過去の記憶
本日より第2部です。続いてお楽しみください。
黒龍との戦いで肉体ごと消滅した僕は、目覚めると真っ白な空間にいた。周りを見渡すと真っ白な神殿のようなものが見える。その神殿の方から光り輝く存在がやってきた。最高神ナデシア様だ。僕は慌てて平伏した。
「アスラ!やっぱりあなたは怒りを抑えきれなかったのね。でも、今回は仕方がないわね。」
「何のことですか?」
「そろそろあなたの記憶を一部返しましょう。」
ナデシア様の手から光の球が現れ、僕の身体の中に吸い込まれていった。そして、僕の頭の中に様々な記憶が蘇ってきた。
僕は神界にいた。なぜ僕が神界にいたのか、何をしていたのかは分からない。やんちゃだった僕は地上世界をいつものぞき込んでいた。
「暇だな~。でも地上の連中は何て愚かなんだ。みんな兄弟なのになんでいがみ合ったり、憎しみ合ったりするんだろう。」
「人は欲深い生き物だからですよ。お金や権力の執着するのです。」
「どうしてですか?」
「修行のためよ。物欲から離れて本当に大切なものを学ぶためなんですけどね。でも、思う通りにはいかないわね。」
そして、ある時冒険のつもりで、他の神々に見つからないように人族としてある国に降り立った。街を歩いていると教会のような建物が見えた。僕が教会の近くに行くと、隣の建物から声が聞こえてきた。
「アリスお姉ちゃん。お腹空いた~。」
「僕もお腹空いた~。」
「もうすぐ司祭様が帰って来るから待ってましょ。」
「うん。」
そこは教会に併設された孤児院のようだ。建物の中には18歳くらいの少女と子ども達がいた。どうやら、子ども達が腹を空かせているようだ。
「外に誰かいるよ!」
一人の子どもが窓を指さした。するとアリスが慌てて外に出てきた。
「あなたは誰ですか?ここに何の用ですか?」
アリスは何かを警戒しているようだ。
「僕はこの街に来たばかりなんだ。子ども達の声が聞こえたから覗いてみただけさ。」
「そうなのね。てっきりこの子達を攫いに来たのかと思っちゃったわ。ごめんなさい。」
「いいよ。悪いのは僕なんだから。それより、ここは何なの?」
「この子達には両親がいないのよ。だからこうして司祭様がこの子達の面倒を見ているのよ。」
「どうして親がいないのさ。」
「戦争よ。戦争で両親が殺されたのよ。ここは寒いから中に入らない?」
「いいの?」
「ええ。あなたは悪い人じゃないみたいだから。」
僕は建物の中に入った。すると、最初は不審に思っていた子ども達も次第に話しかけてくるようになった。
「お兄ちゃんの近くってすごく温かいね。お兄ちゃんのお名前は何て言うの?私はミサトっていうんだ~。お父さんがつけてくれたんだよ。」
「僕はガイアさ。ミサトちゃんか~。いい名前だね。」
「うん。」
しばらくして司祭様が帰ってきた。司祭様は僕を見るなりいきなり驚いた顔をした。
「お帰り~!司祭様!お腹空いちゃったよ!」
「ごめんごめん。病気で困っている人がいたから治療して回ってたんだよ。これ、お土産だからみんなで分けなさい。」
「わーい!ありがとう!」
司祭様が僕のところにやってきた。
「あなた様がどうしてここに。」
「えっ?!僕のことがわかるの?」
「はい。これでも聖職者ですから。」
「そう。でもみんなには黙っていてね。」
「はい。わかりました。」
「地上を見ていたら、なんか急に来てみたくなったんだ~。だから、遊びに来たんだよ。」
「そうなのですか。何もありませんがゆっくりなさってください。」
「ありがとう。」
その後、僕は神界とこの孤児院を行き来するようになった。孤児院に行くときにはたくさんの食べ物やおもちゃを持っていく。
「ありがとう。ガイヤ兄ちゃん。」
「みんなで分けて食べるんだよ。」
「うん。」
「ガイヤさん。いつもありがとうございます。」
「アリスさんはどうしてここに?」
「私も両親がいなくて、司祭様に拾われてここまで育てていただいたんです。」
「そうだったんだ~。アリスさん。今日は二人で街に行ってみない?」
「でも、子ども達が・・・」
すると司祭様と子ども達が言ってきた。
「アリス。たまにはいいじゃないか。子ども達は私が面倒を見よう。ガイヤさんと出かけてきなさい。」
「お姉ちゃん!デート!デート!」
「こら!シン君!大人を揶揄うもんじゃありません!」
「アリスお姉ちゃん、顔が赤くなってるよ。熱でもあるの?」
「大丈夫よ。ミサトちゃん。心配してくれてありがとう。」
その後、僕とアリスは街に出かけた。街には屋台やお店が並んでいた。だが、通りを歩く人々の表情は暗い。なによりも街にはたくさんの兵士達の姿があった。僕とアリスが並んで歩いていると、声をかけてきた兵士達がいた。
「おい!お前達!国が非常事態の時に何をやっているんだ!」
アリスが兵士に頭を下げた。
「すみません。買い物に来ただけなんです。」
「我々が命懸けで戦っているのにイチャイチャしやがって!」
「すみません。本当にすみません。」
「いいからこっちに来い!」
兵士の一人がアリスの手を引っ張った。それを見て僕の心に怒りの感情が沸き上がった。僕の身体からゆらゆらと黒い靄が溢れだし、兵士達は腰を抜かした。
「お、お、お前は化け物か!」
アリスが僕の手を引っ張って走り出した。
ハーハーハーハー
「ここまでくれば大丈夫ね。」
「ごめん。」
「どうして謝るのよ。ガイヤさんは何も悪くないじゃない。」
「でも、迷惑かけたし。」
「迷惑じゃないわ。ちょっとだけハラハラして楽しかったもん。」
アリスは僕のことを何も聞かなかった。
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