バーベキューと温泉でリラックス?
海水浴で楽しんだ後はみんなでバーベキューだ。海水浴場の近くにある食堂に行って、店の外でバーベキューをすることになった。食材は野菜とレッドボアの肉と魚貝類だ。目の前には大きなエビやカニ、それにトゲトゲのついたウニ、巻貝もあれば平べったい魚や太った魚もあった。
「こんなに食べきれるのかな~。」
「大丈夫!このリン様がいるからね。それにマロンもよく食べるし、これじゃ足りないぐらいよ。」
「足りなかったらまた頼めばいいさ。」
「そうね。」
当然焼くのはオレとターシャだ。因みにターシャとアレクシアはエールと呼ばれる酒を飲んでいる。オレとお子ちゃま達は果実水だ。
「焼けたぞー!」
わーい!
大勢で食事をすることがほとんどないのか、ラーシャが思いっきり喜んでいる。リンとマロンはひたすら食べるだけだ。意外だが、アレクシアもよく食べる。やはり女性と言っても軍人だからだろうか。
「ラーシャちゃんが喜んでるようですから、ターシャさんも一緒に食べてください。オレが焼きますから。」
「悪いわね。アスラ君。」
ターシャさんはさすがに優雅だ。リンとは全然違う。少しずつ口に入れて食べていた。結局、リンが言った通り料理が足りずに2回ほど追加注文した。
「あ~!よく食べたわ!もうお腹いっぱいよ!」
「私もいっぱい!」
「アスラ君、悪かったわね。全部やらせてしまって。」
「いいんですよ。オレ、料理が好きですから。」
すると、アレクシアが酔っ払ったのか、変なことを聞いてきた。
「アスラ!お前、何歳だ?」
「オレですか?15歳ですよ。」
「そうか。ヒック!なら私とそれほど違わないではないか。ヒック!私は18歳だ。最初にあった時からおまえを可愛いと思っていたんだ。ヒック!私と結婚しないか!ヒック!私は料理が苦手なんだ!ヒック! ズ、ズ、ズー」
どうやらアレクシアが寝てしまったようだ。仕方ないので、オレが背負って帰ることになった。背中が温かい。それになんか柔らかいものが当たっている。
「アスラ!あなた何をニタニタしてるのよ!」
「してないよ!」
「いいえ。してるわよ!」
「うん!アスラ兄!にやけてる!」
翌朝、食堂に行くとアレクシアが真っ赤な顔で話しかけてきた。
「アスラ!昨夜はすまなかった。少し酔ってしまったようだ。」
するとリンが横やりを入れた。
「アスラ~!ちゃんと言いなさいよ~。『オレもアレクシアさんを背負えて幸せでした』って。」
「リン!何言ってるんだ!アレクシアさんに悪いだろ!」
「フン!」
するとラーシャが言った。
「アスラ兄ちゃん。もてる男はつらいね。」
「ラーシャちゃん。違うから~。」
そして今日はみんなで温泉に行く日だ。温泉はここから西に馬車で30分のところにある。馬車に乗って揺られていると、結構な数の馬車や人とすれ違う。そして、馬車が温泉街に到着した。馬車から降りると大勢の人達で賑わっていた。
「お母さん。卵の腐ったようなにおいがするよ。なんかすごく臭いんだけど。」
「温泉の匂いよ。いい匂いじゃない。」
リンとマロンは人々が持っている串焼きに目が釘付け状態だ。
「じゃあ、最初に宿をとりましょ。この街で1泊するから。」
街のいたるところに衛兵の姿がある。温泉という場所柄かもしれないが、治安を保つのは大変だ。オレ達が街を歩いていると宿屋の客引きがやってきた。
「お兄さん達。団体だね。うちの宿は団体の割引があるよ。どうだい?」
「だめだめ!うちの宿の方がお風呂が広いから!料理も美味しいし、こっちにしなよ。」
なんか活気があるというよりも、少しじゃまだ。そんなことを思っていると、アレクシアが彼らに言った。
「この街はいつから客引きが許可されるようになったんだ?」
「なんだい!お前さん、役人か何かか?」
「私はアレクシア=フランシスだ。」
「お、お、お姫様~!!!」
男達は慌てて逃げて行った。
「すまないな。客達に嫌な思いをさせないように、客引きは禁止しているんだがな。」
すると、ターシャが言った。
「仕方ないですよ。アレクシアさん。彼らも商売ですから。度を過ぎなければいいと思いますよ。」
「そういうもんか。私には商人の考えがよくわからんのだ。」
さすがに温泉街だ。大通り沿いにはたくさんの宿が並んでいた。すると、珍しくマロンがオレの手を掴んできた。
「アスラ兄。あの宿がいい。」
マロンが指さした宿を見ると、出入りしている人達が涼しげな服を着ていた。服は色鮮やかで、花や魚の絵が描かれていた。
「なら、あの宿にしようか。」
「うん。」
宿屋の前には看板があり、『くつろぎの館』と書かれていた。中に入るとすぐに受付があり、そこで6人分のお金を払ってそれぞれの部屋に行った。部屋がほぼ満室ということもあり、ターシャとラーシャは同室だ。リンとマロンも同室だ。
「じゃあ、お風呂から出たらここで待ち合わせして、みんなで街を歩きましょ。」
ターシャの意見にみんなが賛成した。オレは部屋に行った後、すぐにお風呂に入りに行った。まだ昼間のせいか、お風呂はそれほど混んでいない。周りを見渡すと外には露天風呂があった。
「あ~。癒されるな~。」
オレがのんびりと露天風呂に浸かっていると、右目に傷がある恰幅のいい男性が入ってきた。もしかしたら冒険者かもしれない。
「兄ちゃんも湯治かい?」
「ええ。まあ。」
「兄ちゃんも冒険者だろ?」
「どうしてですか?」
「その胸の傷を見りゃわかるさ。相当な危険を冒してきたんだろ?」
「そうですね~。何度も死にかけましたね~。」
「そうかい。だがな、命は一つしかねぇんだ。無茶はダメだぞ!」
「そうですね。」
オレはゆっくり入りすぎたと思い、慌てて風呂を上がって待ち合わせ場所に行った。だが、まだだれも来ていなかった。すると店の女将が話しかけてきた。
「お客さん。浴衣が似合いますね。」
「ありがとうございます。これ浴衣っていうんですか?」
「そうですよ。昔いた勇者様が伝えたものなんですよ。魔王盗伐のためにここに立ち寄ったんですよ。」
「そうなんですか~。」
そう言えば、オレを倒した後、あの勇者はどうしたんだろうか?勇者は人族なんだからすでに死んでいるのは間違いないはずだが。そんなことを考えていると、女性陣がやってきた。濡れた髪の女性は何とも色っぽい。まあ、リンとマロンとラーシャはお子ちゃまだけど。
「アスラ!あなた今、私達とターシャさんやアレクシアさんを比べたでしょ?」
「ひっど~い!」
「そんなことするわけないじゃないか。ハッハッハッ」
オレの右手をマロンが、左手をリンが掴んできた。オレの手を狙っていたラーシャはターシャと手をつないでいる。
「さて、どこに行きますか?」
「中央広場に行こうよ。あそこには屋台が沢山あるからね。」
「リンは本当に食いしん坊だな~。」
「育ち盛りなのよ!フン!」
屋台と聞いてマロンも黙っていられない。オレの手を引っ張り始めた。
「アスラ兄!もっと早く!」
「待てよ!急がなくても屋台は逃げないから!」
魚の串焼きを売っている店、肉の串焼きを売っている店、貝やエビの串焼きを売っている店、それに飴を売っている店がある。それ以外にも小物を売っていたり、指輪や耳飾りを売っている店もあった。
「何食べようかな~。リン姉ちゃんは何にするの?」
「私とマロンは全部よ。全部。」
結局、リンとマロンは食べ物の屋台を端から訪れ、それぞれの店で全部を頼んだ。オレとターシャは貝の串焼き、アレクシアは肉の串焼き、ラーシャは魚の串焼きを買った。
「ラーシャ。食べすぎちゃだめよ。宿の晩御飯が食べられなくなっちゃうからね。」
ターシャの言葉でリンとマロンの顔が青ざめた。そこにアレクシアが追い打ちをかける。
「そうだぞ!温泉宿の楽しみは風呂と料理なんだからな。」
「そ、そんな~。もう、お腹いっぱいよ~。」
「リンもマロンも後先のことを考えずに行動するから罰が当たったんだよ。」
「ひどいよ。先に言ってよ!」
アッハッハッハッ
みんなで歩いていると衛兵が凄い勢いでやってきた。
「オークだ!オークの集団がやってくるぞー!みんな急いで避難しろ!」




