アスラ!スチュワート王国に帰還する!
ドワーフ王国に来てからすでに数日が経過した。
「アスラ!そろそろ人族の国に帰ろうよ。」
「帰る!帰る!」
ピッ ピッ
「そうだな。もういいかな。」
オレの心には不安があった。帰るのは生まれ故郷のスチュワート王国だ。もし家に帰って、お父様とお母様に怖がられたらどうしようかと悩んでしまったのだ。
「この前も言ったけど、伯爵夫妻なら大丈夫よ。アスラの考えすぎなんだから!」
リンに言われて勇気を出して帰ることにした。その前に、世話になったデンデンに挨拶をしに行った。以前古代遺跡の宝物庫の中にあった魔法袋にお酒をあるだけ詰め替えた。
「デンデンさん。大変お世話になりました。これを渡しますね。」
「これは魔法袋じゃないのか?」
「そうですよ。」
「いいのか?」
「ええ。中にデンデンさんが好きなものが入っていますから、みんなで分けてください。」
デンデンが魔法袋の中に手を入れてニヤニヤしだした。
「やはりまだ酒を持っていたんじゃな。」
「ええ。飲みすぎには気を付けてくださいね。」
「感謝する。ありがとうな。」
オレ達はドワーフ王国を後にした。そして森の中に入っていよいよ転移だ。そしてスチュワート王国の王都ビザンツに転移した。
「懐かしいわね。スチュワート王国の王都ビザンツ。なんか少し変わったみたい。」
リンが言う通りだ。オレがいた時にはなかった店もある。10数年という月日は意外に長いのかもしれない。オレ達は貴族街に向かった。貴族街の入り口はあまり変化がないようだ。お父様は侯爵になったのだから、もう昔の屋敷には住んでいないはずだ。そう思いながらも、昔の屋敷にやってきた。門の外から見てみると、若い女性が洗濯物を干していた。見覚えのある顔だ。そして、その女性はオレを見て驚いた。
タッタッタッタッ
「違っていたらごめんなさい。も、もしかしてアスラお兄ちゃん?そんなはずないわよね?」
「ラン!ただいま!」
「やっぱりアスラお兄ちゃんだ!」
オレより体の大きなランが抱き着いてきた。そして、一目散に屋敷に入って行った。屋敷から出てきたのは、お父様とお母様だ。
「アスラちゃんなの?本当にアスラちゃんなのね!」
「お母様~!」
お母様とお父様が走ってくる。オレも二人に向かって走った。お母様がオレを抱きしめた。
「アスラちゃん。やっぱり生きていたのね!」
「はい。」
「アスラ!お帰り!良く帰って来たな。」
「はい。」
リンが遠くから涙を拭きながらオレ達を見ている。マロンももらい泣きしたようだ。しばらくはそのまま動けなかった。
「お父様。お母様。紹介します。オレの仲間のリンとマロンです。」
「そうなのね。アスラのお嫁さん達かと思ったわ。いいわ。家の中で話しましょ。」
オレ達は屋敷の中に入った。メイド長のマイヤーも執事のハーリーは健在だ。だが、メイド達は変わっていた。オレ達は居間に行った。
「アスラ!説明してくれるんだろうな。」
「はい。すべて話します。その前に今までご迷惑をかけて本当にごめんなさい。」
「いいのよ。それよりちょっと怖いけど真実を知りたいわ。話してちょうだい。」
オレは何も隠さずすべてを話すことにした。
「僕は神界にいたんです。」
お父様もお母様も驚いたようだ。
「神界?!アスラ!お前は神か何かなのか?」
「覚えてないんです。神界で何をしてたのか。でも、精霊女王様が僕のことを『ガイア様』って言っていたから、多分ガイアって名前だったんだと思います。」
「精霊女王?!」
すると、リンが説明した。
「そうよ。私達はエルフ王国に行って世界樹まで行ったのよ。そこで、精霊女王に会ったのよ。アスラ!ご両親に見せてあげなさいよ。精霊女王からもらった召喚の指輪を!」
オレはお父様とお母様に手を前に出して召喚の指輪を見せた。
「まさか、これで精霊を召喚できるのか?」
今度はマロンが言った。
「大精霊呼べる!」
「大精霊様達を呼べるのか!」
「はい。確かに僕は神界にいた存在なのかもしれません。でも、2000年前に大罪を犯したんです。そのため、神界を追放されて、不老不死という罰を受けて生まれ変わったんです。」
「2000年前?もしかして黒龍と魔王が現れたという伝説か?」
「はい。その魔王が僕なんです。」
「そうなのか?確か魔王は人族の国を滅ぼしたと言われているが。」
「まさか、違うわよね?こんなに優しいアスラちゃんが、国を滅ぼした魔王なんて!」
「ごめんなさい。僕もよく覚えていないんです。でも、その魔王が僕なのは間違いありません。」
「そうなのね。」
なんかお母様が悲しそうだ。お母様の隣にいたお父様が聞いてきた。
「すると、今回魔王になったのも黒龍が現れたことが原因なのか?」
「はい。お父さんとお母さんを殺されたことが悔しくて、悲しくて、我慢できなかったんです。ごめんなさい。」
「アスラちゃんが謝ることなんかないわ。お陰で黒龍が滅んでこの国が救われたんだから。」
話があまりにも重たかったので、ここでしばらく休憩することにした。自分の部屋に行くと、未だにあの時のままになっている。お父様もお母様も僕が帰って来るのを待っていてくれたんだ。嬉しくて涙が溢れた。しばらく休んだ後、再び話始めた。
「アスラが心臓を貫かれても死ななかった理由が分かったよ。」
「それに年を取らない理由もね。10年以上たっているのに、アスラちゃんはあの時のままなんだもん。驚いたわよ。」
「そうですよね?不老不死なんてありえないですよね。でも、これが僕に与えられた罰なんです。僕は永久に生きなければいけないんです。愛する者達が次々と死んでいくのを見届けることしかできないんです。」
「残酷な話ね。」
「どうすれば罪が償われるんだ?私もジャネットもお前のためなら何でも協力するぞ!言ってくれ!」
「わかりません。どうすればいいのか。ナデシア様も教えてくれませんでしたから。」
「最高神ナデシア様か?」
「はい。何度かお会いしたんですけど。僕の記憶もナデシア様に封印されてるようですから。」
「そうなのね。可哀そうなアスラちゃん。でも、私達がついているわ。一緒に頑張りましょ。」
「ありがとうございます。お母様。」
そして、リンとマロンのことを説明した。
「リンなんですけど、彼女は実は天使見習いなんです。」
「天使様?!」
すると横からマロンが言った。
「見習い。」
「そうよ!見習いよ!文句あるの?マロン!」
「うんうん。ない。リン姉は怒りっぽい天使見習い。」
「フン!」
どうやらリンは少し恥ずかしいようだ。
「マロンは魔族なんです。」
「そうなのね。マロンちゃんは可愛いわね。前にアスラちゃんが言っていたのよ。妹が欲しいって!」
「そうよね。マロンはどう見ても妹よね。」
「違う。アスラ兄の恋人!」
「何言ってるのよ!マロン!違うでしょ!」
「ハッハッハッハッ ジャネット!良かったな!私達にも娘が2人も来たぞ!」
「そうですね。早く孫の顔を見たいですね。」
「お母様!違いますから!」
「いいのよ。アスラちゃん。でも、良かったじゃない。私はアスラちゃんが生きていてくれただけでも幸せなのよ。それに、もし一人で孤独でいたらどうしようって心配していたんだから。」
「ありがとうございます。お母様。」




