表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王少年アスラ  作者: バーチ君
フェアリー大陸
50/151

アニム王国の港町ラオシ

 エメルと別れてからその日の夜は大変だった。



「ねえ、アスラー。見てて!」



 リンが大人の女性に変化した。それもかなりグラマーな美女だ。それに負けまいとマロンまで変身した。やはりグラマーな女性だ。



「あのさー!なんか誤解されてるようだから言うけど、オレは別に大きな胸の女性が好きなわけじゃないから。そのままのリンやマロンの方が可愛いし、好きなんだけどな~。」



 2人が変身を解いてオレの隣にやってくる。



「そうなの?アスラがそんな風に思っていてくれたなんて、全然知らなかったわよ。」


「あたしも知らなかった。アスラ兄は胸の大きな女の人が好きと思ってた。」


「違うから。確かにターシャさんやアレクシアさんは魅力的だったけど・・・」


「やっぱりね!」


「アスラ兄、変態!」


「違うから。あの2人にはそれなりに魅力はあったけどそれだけだよ。オレの家族はリンとマロンなんだから。」



 ニコニコしながらリンとマロンがオレの左右の手を握ってきた。



「それより、指輪なんだけどさ~。この指輪は魔法道具の一種なのかな~。」


「アスラ!あなた何を言ってるのよ。エメルさんを迎えに来た人魚達を見て何も気づかなかったの?」


「何が?」


「全員女性だったでしょ!」


「ああ、そうか~。人魚って男はいないのか?!」


「違うわよ。この指輪よ。この指輪で変身しているのよ。本来人魚は人と魚の融合した魔物なのよ。ただ、長い年月の間に魔物が魔力と知能を持って変化した存在なのよ。」


「そうなの?」


「そうよ。この指輪は人魚の鱗で作られているのよ。」


「へ~。リンって物知りなんだな~。」


「当たり前でしょ!」



 するとマロンが聞いてきた。



「リン姉。どうして女性の姿にしてるの?」


「身を守るためよ。人族や他の種族に見つかった時に、男の姿だったらすぐに殺されるでしょ。」


「どうして?」


「みんな、人魚の鱗が欲しいからよ。ドラゴンの牙とおんなじね。物凄く価値があるんだから。」


「なんか可哀そうな種族なんだな。」


「そうね。」



 するとリンのお腹がグー、ググググーとなった。



「お腹空いちゃったわ。そろそろご飯に行きましょ!」


「ああ。」


「あたしもお腹空いた!」



 そして船は順調に進んでいき、いよいよフェアリー大陸が見えてきた。



「もうじき獣人族の国アニム王国の港町ラオシだ。船を降りる準備をしておけよ。」


「はい。」



 船長さんに言われて、オレ達は船を降りる準備をした。準備と言っても何もない。荷物は全てオレの空間収納に収まっているのだから。



「着いたぞ!」


「お世話になりました。」


「ああ。ここから先は人族が少なくなるから気をつけろよ。」


「はい。」



 港には大勢の人達が集まっていた。船から荷物を降ろしたり、逆に荷物を積み込んだりするためだ。周りを見渡すと確かに人族は少ない。ほとんどが獣人族だ。



「どうする?アスラ。」


「せっかくだからこの国の王都に行ってみようか?そこがよかったら当分そこで暮らそうよ。」


「そうね。」



 マロンも獣人族が珍しいのか、辺りをキョロキョロしている。



「どうした?マロン。」


「また魔族がいないか調べてる。」



 どうやらこの前のルシフの一件がトラウマになっているようだ。



「大丈夫だ。オレの魔力感知にも反応がないから。」


「うん。」



 マロンがオレの手を掴んできた。汗をかいている。やはり不安なのだろう。



「王都に行く前にこの街を散策しましょうよ。」


「そうだな。」



 少なからずこの国を観光するために訪れる人族もいるようだ。お土産屋が並んでいる。



「なあ、リン。この国のお金を持ってないんだけど。」


「そうよね~。どこかで両替できるんじゃないの。」


「聞いてみようか。」



 オレはお土産屋に入って両替できる場所がないかどうか聞いた。



「すみません。オレ達、グラッセ王国から来たんですけど、どこか両替できるところはありませんか?」


「お兄さん達。観光かい?」


「ええ、まあ。」


「そうかい。両替しなくても大丈夫だよ。このフェアリー大陸では、人族の通貨も使えるんだよ。ただし、国によって金や銀、銅の含有量が違うから、重さを計って使うようにしてるのさ。」


「そうなんですね。ありがとうございます。」


「なんか買って行っておくれよ。」


「ああ、そうですね。なら、これをください。」


「毎度!」



 オレはリンとマロンに皮でできた靴を買った。



「ありがとう。アスラ兄。」


「ありがと。アスラ。」


「いいさ。それより他の店も見て回ろうよ。」


「うん。」



 すると前から厳ついカッコをした狼耳族の男達がやってきた。



「どけどけ~!」


「あの人達何かしら?」


「さあね。」



 男達が目の前にやってきた。



「お前達は観光か?」


「ええ、まあ。」


「この国に来たからには入国税をいただくぜ!一人金貨1枚だ。出しな!」


「この国には入国税なんていうのがあるんですか?」


「なんだ!お前!俺達のことを疑っているのか!」



 周りの人達が可愛そうなものを見る目で見ている。オレは目に魔力を集中させた。男達の背後に真っ黒の影が見える。どうやら嘘をついているようだ。



「わかりました。」


「えっ!アスラ!こいつらにお金を渡すの?」


「だって入国税なんだからしょうがいないじゃないか。」



 オレは懐から金貨を取り出し、相手の手に渡すと同時に相手の手を握った。



「貴様!何をする!」


「別に入国税を払っただけですけど。」



 バキバキッ



「痛ぇ!放せ!」



 オレが力を入れると男の手の骨が砕けたようだ。そのまま金貨を地面に落とした。



「あ~。いらないんですね。良かった。ならこれは仕舞っておきますね。」


「き、貴様~!なめた真似をしやがって!やっちまえ!」



 男達は腰の剣を抜いて斬りかかってきた。咄嗟にリンが背中の剣を抜いた。



シュッ



 男達のズボンのベルトが切れたようだ。男達は慌ててズボンを持ち上げる。



「どうするの?まだやるの?」



ヒエー タッタッタッ・・・・・



 男達はその場から逃げていった。



パチパチパチパチ・・・



 見物人達からは拍手が起こった。どうやら、あの狼耳族の連中は街の嫌われ者のようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ