エルフ王国へ
オレ達は王都を出たところで今後のことを話し合った。
「これからどうするの?」
「そうだな~。人族の国に帰ろうか、それともドワーフ族の国に行こうか悩んでるんだよね。」
「もしかしてベンガルさんがお母さんと会ったのを見て会いたくなったんでしょ?」
「誰に?」
「アスラのお父さんとお母さんよ。」
「アスラ兄にはお父さんとお母さんがいるの?」
「まあね。」
「なら、会いに行かなきゃ。」
「なんで?」
「不束者ですけどおねがいしますって。」
「マロン!お前はオレの弟子だろ!」
「・・・・」
ここからドワーフ王国まで行くには、まずエルフ王国に行かなければならない。エルフ族は魔力に敏感な種族だ。何も問題が起こらなければいいけど。そんなことを考えていた。
「大丈夫よ。また、この人魚の指輪のせいにすればいいんだから。」
「まあな。」
それにしても、何故かリンはオレが考えていることが分かるようだ。だとしたら、少しやばい。
「私があなたの考えていることが分かるからって何を焦っているのよ!」
「べ、別に!なにも!」
結局、オレ達はエルフ王国に行くことにした。エルフ王国までは獣人族の街を3つ越えないといけない。歩いて行くと3か月ぐらいかかりそうだ。
「この際だから飛翔して行こうか。」
「そうね。もうマロンも大分強くなったし、いいんじゃない。」
「飛翔していいの?」
「ああ。その方が短時間で行けるからな。」
「飛翔!やったー!」
何が嬉しいのかよくわからない。マロンの喜ぶツボが今一つ理解できないでいた。
「出発する前にリンに言っておかないといけないんだけど。」
「なによ?急に。」
「ナデシア様に会ったって言っただろ?」
「あっ!そうだった!それで何を話したのよ?」
「じゃじゃーん!オレさー!20歳まで成長できるようにしてもらったから!」
「何よそれ!いいもん。私も自分で設定変えるもん。」
「なんだそれー!ずるいじゃないか!なんで自分で設定変えられるんだよ!」
「アスラ!忘れたの?私は天使見習いよ!そのぐらいできて当たり前でしょ!」
するとマロンが驚いたようだ。
「うそ!リン姉、天使様?」
「違うから!リンはただの見習いだから!」
「すごーい!初めて知った!白い翼、奇麗!」
「まあ、いいわ。どうせいつかばれるしね。でも、絶対秘密よ。」
「うん!」
その後、オレ達は翼を出してエルフ王国に向かって飛翔した。やはり、飛翔はいい。何と言っても風が気持ちいいのだ。なんかマロンが飛翔が好きなのが少しわかった気がした。
「今日はこの辺で休もうか?」
「そうね。」
森の中の少し開けた場所に舞い降りた。辺り一帯は森だ。魔力感知に反応はあるが大物の反応はない。空間収納からレッドボアを取り出して、それをさばいて焼き始めた。塩はこの前もらった岩塩だ。
「やっぱり美味しいわね~。この塩のお陰よね。」
「そうだな。塩でこんなに味が変わるとは思っても見なかったよ。」
お腹いっぱい食べたところで少し寝ることにした。オレ達の周りには結界を張っておく。これで魔物に襲われる心配がないのだ。
「アスラ~!さっきの話だけど、一度帰ってもいいわよ。あなたは覚えてないかもしれないけど、もう10年以上経つのよ。両親もいつまでも生きてるとは限らないじゃない。」
確かにそうだ。リンの言う通りだ。オレが魔王になってから地上ではすでに10年以上が経過しているのだ。
「なら、エルフ王国とドワーフ王国に行ったら、一旦帰ってみようか。もし、そこで魔王として討伐されそうになったら違う国に行けばいいしな。」
「そうよ。そうしなさい。」
オレとリンの話をマロンが何も言わずに聞いていた。恐らくマロンも母親のことが気になるのだろう。翌朝、再びオレ達はエルフ王国に向かって飛翔を始めた。それから3日ほど経った頃、飛翔していると悲鳴が聞こえた。
「リン。マロン。降りるよ!」
「了解!」
オレ達は地上に降りて、魔力感知を頼りに反応のある場所まで向かった。すると、巨大なトカゲの集団に囲まれているエルフの少女がいた。
「そこを動くな!」
オレ達は剣を抜いた。そして、ゆっくりと巨大なトカゲに近づいていく。どうやら巨大なトカゲがちょろちょろ出している舌には毒針があるようだ。
「舌に毒針があるから注意しろ!」
「了解。」
「うん。」
巨大なトカゲ達が一斉に向きを変えてオレ達に向かってきた。
シュッ ズバッ ブスッ
3匹ほど討伐したところで、巨大なトカゲ達は逃げて行った。
「ありがとう。」
「大丈夫かい?」
「怪我はない?」
「うん。」
「お兄ちゃん達は?」
「ターシャさんとラーシャの故郷を見たくてエルフ王国に来たんだ。」
「えっ?!ターシャ様を知ってるの?」
「まあね。」
「私はエルザ。私の街まで案内します。」
「ありがとう。オレは人族のアスラ。こっちはリンとマロンだよ。よろしくね。」




