表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王少年アスラ  作者: バーチ君
竜族の住むトロイア大陸
143/151

裏切り者のヤハル

 海賊のアジトに向かうオレ達の前に島が見えてきた。恐らく、海賊達のアジトのある島なのだろう。そのままゆっくりと進んでいくと、岸辺に大きな海賊の船が見えた。海賊達は2隻の大型船を持っていた様だ。



「デジットさん。相手に魔法使いがいるのであれば、もうオレ達のことがばれているかもしれませんが、念のために少し離れた場所に上陸しましょう。」


「そうだな。」



 オレ達は海賊船が停泊している場所から少し離れた場所に上陸した。上陸するといきなりドラクがリンとマロンと一緒にやってきた。



「アスラさん。どうでしたか?」


「何が?」


「何がって、俺の攻撃見てくれてたんですよね?」


「ドラクはアスラ兄に褒めてもらいたいんだよ。」



 マロンに言われてドラクが照れている。



「そうだな~。良かったと思うよ。さすが風竜族なだけはあるよ。」


「そうですか~。いや~。嬉しいな~。アスラさんに褒められるなんて信じられないですよ。」



 ごつい見た目に反してかなり恥ずかしがり屋のようだ。少しドラクが可愛く思えた。リンもマロンもミコトもかわいいものを見る目でドラクを見ていた。



「なんか、ドラクが竜族の四天王っていうのが信じられなくなってきたわ。確かに攻撃力はあるけど、ちょっとナイーブすぎるよね。」


「リンさん!嬉しいものは嬉しんですよ!だってアスラさんに褒められたんですよ!嬉しくないわけないじゃないですか!」



 オレ達の会話を冒険者達が聞いている。冒険者達は怪しいものを見る目でオレのことを見ていた。



「あのドラクって人は竜人なんだろ?竜人って言えば伝説上の存在で、最強の種族だよな~。」


「ああ、そうさ。お前も見ただろ?あんな魔法なんか食らったら一巻の終わりさ。最強の人族だって勝てっこないぞ!」


「じゃあなんであの竜人はあのアスラっていう少年を敬ってるんだ?」


「そんなこと知らねぇよ。超人的に強いんじゃねぇのか!」


「それに、あのリンっていう少女だって魔法を使っただろ!あいつら本当に人間なのか?」


「知らねぇよ!そんなに気になるなら聞いて来いよ!」



 冒険者達の会話が聞こえてくる。リンもマロンもミコトも同じように聞こえたのだろう。3人ともニコニコしている。すると、デジットがやってきた。



「アスラ殿。これからどうするんだ?」


「今日はもう遅いから、ここでいったん野宿して明日に総攻撃を仕掛けましょう。」


「そうだな。」


 

 すると、デジットのところに冒険者が一人やってきた。情報源のAランク冒険者のヤハルだ。



「ギルマス。もしここで休憩するなら、俺が奴らのことを探りに行って来ようか?」


「ああ、ヤハルか。そうだな~。確かに奴らの人数も知りたいしな。頼めるか。」


「任せておけよ。じゃあ、行ってくるわ。」



 ヤハルがアジトのある方向に歩いて行った。それを見てリンがオレを見た。どうやらリンもヤハルのことが怪しいと思ったのだろう。



「マロン。あのヤハルとかいう男に気づかれないように、後をついていってくれるか?」


「うん。わかった。」



 ヤハルとマロンが去った後、オレ達は林の中に薪を取りに行った。しばらくして、マロンからの念話が来た。



“アスラ兄。ヤハルっていう人が海賊達のアジトに入っていった!”


“そうか。なら、声が聞こえるあたりまで近づいてくれ。”


“わかった!”



 リンとミコトとドラクにマロンからの情報を話した。



「やっぱりな!あのヤハルってやつ、目つきが怪しかったんだ!」


「確かヤハルはアスラ達の船に乗ってたんだよね?」


「ああ、そうさ。」


「なら、私の魔法やとドラクの攻撃をまじかで見ていなかったのね?」


「確かに近くにはいなかったけど、リンとドラクの様子はオレ達の船からでも十分見えてたけどな。」


「もしそうだったら、海賊達は今夜中に逃げるかもね。」


「それはどうかな~。私だったら逆だな。自分の力を試すためにドラクに戦いを挑むだろうな。」


「まったく~!ミコトは戦闘狂なんだから!」


「俺はいつでも戦えますよ。相手が海賊なら容赦しませんけど。」



 

 その頃、海賊達のアジトではこれからのことが話し合われていた。



「ヤハル。本当に討伐隊の中に竜人と魔法使いがいたのか?」


「ええ、間違いありませんよ。ヘラルドさん。」


「それはおもしれぇじゃねぇか!」



 15人ほどいる海賊達は竜人と聞いて顔が青ざめている。だが、首領のヘラルドだけはニヤニヤと笑っていた。



「おい!お前達!出かける準備をしろ!」


「船長!どうするんですか?」


「夜襲をかけるんだよ!相手は30人。しかもSランクの冒険者が4人に竜人まで居やがるんだ!普通にしてたら勝てねぇだろ!寝込みを襲うんだよ!」


「わかりやした!」



 海賊達は戦の準備を始めた。早ければ1時間ほどで襲ってくるだろう。マロンは少し離れた場所に移動して、アスラに念話で連絡した。



「わかったよ。マロン。戻って夕食を食べてくれ。」


「うん。」



 オレはデジットのところに行って説明した。



「あのAランクのヤハルっていう人は海賊の仲間ですよ。1時間ぐらいでここに夜襲をかけに来ます。みんなに戦いの準備をするように言ってください。」


「やはりそうだったか。」


「デジットさんは気づいていたんですか?」


「確信はなかったが、怪しいとは思っていたんだ。俺達の船が奴らに待ち伏せされていただろ?考えたくはないが、誰か内通者がいるかもしれないとは思ったさ。でも、どうしてわかったんだ?」


「仲間のマロンにヤハルの後をつけさせましたから。」


「一人で大丈夫なのか?」


「ええ、彼女はドラクよりも強いですよ。」


「アスラ殿。君達は本当に何者なんだ?」


「まあ、いいじゃないですか。それより早くみんなに伝えてください。」


「わかった。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ