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魔王少年アスラ  作者: バーチ君
竜族の住むトロイア大陸
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決戦(1)

 一方、竜王のいる王城内でも騒ぎになっていた。



「ライジンが生きていたというのは本当か?」


「ああ、本当のようだ。俺の部下達が調べたようだからな。」


「ならば、竜王様にすぐに報告に行かねばな。」



 四天王のサモンとルークスが2人揃って竜王のいる部屋を訪ねた。すると、そこには竜王が誰かと話をしている姿が見えた。



「何事だ!サモン!ルークス!」


「はい。どうやらライジンが生きていたようです。現在、ドラクとともにこの王都に向かっているようです。」


「ああ、そんなことか。」


「竜王様!ライジンが生きていたんですぞ!」


「知っていたさ。」


「もしや、先日この大陸に侵入した者達というのはライジン達のことだったのですか?」


「ああ、そうだ。ライジンやドラクはともかくとして、どうやら厄介な相手が来たようだぞ!」


「厄介な相手ですか?」


「厄介な相手とはどのような者達ですか?」


「もうすぐわかるさ。だが、恐れる必要はない。こちらにはこの剣があるのだからな。」



 竜王が空間収納から一本の剣を取り出した。その剣からは毒々しい光が溢れ出ていた。サモンが恐る恐る聞いた。



「その剣は一体何なんですか?とてつもない魔力を感じるのですが。」


「この剣はある方から授けられた『滅死刀』と呼ばれるものだ。何やら神すら殺せるものらしいぞ。」


「神をですか?」


「ああ、そうさ。この剣さえあれば天使であろうと慈愛神であろうと怖いものなど何もないさ。」


「天使?」


「慈愛神?」



 サモンとルークスの顔が青ざめていく。



「竜王様。もしかして、我々が相手をしているのは天使や神なのですか?」


「フフフ。」



 竜王は不気味な笑いを浮かべるだけであった。


 

 その頃、王都の近くの森の中に潜んでいたオレ達は細かな作戦を考えていた。



「アスラさん。王都の中で戦うつもりなんですか?」


「どうしてよ。何かまずいことでもあるの?」


「リン殿。王都には大勢の同胞が住んでるんですよ。ドラクは関係ない者達が戦いに巻き込まれるのを心配しているんです。」


「アスラ~。どうにかできないのか?一般人を気にしながら戦うのは難しいぞ!」


「ミコト姉の言う通りかも。」



 王城の近くを結界で閉ざしてしまう方法も考えたが、その場合結界内に一般人が取り残される危険性もある。それに、狭い範囲での戦闘になるとこちらとしても戦いにくい。あれやこれやと考えていると、リンがポツリと言った。



「対象になる者達だけを別の場所に転移させることができればいいんだけどね~。」



 リンの言う通りだ。オレ達に害をなそうとしている者達だけを、この王都の郊外に転移させればいいのだ。



「それでいこうか。」


「えっ?!アスラさん。そんなことができるんですか?」


「大丈夫さ。」


「アスラ!そうすれば王城の地下に幽閉されているナーシャさんも安全ね。」


「ああ、そうだな。」


「アスラ殿。そこまでナーシャのことを・・・。感謝します。」


「頭をあげてくれよ。ライジン。当たり前のことさ。」



 オレ達は王都に入ることにした。王都に入った後は、リン達が王城の近くにいる一般人を非難させると同時に、オレが敵意を持つ兵士達を素早く郊外に転移させる。そして、一般人がいなくなったところで、まとめて王城ごと郊外に転移させるつもりだ。



「ライジン。オレが王城を転移させたらすぐに地下室に行って、ナーシャさんを救出してくれ。」


「わかりました。」



 そしてオレ達は公道を開始した。オレは神眼を使って、敵意のある兵士達を次々に郊外に転移させた。リン達も順調に一般人を非難させていた。するとそこに、四天王の一人サモンが兵士達を引き連れてやってきた。



「お前達、何をしているんだ?」


「何って、見ればわかるでしょ!みんなを非難させているのよ!関係ない人達が戦闘に巻き込まれないようにしているのよ!」


「戦闘?貴様らは何を言っているんだ!もしや、貴様らはライジンの仲間の天使か?」


「だったら何よ!ここで戦うっていうの?そんなことしたらあんたの同胞に犠牲者が出るかもしれないわよ!それでもいいの?」


「そんなことは関係ない!我ら竜人は竜王様のために生きるのだからな!」



 サモンとリンとの様子をオレは上空から眺めていた。そしてオレは、魔力感知で王城周辺から一般人がいなくなったのがわかった。



「リン!避難終了だ。」


「アスラ~。」


「貴様は何者だ?」


「今教えてやるよ。」



 オレは上空に舞い上がった。そして神気を解放した。すると全身が眩しい光に包まれ、白い衣を纏い、頭に月桂樹を冠した慈愛神が現れた。



「あの神々しい姿は、もしや慈愛神なのか?!」



 オレはサモンとその部下達に微笑みかけ、そして両手を広げて神力を辺り一帯に開放した。すると、辺り一帯が薄いピンク色の靄に包まれ、次の瞬間、王城と近くにいた者達全員が王都の郊外へと瞬間移動した。サモンも兵士達も何が起こったのか理解できずに、目を丸くして驚いている。



「ここならいくら戦っても一般の人々には影響が出ないだろ。さあ、世界の平和を乱そうとする者達はかかってこい!オレ達が相手をしてやる!」



 流石に城の中にいた竜王達も異変に気が付いたようだ。城の中から竜王をはじめとして四天王のルークス、それに兵士達がわさわさと出てきた。先に転移させいた兵士達も加わり、ざっと見ても竜人の兵士達は200人ほどいる。だが、神々しいオレの姿を見て怖気づいている者達もいた。その様子を見て、竜王がオレに声をかけてきた。



「貴様が神の名をかたる愚か者か。この竜王が貴様を成敗してやる。皆の者!恐れるでない!あやつは偽物だ!全員であやつを打ち取れ!」



 竜王の声を聞いて竜人達がドラゴン化していく。敵でありながら、200近くいるドラゴン達の様子に感動してしまった。真っ赤なドラゴン、真っ黒なドラゴン、真っ白なドラゴンが目の前に200もいるのだ。普通なら恐怖でしかないだろう。だが、何故かオレには美しく思えたのだ。



「アスラ!何を見とれているのよ!相手は敵よ!」


「ああ、悪い。つい見とれてしまったよ。」


「マロン!ミコト!私達も力を解放するわよ!」


「ああ!」


「うん!」



 リン、マロン、ミコトも魔力を解放して天使の姿へと変化した。そして、ドラクも緑と白のドラゴンへと姿を変えた。



「あやつらを殺せ!我ら竜人族の敵だ!皆殺しにせよ!」


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