ターシャとサーシャをつなぐ扉
精霊女王達としばらく過ごした後、オレ達は世界樹を後にした。
「サーシャさん。今の話は聞かなかったことにしてくださいね。」
「はい。大丈夫ですよ。でも、アスラ殿が神界にいらっしゃったとは知りませんでした。しかも、2000年前に現れた魔王だったなんて。」
「オレもあまり記憶がないですから。」
するとリンが言ってきた。
「アスラ!もうサーシャさんにはばれたんだし、ターシャさんやラーシャちゃんに会いにつれて行ってあげたら?」
隣ではマロンが大きく頷いている。ラーシャに会いたいのだろう。
「そうだね。行きましょうか?」
「えっ?!どういうことですか?」
「転移魔法ですよ。」
「転移魔法?!やはりアスラ殿は神界の方なんですね。」
オレ達はグラッセ王国のよろず屋に転移した。突然オレ達が現れたので、ターシャもラーシャも目を見開いて驚いている。
「お、お姉さま!」
「ターシャ!元気そうね。」
「どうしてここに?」
「説明は後よ。ラーシャを紹介して。」
すると、ターシャがラーシャの肩に手を置いて言った。
「ラーシャ!サーシャ叔母様よ。」
「はじめまして。ラーシャ。」
「はじめまして。サーシャ叔母様。」
「まあ、可愛いわね~。幼いころのターシャにそっくりよ。」
「やめてよ。お姉様。」
その後、ターシャさんを交えていろんな話になった。その間、マロンはラーシャと一緒に遊んでいる。
「ところでどうやってここまで来たの?急に現れたから驚いたわよ。」
「アスラ殿が連れて来てくれたのよ。」
ターシャがオレとリンの方を見て言った。
「そうなんですね。アスラさんが連れて来てくれたんですね。アスラさんが使ったのは恐らく転移魔法ですよね?」
「ええ。まあ。」
「やはりアスラさんは、スチュワート王国に現れたという魔王だったんですね?」
ターシャはオレの正体を知っているようだ。
「どこまで知ってるんですか?」
「それほど詳しくは知りませんけど、アスラさんとリンさん、それにマロンさんに翼があったと聞きました。そして魔法を使ったということもですね。」
「そうですか~。ジェイムスさんやダンカンさんも同じですか?」
「おんなじですよ。でも、安心してください。みんな3人には感謝していますから。もしかして、私達がアスラさん達を怖がっているとでも思ったのかしら。」
「ええ。そうですね。オレの別の姿を見られましたからね。」
「大丈夫ですよ。アスラさん達が善の存在だってことは、みんなが知っていますから。」
「ありがとうございます。」
本来、魔王とは悪の象徴だ。だからかもしれない。ここでサーシャが世界樹の話を始めた。
「ターシャ!アスラ殿は世界樹に行って精霊女王様にお会いになられたのよ。」
「そうなんですか?世界樹に行けるのは心が清い者だけですよね?」
「そうよ。」
「精霊女王様にもお会いになられたんですか?私だって1度しかお会いしたことがないのに。」
「それだけではないのよ。アスラ殿は精霊女王様から指輪をいただいたんですよ。」
「指輪ですか?」
オレはターシャに指輪を見せた。指輪は金色に輝き、神聖な光を出している。
「その指輪は召喚の指輪と言って大精霊様達を召喚できるのよ。凄いでしょ。」
「そうなんですよ~。なんか大精霊さん達を召喚できる指輪らしいんですよね。」
すると、ターシャの顔が変わった。
「アスラさん!あなたは何者なんですか?大精霊を召喚できるのは精霊女王か、神々だけですよ。まさか、神様なんですか?」
「そんなはずあるわけないじゃないですか~。ハッハッハッハッ」
オレの正体を知っているサーシャも苦笑いをしていた。
「ターシャ。帰ってきていいのよ。ラーシャのためにもね。どうするの?」
「私はもうしばらくあの人が住んでいたこの街にいるわ。ごめんなさい。お姉様。」
「いいのよ。私達は長生きなんだから。」
するとそれまで黙っていたリンが言った。
「本当にそれでいいの?ずっと会いたかったんでしょ?」
「リンさん。急にどうしたんですか?」
「会いたいなら会えるようにすればいいじゃない。アスラ!地下に行くわよ。」
「ああ。」
オレ達は全員で地下に行った。以前、スパイダー殲滅のために集まった場所だ。
「アスラ!創造魔法よ。ここにゲートを作るわよ。」
「ゲート?」
「そうよ。こことサーシャさんの屋敷をつなぐのよ。」
「そういうことか!わかったよ。」
オレはこことサーシャさんの屋敷をつなぐゲートを想像した。すると、目の前に光の渦が現れ、その渦が扉の形に変化していく。
「できたよ。後は登録だけだ。ターシャさん、サーシャさん、ラーシャちゃん、ここに来てくれるかな。ここに手をかざしてみて。」
見た目は普通の扉だが、3人が手をかざすと扉の中が光の渦に変化する。
「完成したよ。これで3人以外は使えないから。」
「アスラさん。本当にすごいんですね。」
「まあね。」
「アスラ兄ちゃん。神様みたい。」
「違うから。ラーシャちゃん。そんなこと言うと神様に怒られちゃうよ。」
「えへ。」
ラーシャが走ってマロンのところに行った。その後、オレ達はエルフ王国のサーシャの屋敷まで戻った。
「何から何までお世話になりました。」
「いいえ。こちらこそ。楽しかったですよ。サーシャさん。じゃあ、また来ますね。」




