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魔王少年アスラ  作者: バーチ君
竜族の住むトロイア大陸
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戦闘の始まり

 トロイア大陸に着いたオレ達は、大陸に来て初めての街に到着した。そこで、2人一組になって街の中を歩きながら、現在の状況を探るため街の住人たちに話を聞いて回ることにした。



「なんで私がドラクと一緒なんだ?」


「勘弁してくださいよ。ミコトさん。クジでそうなったんですから。」


「まあ、仕方がないな。さっさと調べて早く集合場所に行くぞ!」


「は、はい。」



 その頃、リンとライジンは服屋にいた。



「リン殿。私達は街のことを調べるんじゃないんですか?」


「そうよ。だからこうしてお店に入ったんじゃない。買い物すれば店の人も色々教えてくれるでしょ。」



 確かに正論だが、ライジンにはただ単にリンが服を買いたいだけのような気がした。


 そして、オレとマロンのペアは、ミコトが予想した通り手をつなぎながら屋台の前にいた。



「おじさん。そっちの美味しそうな串焼きを2本くれるかな。」


「はいよ!おたくら、みない顔だな~。新婚旅行か何かで来たのか?」



 するとマロンがもじもじし始めた。



「おじさん。オレ達、兄妹だよ。それより聞きたいんだけど、どうしてこの街には男が少ないんだ?」


「お前達はどこの街から来たんだ?今、国中から男達が集められてるだろ!まったく、人族の国に攻め込むなんてしなくていいのによ!ライジン様やドラク様がいればこんなことにはならなかっただろうにな!」



 どうやら竜王は本格的に人族の国に攻め込むつもりのようだ。オレとマロンは肉串を食べながら待ち合わせ場所に向かった。すると、すでにミコトとドラクがいた。オレ達が到着するとすぐにリンとライジンもやってきた。



「リン!その手の荷物は何なんだ?」


「よく気が付いたわね。ミコト。これは情報を得るために購入した服よ。」


「服?お前、服を買っていたのか?」


「リン姉、ずる~い!」


「マロンだって何か食べたんでしょ?口元に何かついているわよ。」



 リンに指摘されてマロンは慌てて口元を手で拭いた。



「なんだよ~!まともに情報収集していたのは私達だけか!」


「そんなことないわよ!私達だって貴重な情報を手に入れたわ。ねっ!ライジン!」


「ええ、そうですね。」



 みんなが集めた情報を整理すると、この街の男達は兵士に勧誘されたが強制的なものではなかったようだ。だが、地位や高額なお金を提示され、結構な数の男達が王都に行ったらしい。恐らく他の街でも同様なことが行われただろう。



「みんな。竜王のいる王都まで急ごうか!」


「そうね。3か月前に男達が集められたってことは、いよいよ人族の街に攻め込むのかもね。」


「どうしてすぐに攻め込まないんだ?私ならすぐに攻め込むぞ!」



 するとライジンが答えた。



「ミコト殿。いくら竜人族と言っても兵士でない者達が戦うには訓練が必要ですから。それに、この大陸以外には人族の大陸やエルフ族の大陸、魔族の大陸がありますよね?そうなるとしっかりと作戦を立てる必要がありますから。」


「なるほどな。」



 だけどそれだけではない。ライジンはともかくとして、ドラクが生きていることは明らかなのだ。竜王がドラクを放置しておくわけがない。何かを企んでいるはずだ。



「ライジン。ドラク。竜王のいる王都までの道案内を頼むよ。」


「わかりました。」



 街を出て、オレ達は再び王都まで飛翔し始めた。日が傾いて暗くなり始めたころ、前方に大きな雲が見え始めた。どうやら嵐のようだ。

 


「アスラ!あの雲の中に魔力を感じるわ!」


「ああ、わかってる!みんな、どうやら敵がお出迎えのようだよ。」



 真っ黒な雲が近づいてくる。同時に風が強く吹き始め、雨が降り始めた。



「アスラ。一旦地上に降りないか。この強い風の中じゃ身動きが取れないぞ!」


「アスラさん。ミコトさんの言う通りです。一旦地上に降りましょう。」


「わかったよ。みんな、地上に降りよう。」


「了解。」



 オレ達は地上に舞い降りた。前方の雲の間からワイバーンの群れが現れ、そのすぐ後ろにはドラゴン化した竜人達がいた。



「アスラさん。どうするんです?あの数が相手じゃ、殺さずに撃退するのは無理ですよ。」


「アスラ。ドラクの言う通りよ。ワイバーン50匹は何とかなるにしても、ドラゴン化した竜人達が30体もいたら本気で行くしかないわよ。」



 竜人達が自ら率先して戦いを挑んできているのなら問題はない。だが、人質を取られ足り脅されたりして仕方なく参戦しているのなら殺したくはない。



「みんな聞いてくれ。」


「どうするんだ?アスラ!」


「竜人達はオレが相手をするよ。みんなはワイバーンを討伐してくれ。」


「もしかして、アスラ!あなた、竜人達を殺さずに何とかしようと考えているんじゃないでしょうね?」


「無茶ですよ。アスラさん。」


「アスラ殿。ドラクの言う通りです。我々も同胞は殺したくないですが、あの数を相手に殺さずに何とかしようっていうのは無茶です。」



 リンもマロンもミコトも心配そうにオレを見ている。



「大丈夫さ。とにかくオレに任せてくれ。」


「わかったわ。でも、いざという時は私達も参戦するからね。」


「ああ、わかったよ。」


「ライジン!俺達も戦闘準備をするか!」


「ああ、そうだな。」



 ドラクとライジンの身体が光りだし、2人の姿がドラゴンへと変化していく。ドラクは白と緑のドラゴンへと変わり、ライジンは黄色と黒のドラゴンへと変化した。マロンとミコトが目をキラキラさせながら2人を見た。



「ドラク!ライジン!あんた達、めちゃくちゃカッコいいじゃないか!」


「うん!かっこいい!」


「やめてくださいよ!ミコトさん!これが俺達の本来の姿なんですよ。」


「マロン!ミコト!私達も魔力を解放するわよ!」


「そうだな!」



 今度はリン、マロン、ミコトの身体が光始めた。そして、リンの背中には純白の大きな翼が生え、マロンとミコトの背中にも純白の翼が出た。



「皆さん!綺麗です!」


「ライジン!当たり前だろ!皆さんは天使様なんだぞ!」



 するとマロンが一言言った。



「私とミコトはまだ見習い!」


「ああ、そうでしたね。すみません。」



 みんな戦闘の準備ができたようだ。



「じゃあ、行こうか!」



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