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魔王少年アスラ  作者: バーチ君
フェアリー大陸
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森の大精霊ドリアード現る!

 街の人々を治療し終わったオレ達は、その日は森に行くのをやめた。カイロさん達と寛いでいると王城からの呼び出しがあった。



「リン!断れないよな~。」


「そうね。でもいいじゃない。ターシャさんのお姉さんなんでしょ?」


「そうだよな~。特に面倒にはならないよな~。」



 オレ達はカイロさんの家族と一緒に王城に向かった。王城と言っても人族のお城のようなごつい建物ではない。それよりもかなり大きな館という感じだ。



「あなたがアスラ殿ですか?私はサーシャと言います。ターシャのことを知っているというのは本当ですか?」


「ええ。オレ達はグラッセ王国の王都でターシャさん親子から家を借りていましたから。」


「そうですか。ならば娘のラーシャも元気なんですね?」


「はい。ここにいるマロンがよく一緒に遊んでいましたよ。」


「遊んでた!ラーシャは妹!」



 サーシャの顔がほころんだ。



「そうですか~。良かったです。あの二人には寂しい思いをさせていますから、心配していたんですよ。」


「ああ、奴隷の件ですね。でも、もうこの国からエルフ族が誘拐されることはないと思いますよ。」


「どうしてですか?」


「ターシャさんと一緒に誘拐組織のスパイダーは殲滅しましたから。」


「そうなんですね。ありがとうございます。アスラ殿。」


「それよりこの国の人達の病気の原因なんですが、森にいるエントが原因のようなんですよ。」


「そうなのですか?」



 するとリンが説明した。



「そうよ。あなたも知っている通りエントは木の精。そのエントが森を守ってるんでしょ?でも、彼らは危険が迫ると身を守るために毒の花粉を出すのよ。森の守護者なのに知らなかったの?」



 リンの口調がきつかったのか、サーシャは少し落ち込んだ様子だ。



「ごめんなさい。過去数百年の間、この森が危険にさらされたことがなかったので。」


「それってただの平和ボケね。」


「リン!やめろ!言いすぎだ!」


「だって~。」


「そうですね。リン殿の言う通りですね。森を管理するものとして失格です。精霊女王様に顔向けできません。」


「そんなことより、どうしてエントが毒の花粉を出したか調べないとまた犠牲者が出るわよ。」


「そうですね。」


「その件ですが、明日にでもオレ達が調査に行きますから。原因がわかったら報告しますよ。」


「アスラ殿。リン殿。本当にありがとうございます。」



 そして翌日、オレとリンとマロンとカイロの4人で森に行った。



「カイロさん。エントを見たのはどの辺りですか?」


「もう少し奥です。」



 カイロの案内でエントがいた場所に向かうと、エントが何者かに食い殺されていた。オレは魔力感知を発動する。すると、森のかなり広範囲の場所から魔物の反応があった。反応のあった場所に向かうと、ところどころにエントが食い殺されている。



「アスラ殿。これは一体何者の仕業でしょう?」


「あいつ達よ。」



リンが指さした方向には隊長30㎝ほどのホワイトアントがウジャウジャといた。



「ホワイトアントの仕業ですか?ですが、これほどの数がいるとは!」


「そうね。これだけの数がいるとなるとクイーンがいるわね。」


「どうする?リン。これだけいるとなると剣での盗伐は無理だよ。」


「そうね。」


「こいつらを一か所に集められればいいんだけどな~。」


「なら、名案があるわ!」


「リン姉。どうするの?」


「クイーンを探すわよ。クイーンを捕まえれば、他のホワイトアントも集まってくるわ。クイーンを守ろうとしてね。」


「なるほど。さすがリン殿ですね。」


「まあね。」



 オレ達はクイーンを探すことにした。だが、この森はあまりにも広い。魔力感知で調べてもどこにいるのかはっきりとわからない。すると目の前に光の球が現れ、森の大精霊であるドリアードが姿を現した。



「お困りのようですね。」



 するとリンが聞いた。



「もしかしてドリアード?」


「そうですよ。リン様。」



 ドリアードが現れただけでも驚きなのに、ドリアードの言葉を聞いてカイロは口を開けたまま固まった。



「あのさー。ホワイトアントのクイーンがどこにいるか教えてくれない!」


「いいですよ。ここから西に5㎞ほど行った場所に洞窟があります。その中にいますよ。」


「ありがとうね。」


「いいえ。どういたしまして。ガイア様。やはりお美しいですね。今度世界樹までお越しください。精霊女王様もお喜びになりますよ。では。」



 ドリアードはそのまま姿を消した。



「アスラ兄。『ガイア様』って誰のこと?」



“まずい!神界にいた時のオレの名前だ。何とか誤魔化さないと。”



 するとリンがマロンに言った。



「あのドリアードっていう精霊はアホなのよ。アスラを誰かと見間違えたんじゃないの。」


「そうなんだ~。」



 オレ達のやり取りを聞いてカイロは黙り込んでしまった。



「カイロさん。ここで見たり聞いたりしたことは秘密ですからね。」


「は、はい!畏まりました。アスラ様!」


「やめてくださいよ。今まで通りでいいですから。それに偉そうにしていたのはオレじゃなくてリンですからね!」


「私のどこが偉そうにしたっていうのよ!」


「リン姉、強い!アスラ兄、負けてる!」


「マ・ロ・ン!」



 そんなこんなでオレ達はクイーンのいる場所に向かった。森の中をかき分けて歩いていくと岩山があり、ドリアードの言った通り洞窟があった。



「じゃあ、クイーンをおびき出すわよ。」



 リンが洞窟の中に向かって大声で叫んだ。



「馬鹿クイーン!お前なんか怖くないぞー!隠れてないで出てこーい!」


「リン。そんなんでクイーンが出てくるのか?」


「まあ、見てなさいよ。」



 すると、体長1.5mほどある巨大なホワイトアントが出てきた。相当怒っているようだ。



「ねっ!言った通りでしょ!」


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