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魔王少年アスラ  作者: バーチ君
オスマイ帝国
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対策会議

 オレ達は魔力感知を発動しながら、兵士達が話をしていた裏山を探してみた。すると、かなり奥に行ったところに集落のような場所があった。高台から見下ろすと、男性だけでなく女や子どももいた。



「多分ここね。」



 オレ達は堂々と集落を訪ねると、男達が武器を持ってやって来た。



「お前達は何者だ?何しに来た?」


「オレ達旅行者で道に迷ったんですよ。」


「怪しいな。武器を全部ここに出せ。」



 オレもリンもマロンも剣を兵士達に渡した。そして、両手を後ろに縛られて集落の中でひときわ大きな屋敷に連れて行かれた。



「私はアデルと言います。あなた方は本当に旅行者なんですか?」


「ええ。本当ですよ。帝国まで行こうと思っているんです。」


「何故帝国に?」


「オレ達、グラッセ王国やフェアリー大陸にも行ってきたんです。今度は帝国や魔大陸にも行ってみたいんですよ。」


「ハッハッハッハッ 君達は自由なんだな。羨ましいな。私も君達のように世界中を旅したいもんだよ。」



 するとリンが言った。



「だったら旅すればいいじゃない。人はみんな自由なんだから。」



 するとアデルが真剣な表情になった。



「私の父は辺境伯だったんだ。だが、十数年前、帝国の策謀にかかり反乱を起こして処刑されたんだ。反乱を起こしたのだから処刑されても仕方がないさ。でも、領民達には何の罪もない。それにも関わらず、この国の国王は愚かな代官を送り込んで領民を苦しめている。私には領民を自由にする責任があるのさ。」


「それってこの国の国王は知っているんですか?」


「知っているに決まっているだろ。ここは王族の直轄地なんだから。」



 するとマロンが言った。



「代官が悪い!代官は悪人!」


「そうだね。君の言う通りだね。代官が悪いさ。しかし、その代官を任命したのは国王なんだから。国王にも責任があるだろ。」



 オレはアデルと話をしてる間、彼の身体から溢れるオーラを見ていた。彼の言葉に嘘はない。彼は純粋に領民のことを心配している。

 


「アデルさん。あまり役に立てないかもしれないけど、オレ達も協力しますよ。」



 アデルの周りにいる兵士達がアデルを見た。



「アデル様。どこのものとも分からないこの者達を信じてはなりません。もしかしたら、こいつらは代官のスパイかもしれません。」


「オレ達がスパイならとっくに逃げてますよ。」


「逃げられるわけないだろう。両手を縛られているんだから。」



 すると、リンとマロンが両手の拘束を簡単に解いた。オレも両手の拘束を解いた。



ガチャ ガサッ



 兵士達が剣を抜いてアデルを守ろうとオレ達の前に立ち塞がった。



「さっきも言いましたよね。オレ達は世界中を回っているんですよ。フェアリー大陸のアニム王国、エルフ王国、ドワーフ王国も回ってきたんです。アデルさん。オレの言葉の意味は分かりますよね?」



 人族がフェアリー大陸を旅する者は少ない。ましてやエルフ王国、ドワーフ王国を旅する者はまずいない。たどり着く前に魔物達に殺されてしまうからだ。アデルは兵士達に言った。



「お前達、剣をおさめよ!この者達は敵ではないようだ。」


「わかってもらえたようですね。」


「ああ。申し訳ない。」



 オレ達はこれからのことを話し合った。どうやら、オレ達が宿泊している宿屋の主人と女将が協力者のようだ。他にも街には何人も協力者がいる。そして、その協力者の一人が慌ててやってきた。



「アデル様。代官が兵を集めています。どうやらこの集落のことが知られたようです。」


「どうしますか?アデル様。」


「戦える男達に武装するように指示を出せ!」



 集落の中も慌ただしくなってきた。



「どうするの?アスラ。」


「この状態をマリアやシュバルツは知っているのかな~?」


「知らないんじゃない。」


「そうだよな~。あいつらが知っていれば代官の悪行を許すわけないもんな~。」


「アスラ兄。転移!」


「そうだな。お父様に話に行くか。」



 オレ達は王都ビザンツの屋敷に転移した。



「アスラちゃん。どうしたの?急に帰って来て。もう寂しくなったの?」


「違いますよ。お母様。それよりお父様はいますか?」


「もうすぐ王城から戻るわよ。」



 オレ達はお母様と一緒に居間で待つことにした。待ってる間にグラッセ王国やフェアリー大陸のとこを話した。その都度驚いていたようだが、お母様の興味は別のところにあるようだ。



「それで、この前も聞いたけど、アスラちゃんはリンちゃんとマロンちゃんの2人を妻にするつもりなの?」


「お母様!違いますから!前にも話しましたけど、オレは不老不死なんですよ。結婚なんてできませんから。」


「そうね~。愛する人が死ぬのを見てられないものね。でも、リンちゃんは天使見習いなんでしょ?なら年を取らないじゃない?それにマロンちゃんだって魔族なんだから、300歳ぐらいまでは生きるんでしょ?」


「そういう問題じゃないですから。」



 そんな話をしているとお父様が帰ってきた。そこで、旧辺境伯領の実態を説明した。



「そうか。それは由々しき事態だな。すぐに王城に向かうぞ!アスラ。準備しなさい。」


「えっ?!今からですか?」


「ああ、そうだ。それに国王陛下もユリウス殿もお前に会いたがっていたからな。」


「リンとマロンは?」


「一緒に行くに決まっているだろう。」



 オレ達はお父様と一緒に王城に向かった。応接室で待っていると、会議室に案内された。そこにはビクトル国王、ユリウス公爵、シュバルツとマリアがいた。



 オレは片膝をついて挨拶した。リンもマロンも立ったままだ。



「お初にお目にかかります。私はウイリアム侯爵の一子、アスラ=ホフマンです。」


「よいよい。アスラ!席に座ってくれ。そなたのことはシュバルツとマリアから話は聞いておる。」


「はい。」



 するとユリウス公爵が聞いてきた。



「アスラ。ウイリアム殿から話を聞いたが、辺境伯領の件は事実なのか?」


「はい。間違いありません。住民達は今の代官にかなりの反感を持っています。このままですと、再び内乱が起きます。」



 ビクトル国王が悲しそうに言った。



「そうであったか。悲しいことだ。同じ国の民が争うなどあってはならないことだ。」



 するとリンが言った。



「国王さん。ちょっといいかな~。」


「おい!リン!敬語を使え!」


「なんでよ!私はこれでも天使見習いなのよ。言いたいことは遠慮なく言うわ。国王さん。あなた今、この国の民達同士でって言ったわよね!神々はそんなことを考えてないわよ!すべての人族、すべての種族は神々がお作りになったのよ。みんな兄弟なのよ。国が違ったら戦争してもいいってこと?種族が違ったら奴隷にしていいってこと?そんなはずないでしょ!」



 国王も公爵もそれ以外の人々も返す言葉がない。それよりもリンが天使見習いと聞いて驚いている。



「リン殿。失礼した。そういうつもりで発言したわけではないのだ。許して欲しい。私もリン殿の意見に賛成しているのだ。すべての人々、すべての種族が平和に暮らす権利を持っていると考えているよ。」


「オレはビクトル国王に言った。この世界には悲しみ、怒り、苦しみ、そんな負の感情が溢れています。その負の感情が黒龍を生み出しているんです。」


「それは誠か?」


「はい。皆さんもご存じの通り、私は魔王です。私も黒龍と同じなんですよ。自分の中の悲しみ、憎しみ、怒りが溢れてしまって魔王となったのです。もしかしたら、私と黒龍は同じ存在なんじゃないかって思うこともあります。」



 するとユリウス公爵が聞いてきた。



「2000年前に現れた魔王というのもアスラ殿なのか?」


「ええ、そのようです。あまり記憶にないんですけど、自分だったと思います。ナデシア様に言われましたから。」


「そなたは最高神様にお会いになったのか?」


「ええ。何度か会いましたよ。」


「そうなのか~。そなたは最高神様に直接お会いできる存在なのじゃな。」



 するとお父様が言った。



「国王陛下。私はアスラが幼き日から見てきました。アスラは決して悪の存在ではありません。」


「そうよ。お父様。アスラは学園でも私達を守ってくれたわ。」



 シュバルツが言った。



「陛下。今回のアスラの報告は真実だと思います。是非、私にアデル殿を説得に行かせてもらえませんか。アデル殿は幼少の時から存じております。お願いします。」


「シュバルツが行くなら私も行くわ。」


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