アニム王国の街キャロー
ワイバーンを討伐した後、岩塩を採取して山を下りた。お礼にとアユナの塩焼きを焼いてもらったオレ達は、それを魔法袋に仕舞って次の街に出発した。王都への道はコディアに地図を書いてもらったので、もう間違えることはないだろう。
「次の街はどれくらいなの?」
「次はキャローだから。そうだな~。2日ぐらいでつくかな。」
「2日もかかるの~。」
「アニム王国、広い!すごい!」
「マロン!関心しないでよ!あなたのために徒歩で移動してるのよ!」
「そうだな。でも、マロンもたくさん魔物を討伐して相当強くなってるよ。」
「本当?」
「ああ、本当さ。この前の魔族、なんていったかな~?」
「ルシフ!」
「ああ、そうだったな。今のマロンならルシフ程度にはもう負けないと思うぞ!」
「本当?!アスラ兄!」
「そうね。今のマロンなら勝てるわね。」
「やったー!でも、まだ頑張る!」
それから2日後、ようやく次の街キャローが見えてきた。街の周りには広大な畑が広がっていた。
「この畑、何が取れるのかしらね?」
「葉っぱ!野菜!」
オレ達は街に入る前に狼耳族に姿を変えた。前回の失敗を繰り返さないようにするためだ。
「この耳可愛いわね。」
「尻尾もかわいい!」
「そうだな。たまにはこういう姿もいいかもな。」
街に入ると兎耳族が多い。だが、やはり他の獣人族達もいる。いろんな店が並んでいるが、服屋が多い気がする。
「ねぇ!アスラ!あの店に行くわよ!」
「別にいいけど。」
オレ達は可愛い服を売っている店に入っていった。リンもマロンもニコニコだ。だが30分後、2人の顔は暗い。
「もういいわ!行きましょ!」
「どうしたのさ?」
「どうもこうもないわよ!ねっ!マロン。」
「うん!失礼すぎ!」
後で話を聞いてみると、どの服も兎耳族の体形に合わせて作られていたようで、胸がぶかぶかでどれも着れなかったようだ。やっぱり、二人ともまだまだお子ちゃまだ。
「そういえば、マロン!お前、背が伸びてないか?」
「伸びた!もう14歳になった!アスラ兄もリン姉も変わらない!どうして?」
オレは15歳のまま成長しないから仕方がないが、リンはどうしてなんだろう?
「不思議なようね。アスラ。」
「ああ。どうしてだ?」
「ずっとあなたといないといけないからよ。私だけ年取ったらおかしいでしょ!」
「そういうことか!」
オレ達の会話を聞いてマロンが不思議そうだった。それから宿屋を探そうと思ったが、その前に腹ごしらえだ。
「アスラ!あの店に入ろうよ。なんか美味しい匂いがしてくるわ。」
オレ達は見た目がお洒落なレストランに入った。お昼時ということもあって、店の中はかなり人が多い。
「こちらの席にどうぞ!」
店員さんが持ってきたメニューは2種類だ。片方は野菜中心のメニュー、もう片方はお肉中心のメニューが書かれていた。どうやら、菜食主義者もいるようだ。オレ達は当然お肉中心のメニューを頼んだ。
「流石獣人族の街よね?兎耳族とか牛耳族の人達みたいに菜食主義の人達もいるもんね。」
「ああ、そうだな。」
料理が目の前に運ばれてきた。ボアのステーキからは湯気と同時にいい匂いが漂ってくる。
「お肉!お肉!」
マロンも相当お腹が空いていた様だ。リンと同じようにいきなりお肉にかぶりついた。すると、隣の席から声が聞こえた。
「やっぱり狼耳族よね。下品だわ。嫌ね~。」
そんな声が聞こえていないかのように2人はガツガツ食べている。
「どうしたの?食べないの?」
「いいや。」
オレくらいはスマートに、そう思ってナイフとフォークで切り分けながらゆっくりと食べた。そして、昼食を食べ終わったオレ達は狩人ギルドに向かった。森で討伐した魔物を売るためだ。
「ここギルドよね?」
リンが疑うのも無理はない。強そうな人が誰もいないのだ。オレ達が戸惑っていると受付の兎耳族の女性が声をかけてきた。
「何か用ですか?」
「ええ。素材を売りたくて。」
「なら、裏に来てください。」
「はい。」
オレ達は裏の解体場に行った。普通、解体場にはボアやホーンラビットを解体している人達がいるのだが、ここでは誰も作業していない。
「なんか、閑散としてるわね。」
リンの声が聞こえたのか、受付の女性が教えてくれた。
「力のある狩人達はみんな王都に行ったんですよ。武闘大会がありますからね。」
「そうなんですね~。」
オレは魔法袋からレッドボアやブラックベアを取り出した。すると、受付の女性が驚いたようだ。
「これ、あなた達が討伐したんですか?」
「ええ。そうですけど。」
「お金を用意しますから、中でちょっと待っていてください。」
受付の女性がそのまま建物の中に入っていった。暇だったので、オレ達はギルド内で掲示板を見ながら時間を潰していた。
「ちょっといいかね?」
振り向くと兎耳族にしては体格のいい男性が立っていた。恐らくギルドマスターなんだろう。
「君達にお願いがあるんだが。」
「何かしら?」
「街の外の畑を荒らしまわる魔物がいるんだが、それを討伐してくれないか。」
「いいけど、他の狩人達じゃダメなんですか?」
「ああ、今この街にいる狩人達は薬草採取が専門だ。魔物の盗伐はできないんだ。」
どうやら本当に困っているようだ。
「いいですよ。でもどんな魔物なんですか?」
「ベジラットとレッドボアなんだが、どちらも結構な数がいるんだよ。お願いできないか?」
「わかりました。オレ達で何とかしますよ。」
「ありがとう。報酬は弾むよ。」
「お金!お金!」
マロンもやる気になっているようだ。レッドボアが活動するのは夜、ベジラットが活動するのは明け方だ。そこで、オレ達はギルドマスターの男性に紹介された宿屋に泊まることにした。




