クラーケン討伐!
それから1週間ほどたった日の朝、オレ達の宿屋にボルフ達がやってきた。かなり慌てている様子だ。
「どうしたんだ?ボルフ!」
「とうとう現れました!クラーケンです!漁をしていた者が見たそうです!」
「いよいよね。」
「私、頑張る!」
「マロン!あんたは頑張らなくていいのよ!」
オレ達はクラーケンを見たという漁師から話を聞いて、少し大きめな船2隻に分かれて乗った。しばらく進んでいると、空に海鳥がたくさん集まっている場所が見えた。
「アスラ!」
「ああ、あの下だ。」
「どうするの?ボルフ達は海の上での戦いはできないわよ。」
「そうだな~。この船でクラーケンを港の近くまで引っ張っていこうか?」
「どうやってよ。もしかして、アスラ、あんた魔法を使うつもりなの?」
「オレに考えがあるんだ。リンもマロンもいざという時は魔法を使っていいからな。」
「わかったわよ。」
「うん。」
船が海鳥のいる近くまで来ると、海の中から太くて長いイカの足のようなものが現れて、海鳥を捕まえて海の中に引きずり込んだ。
「クラーケンだ!この下だ!」
4人が剣を抜いて身構えている。だが、クラーケンは海の中に潜んでいる。すると突然、海の中からクラーケンが姿を現し、2隻の船に太くて長い脚で攻撃してきた。ボルフ達が剣でクラーケンの足を斬っていくが、どんどんと自己再生をしていく。
「兄貴!こいつ!自己再生しやがる!どうするんですか?」
「わからん!とにかく斬れ!斬って斬りまくれ!」
「はい!」
クラーケンがいったん海に潜ったと思ったら、ボルフ達の船の下に回ったようだ。ボルフ達の乗っている船が大きく揺れ、とうとう破壊されてしまった。ボルフもゴンもカンタもタキチも海に放り出された。このままではクラーケンの餌食になってしまう。
「限界よ。アスラ。」
「ああ。」
どうやら予定変更するしかない。オレは魔力を解放していく。すると、身体から黒い靄が現れ漆黒の翼が出た。リンも魔力を解放して純白の翼をつけている。マロンも黒い翼を出した。そして全員で空中に舞い上がった。
「リン!マロン!ボルフ達を助けてやってくれ!」
すると、どこからともなく声が聞こえた。
「その必要はありません。彼らは私達が助けますから。」
声のする方を見るとエメルと人魚達がいた。人魚達が手を上にかざすと、ボルフ達が海から空中に浮きあがった。
「おい!これは奇跡か!」
「兄貴!俺達死んだかもしれないな!」
「ゴンの言う通りだ!ここは天国なのか?」
リンがオレの近くにきた。
「どうするの?アスラ。私達が倒しちゃったらボルフ達が努力した意味がないじゃない。」
「そうだよな~。」
「アスラ兄。陸に連れて行かないの?」
「そうだな。それしかなさそうだな。」
やることが決まった。
「リン、マロン。4人を広場まで運んでくれ。」
「わかったわ。」
「了解!」
オレはクラーケンに向けて魔法を放った。
「宙に浮きあがれ!『アンチグラビティー』」
するとクラーケンが少しずつ海から出てくる。そして、丸ごと海から出たところで広場まで転移した。陸に持ち上げられたクラーケンは何が起きたのか理解できてないようだ。その場で暴れ始めた。
「動きを止めろ!『グラビティー』」
オレの魔法でクラーケンは地面に押さえつけられている。そこにリンとマロンが4人を連れてやってきた。
「アスラさん!あんた達は何者なんだ?」
「そんなことはどうでもいい。それよりあいつを倒すんだろ!あいつの弱点は目と目の間の青色の水晶だ。あれがあいつの核だ!それを壊せ!」
「わかったぜ!ゴン!カンタ!タキチ!行くぜ!」
「おー!!!」
4人はクラーケンに向かって行く。誰が指示を出したわけでもない。だが、ゴンとカンタとタキチがボルフの前の足を次々に斬り落としていく。陸にいるせいか、クラーケンの再生速度がさっきよりもはるかに遅い。
「部下の仇だ!死にやがれ!このやろー!」
ボルフが大きくジャンプした。そこに、クラーケンが口から毒を吐こうとしている。オレは空間収納からスライムを取り出しボルフにぶつけた。ボルフの身体はべとべと状態だ。
シュッー
紫の毒霧でボルフの姿が見えない。
「兄貴ー!」
「ボルフの兄貴ー!」
毒霧が消えるとボルフがクラーケンの頭に剣を突き刺していた。
ドッカン
クラーケンが地面に崩れ落ちた。同時にボルフも地面に落ちてきた。
バッタン
「兄貴ー!」
ゴンがボルフを抱き上げようとする。それをリンが止めた。
「ゴン!あなた死ぬ気!ボルフの身体は毒だらけなのよ!」
リンが手をかざすとボルフの身体が光り、身体の周りの毒がスライムのベトベトと一緒に消えてなくなった。それを確認して、再びゴン、カンタ、タキチがボルフに抱き着いた。
「兄貴!俺達、俺達、やったんですよねー!」
「ああ、クラーケンを倒したんだ!」
「お————!!!」




