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魔王少年アスラ  作者: バーチ君
フェアリー大陸
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アニム王国の王都ナイロブ

 キャローの街を出た後、いくつか街を越えてオレ達は王都に入る正門の前にいる。さすがは王都だ。武闘大会もあるせいか、門の前では凄い数の人達が順番を待っていた。中には武闘大会の参加者達もいるようだ。



「どけどけどけー!グリズ様のお通りだー!」



 2m以上ありそうな大男とその腰巾着達がやってきた。順番を無視しているようだ。オレは大人しくマロンと遊んでいたが、リンが前に出た。



「あんた達何よ!並んでるんだから順番守りなさいよ!」


「なんだとー!このグリズ様の言うことが聞こえなかったのか?」


「あんた馬鹿じゃないの?あれだけ大きな声で叫んだら誰だって聞こえるにきまってるじゃない!」


「狼耳族のくせに生意気な奴だ!」



 オレは慌ててリンのところに行った。



「リン!やめろよ!目立つなよ!」


「アスラ!あんたよく黙っていられるわね~!ここにいるみんなもそうよ!悪いことした人には文句言うのが普通でしょ!」


「おいおいおい!俺様のどこが悪いことしたっていうんだ?強いものが弱いものに命令する。これは普通のことじゃないのか!俺様は悪くはねぇぞ!」



 すると列の中から一人の女性が現れた。虎耳族だ。



「お前の言うことはわかった。つまり、強いものの言うことを弱いものが聞くってことだな。」


「ああ、そうだ。」



 虎耳族の女性が剣を抜いた。オレ達以外には見えないだろう。物凄い速さだ。



シュッ スパッ


ドカ



 背中の大剣を吊るしているグリズの胸の前の革紐が切れ、背中の大剣が地面に落ちた。これにはさすがのグリズも顔が青くなった。



「お、お、お前はもしかして虎耳族のベンガルか?!」


「そうだが、それがどうかしたか?」


「相手が悪い!行くぞ!お前ら!」



 グリズは腰巾着を連れてその場から離れようとした。



「待て!逃げるな!まだ私は何も命令していないぞ!」


 

 グリズ達は走って逃げていった。



パチパチパチパチ・・・・・・



 その場にいた人達が全員で拍手をした。



「狼耳族の娘!お前の勇気は見事だ。だが、相手を見た方がいいぞ。ああいう輩は言っても無駄だ。あのままだったら、お前は殺されていたかもしれんぞ。」



 リンはブスッとしている。代わりにオレがお礼を言った。



「助けていただいてありがとうございます。これからは気を付けます。」



 ベンガルは自分の場所に戻っていった。



「アスラ!なんでよ?!」


「目立たない。目立たない。でしょ?アスラ兄。」


「そうさ。マロンの言う通りだ。」



 その後もリンは納得していないようだった。そしてオレ達の順番が来た。中に入ると、王都ナイロブは物凄い人の数だ。まるで国中の人々がこの街に集まっているかのようだった。目の前には豪華な王城があり、そしてその隣に闘技場のようなものが見える。大きな通りが正門から4本伸びていたが、どの通りにもたくさんの店があり、人々が往来している。



「やっぱり王都よね。いろんな獣人族がいるわね。」


「人族もいる。」



 マロンが指さす方向を見ると確かに人族の姿があった。恐らく観光か商売で来たのだろう。



「アスラ~。この後どうするの?」


「どうしようかな~。ここで暮らそうかと思っていたけど、なんか違うんだよな~。」


「アスラ兄。何が違うの?」



 この街で暮らすためには、オレ達は常に狼耳族に変身していなければならない。本来の自分の姿で暮らせないことに抵抗を感じていたのだ。それに、人族の国を離れてすでに1年以上が経過している。そのためか、人族の国で食べていた食事が懐かしいのだ。



「やっぱりアスラは人族の国の方がいいんでしょ?」


「まあな。獣人族のみんなが嫌だってことじゃないんだ。ただ、生活様式が違いすぎるんだよな~。食生活もだけどさ。」


「確かにね~。でも、人族の国のように奴隷制度があるわけじゃないし、治安もいいわよ。」


「そうだよな~。」



 オレ達は宿屋を探して歩きまわったがどこもいっぱいだ。しょうがないので狩人ギルドで紹介してもらおうとギルドに行った。さすがに王都のギルドだけあって狩人達が大勢いる。



「あの~。宿屋を紹介して欲しいんですけど。」


「あ~、宿屋ね。ちょっと待っててね。」



 狐耳族の女性だ。色が白くてかなりの美人だ。



「アスラ!あなた、今、あの人のことを美人だとか思ったでしょ?」


「なんでわかるのさ?」


「私もそう思ったからよ。」


「あの人美人!私も美人!」



 なんかマロンが訳の分からないことを口走ってる。すると、狐耳族の女性が戻ってきた。



「ごめんなさい。待たせたわね。」



 何やら紙を持ってきた。どうやら宿屋の情報が載っているようだ。紙をめくりながら一生懸命探してくれている。



「ここは空いてるけど、でもね~。ここはね~。」



 なんか独り言をブツブツ言っている。オレには『空いている』と聞こえたのだが。



「空いてる宿があるんですか?」


「あることはあるんだけど、あまりお勧めできないのよね。」


「何か理由があるんですか?」


「まあね。実はこの宿は王都の郊外の森の中にあるのよ。結構遠いのよね~。」


「いいですよ。その宿の場所を教えてください。」



 紹介された宿屋は王都の裏門から出た森の中にあるようだ。オレ達は宿屋に向かうことにした。



「王都の外じゃ、食事も期待できないわね。」


「私、お腹空いた!」


「オレだってお腹空いてるさ。」



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