王都キャンベでの新しい生活
オレ達は王都キャンベに到着した。当分ここで暮らそうと思い、宿屋でなく貸家を探した。そこでエルフ族のターシャとラーシャと知り合った。ターシャにはオレ達の魔力が見えるらしく、人族ではないんじゃないかと疑われたが、貴重な世界樹の指輪をもらった。
「ねえ。アスラ。ベッドを運ぶから手伝って!」
「どうしてさ?このままでいいじゃん。」
「アスラさ~!私と別の部屋で寝るつもりなの?!」
「普通はそうだろ?未婚の男と女が同じ部屋で寝るなんておかしいだろ!」
「何言ってるのよ。ずっと一緒に寝てたじゃない!私、一人は嫌なのよ!だからいいでしょ?」
リンが上目遣いで見てきた。
「仕方ないな~。」
「ヤッター!さすがはアスラね!」
結局、オレとリンは一緒の部屋で寝ることにした。ベッドを運び終わったオレ達はソファーや雑貨類を買いに行こうとしたが、その前に心もとない資金を調達しなければならない。そこで、魔物を換金するために冒険者ギルドに行った。
「どこのギルドも一緒ね。昼間から酔っぱらってる馬鹿どもがいるわね。」
「しっー!ダメだよ!聞こえたらまた騒ぎになるから!」
受付を見ると女性が数人いた。中には兎耳族の女性もいる。みんなグラマーで美人だ。どうして冒険者ギルドにこんな魅力的な女性達が集まるのか不思議だった。
「君達何か用?」
「はい。魔物の買い取りをお願いしたくて。」
「なら、カードを見せてくれるかな。」
オレ達がカードを渡すと受付の女性達が驚いた様子だ。兎耳族の女性が2Fに走って行った。
「買取なら裏に回ってくれるかな?」
「はい。」
オレ達が何も持っていないことが不思議だったのか、他の冒険者達が何か言いながらこっちを見ていた。オレもリンも彼らを無視して解体場に向かった。
「それって魔法袋でしょ?ここに出してくれる?」
何故か何も言わなくても魔法袋のことを知っていた。オレは魔法袋から取り出すふりをしながらレッドボアを3匹取り出した。この前のギルドと違って驚いた様子はない。そこに兎耳族の女性と一緒に恰幅のいい冒険者風の男性がやってきた。恐らくギルドマスターなんだろう。オレが取り出したレッドボアを確認して一言言った。
「やはり噂は本当だったようだな。」
「何がですか?」
「君達、エルナンドのギルドにも行っただろ?」
「はい。ですが、それがどうかしたんですか?」
「このレッドボアをどうやって倒したんだい?」
エルナンドで説明したのと同じように、罠を仕掛けて討伐したと説明した。だが、ギルドマスターがオレを睨んだ。
「君、嘘はダメだよ!このレッドボアには罠にはまった跡がないじゃないか。それにどれも一撃で頭を割られているよね。これを倒した人間は相当な剣の腕前だよ。それに、その魔法袋さ。確かおじいさんの遺品だっけ。おじいさんの名前は?それだけのものを持っていたんだ。無名であるわけないよね。」
オレは言葉に詰まってしまった。するとリンが言った。
「換金してくれるの?してくれないの?どっちなの?私達のことを詮索するなら、せっかく借家を借りたけど、もうこの国にはいられないわ。行きましょ!アスラ!」
リンは相当お怒りのようだ。リンの剣幕に押されたのか、ギルドマスターが謝ってきた。
「申し訳ない。別に君達のことを怪しんでるわけじゃないんだ。ただ、君達がいたスチュワート王国では、10年前に黒龍と魔王が現れたって聞いていたからね。」
「でも、ここに来る途中でそのどっちも討伐されたって聞きましたよ。」
「そうかい。でも、スチュワート王国で暮らしていた君達がそのことを知らなかったのは不思議だよね。」
「あなた何が言いたいのよ!私かアスラが魔王とでも言いたいの?」
「別にそんなんじゃないさ。」
「オレとリンは田舎に住んでいたから良く知らないんです。本当です。」
「そうかい。わかったよ。なら、これ以上詮索するのはやめておこうか。今、お金を用意するから受付で待っていてくれるかい。」
「はい。」
オレ達が受付に行くと受付の女性達がニコニコしながら話しかけてきた。
「私、ラビー。見ての通り兎耳族よ。よろしくね。」
「私はカレラよ。よろしく。」
「私はカエデよ。良かったら今日お姉さんの家に泊まってもいいわよ。いろいろ教えて・あ・げ・る。」
するとリンがオレの腕を引っ張った。
「オレはアスラです。外泊はできません。理由はわかりますよね。」
「アスラ!何よ!その言い方!私はリンよ!アスラを口説くのはやめなさい!私がいる限り無駄よ!」
「ハッハッハッハッ 冗談よ!リンさん。大丈夫!誰もアスラ君を誘惑なんかしないから!」
なんか聞いてるオレの方が恥ずかしくなってきた。
「待たせたね。報奨金だ。受け取ってくれ。」
目の前には大金貨1枚と金貨が8枚置かれた。
「こんなにいいんですか?」
「ああ、君達のことをいろいろ詮索したから、そのお詫びも入っているよ。」
「ありがとうございます。」
すると、ギルドマスターが真剣な顔で言ってきた。
「俺はこの国のギルドマスターをしているバンコクだ。君達にお願いがあるんだ。もしもだよ。もしもこの国に危機的なことが起こったらその時は頼む。」
ギルドマスターが何を言っているのかよくわからなかった。受付の女性達も不思議そうな顔だ。
「オレ達にできることなら協力しますよ。」
「そうかい。ありがとうな。」
大金を手に入れたオレ達はそのまま家具屋に向かうつもりだったのだが、最悪なことに、その途中で服屋が見えた。服屋には女の子が喜びそうな服がたくさん飾られていた。
「アスラ!この店に寄るわよ!」
「わかったよ。オレはここで待ってるから、行っておいでよ!」
「一緒に行くに決まってるでしょ!」
オレはリンに手を引かれて店の中に連れていかれた。
「この服なんかどうかな?」
やはりリンも女の子だ。いろんな服を手に取って聞いてきた。正直何と答えていいか分からない。どの服も似合っているからだ。結局、5着ほど買って満足したようだ。当然荷物はオレが持ち、そして再び目的の家具屋に向かった。




