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魔王少年アスラ  作者: バーチ君
フェアリー大陸
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ベンガルVSレーヴェ

 いよいよ今日は、武闘大会の準決勝と決勝が行われる。



「ボルフ殿。この試合、勝たせてもらうぞ!」


「ベンガルさん。俺だってアスラさん達に長いこと訓練を受けたんだから、負けるわけにはいかないな。」



 オレ達の隣の席ではゴン、カンタ、タキチが心配そうに見ている。



「アスラ兄。どっちが勝つかな~。」


「互角でしょ!そうよね?アスラ。」


「ああ。すべて互角だ。勝敗を決めるのは勝ちたいという執念の差だろうな。どっちの執念が強いかだ。」


「始め!」



 開始の合図の後も動かない。いや、動けない。お互いの闘気が一気に膨れたかと思うとそれが2人の身体に吸い込まれていく。闘技場内にも緊張感が張り詰めている。そして、誰かが何かを落とした。闘技場内に甲高い音が響いた。その瞬間、2人がお互いに向かって突き進む。すれ違った後、しばらくしてボルフが地面に倒れた。



「お————!」


「すげー!!!」


「ワ————!!!!」



 観客が一斉に大歓声を上げる。ベンガルはボルフのところまで行き、肩を貸した。



「負けたよ!」


「今回はな。お互いにアスラ殿の弟子だ。これからも精進しようぞ!」


「ああ。」



 2人が控室に戻った。そして、もう一つの準決勝が始まる。タルガとレーヴェが会場に向かった。



「始め!」



 タルガがレーヴェの周りをゆっくりと回るようにしている。隙を付くつもりなのだろう。だが、レーヴェの剣先は常にタルガを捉えている。タルガが大きくジャンプして上段から剣を振り下ろした。



カキン



 レーヴェはそれを軽く受け流す。タルガは体勢を崩すことなく、下段から剣を振り上げる。だが、レーヴェがそれをかわし、上段から振り下ろした。タルガがそれを受け止めようとしたが、片手では受けきれない。そのまま、レーヴェの木剣がタルガの肩に落ちた。



ボキッ



「参った。」



「お—————!」


「ワ—————!」



 どうやら決勝は予想通り、レーヴェとベンガルで戦うようだ。



「アスラ~。あのレーヴェって人を見て何か感じた?」


「何かって?」


「なんか、あの人から昔のアスラと同じ感情を感じるのよね。」


「どういう感情?」


「罪の意識よ!つまり罪悪感ね。」


「そうなの?」


「そうよ。思い出させて悪いけど、アスラだって両親のことで自分を責めたでしょ!」


「そうだね。」


「それとおんなじ感情なのよね~。」



 すると、ボルフがやってきた。



「アスラさん。申し訳ない。負けてしまいました。」


「そんなことないさ。ボルフは相当強くなったよ。今の試合だって紙一重の差だったんだから。多分、前回優勝のレーヴェとかいう人より強いと思うよ。」


「そう言ってくれて嬉しいです。アスラさん達がいなくなった後、俺達は兄貴の元で兵士になったんです。毎日毎日、アスラさん達の指導を受けたことを思い出しながらみんなで訓練してたんですよ。」


「ボルフ!偉い!マロンが褒めてあげる!」


「ありがとうございます。マロンさん。」


「うん。」



 そしていよいよ決勝が始まる時間になった。ボルフ達も座って全員で観戦することになった。



「レーヴェ!私の父を覚えているか?」


「もしかしたら、ホワイト殿の娘か?」


「ああ、そうだ。やっとこの時が来た。今日はお前を倒させてもらうぞ!」


「何を言う!返り討ちにしてくれるわ!お前も父親のところに送ってやるさ!」



 レーヴェの身体からものすごいオーラが溢れ出た。一般の人達にも見えるほどだ。



「始め!」



 試合が始まってすぐのことだ。オレの意識がどんどん遠くなっていく。そして目の前が真っ白になり、そこに光に包まれたナデシア様が現れた。



「アスラ!今日はあなたにお願いがあって呼んだのです。」


「なんでしょう?」


「あの娘ベンガルのことです。」


「ベンガルが何か?」


「あの子は勘違いしているのです。あの子の父親のホワイトを殺したのはレーヴェではないのです。」


「どういうことですか?」


「ホワイトはレーヴェと協力してこの国の悪政を正そうと動いていたのです。その結果、この国の貴族ダルシアの手によって殺されたのです。そこにはバヤと呼ばれる人族も絡んでいるのですよ。バヤはアスラ達が潰したスパイダーのメンバーです。ダルシアがバヤから買った毒薬で暗殺したのですよ。このままだと、ベンガルはあなたと同じように怒りと憎しみから魔の道に落ちてしまいます。彼女が魔の道に入るのを何とか止めてください。」


「どうしてナデシア様がそのようなお願いをするんですか?」


「ホワイトとレーヴェに私が啓示を与えたからです。」


「もしかして、オレ達をここに導いたのはそのためですか?」


「・・・・・」


「わかりました。何とかしますよ。でも、これって貸しですよね?」


「わかっています。あなたが20歳まで成長できるようにしましょう。」



 オレの意識が戻った。目の前を見るとベンガルがレーヴェに木剣を突き付けていた。どうやらレーヴェにはもはや戦う意思はない様だ。だが、ベンガルは木剣を大きく振りかぶった。そして、それをレーヴェに振り下ろした。



「時間よ止まれ!『タイムストップ』」



 今動けるのはオレとリンだけだ。



「どうしたの?アスラ。」


「ああ、ナデシア様に頼まれたんだよ。レーヴェをそっちに運んどいてくれるか?」


「わかったわ。後でちゃんと説明してよ。」


「ああ。」



 そして再び時間を進めた。誰もがベンガルがレーヴェを殺したと思ったことだろう。だが、レーヴェは離れた場所にリンと一緒にいる。そして、ベンガルの前にはオレがいた。観客席では何が起こったか理解できないようだ。



「アスラ殿。これは?」


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