうと、この街の代官はアデルさんがいいと思うぞ。」



 するとアデルが下を向いて言った。



「私はロベルト辺境伯の息子です。代官になる資格などありません。」


「アデル!お前何か忘れてないか?俺だってバッハ侯爵の息子だぞ!」


「だが、シュバルツ!お前は黒龍討伐の英雄じゃないか!」


「何が英雄なもんか。黒龍を討伐したのはアスラさ。オレはアスラに言われてとどめを刺しただけだ。そのことは国王陛下だって知ってるさ。」


「そうなのか?」



 すると、マリアが言った。



「アデル。私達に親を選ぶことはできないわ。でも、自分の生き方は選べるでしょ!シュバルツもアスラも自分の信じる道を生きているのよ。」



 オレ達は代官達を連れて一旦王城に行った。当然アデルも一緒だ。そして、王城の会議室にオレ達とシュバルツ、マリア王女、ビクトル国王、ユリウス公爵、アデルがいる。



「そなたがアデルか?」


「ハッ アデル=フランクリンです。国王陛下に置かれましては・・・・」


「よいよい。堅苦しいあいさつは抜きだ。椅子に座ってくれ。」


「ハッ」



 アデルはどこまでも固い。



「この度の件、申し訳なかった。あのものを代官に任命したのは私だ。私の不徳の致すところだ。許してくれ。」



 アデルもシュバルツもユリウス公爵も驚いている。国王が頭を下げることなどめったにないのだ。



「陛下。頭をお上げください。」


「そこでだ。どうだろう。アデル。そなたをあの街の代官にしたいのだが、引き受けてくれるか?」


「私でよろしいのでしょうか?」



 するとユリウス公爵が言った。



「あの街はもともとフランクリン辺境伯家の街だ。そなたが代官になってくれるのが適任だと思うのだが。」



 アデルがオレの顔を見た。オレは静かに頷いた。



「畏まりました、お引き受けいたします。このアデル=フランクリン。身命を賭してこの国のお役に立ちましょう。」


「左様か。ならば、アデル=フランクリン。そなたを子爵にする。よいな。」


「ハッ」



 どうやらすべてが丸く収まったようだ。オレ達はアデルを連れて再び集落へと戻った。



「アスラ殿。この度は大変お世話になった。感謝します。」


「いいえ。オレ達は何もしてませんから。なっ!リン。マロン。」


「そうね。でも、これからが大変よ。街の財政を立て直さなくっちゃならないんだから。」


「そうですね。覚悟しています。ですが、領民のためですから。」


「アデル!いい代官になる!」


「ありがとうございます。マロン殿。」


「うん。」


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