シロヤの街の悪党退治(2)
リン達が向かったアジトは街の外れの倉庫街にあった。どうやら人質はこの倉庫のどこかにいるようだ。
「マロン。あなたに人質の救出を頼むわ。」
「わかった~!」
「シーマ。あなた達も一緒に行きなさい。」
「でも、2人だけで大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ。それより、ちゃんと人質を無傷で救出するのよ!」
「はい!」
マロンは上空から目と耳に魔力を集中させて倉庫を確認していく。
「いた!」
マロンが地上に降りるとシーマ達が固まっていた。
「マ、マロンさん!あなた今空を飛んでましたよね!」
「そんなことどうでもいい!それよりも人質はあそこ!」
マロンの指さした倉庫の前には見張りのような男達が3人いた。シーマ達5人は剣を抜いて、人質救出に向かった。その後ろからマロンがついていく。
「お前らなんだ?!」
「妻や子どもを返してもらうぞ!」
「そんなことして、どうなるかわかってるんだろうな!」
見張りの男達も腰の剣を抜いた。そこでマロンがみんなの前に出た。
「なんだ!てめえは!」
「うるさい!『シャドウースネイク』」
地面からクネクネと蛇が現れ、男達を縛り上げていく。
「ギャー なんなんだ!これは!」
「た、助けてくれー!」
「動いたらこの毒蛇が噛む!」
「わかった!わかったから!許してくれ!」
「噛まれたくなかったら動かないで!」
マロン達は倉庫の中に入っていった。すると、倉庫の中に牢屋のような場所があり、そこに大勢の女性と子ども達が囚われていた。
「今、解放してやるからな!」
シーマがカギを開けると中からシーマ達の妻や子ども達が出てきた。
「あなた!」
「お父ちゃーん!」
「無事でよかった!ヴ、ヴ、グスン・・・」
マロンは彼らをおいてミコトのいる場所に向かった。
一方、ミコトとリンはアジトに乗り込んでいた。
「なんだ?お前達は?自分達から捕まりに来たのか!」
「兄貴!こいつら相当高く売れそうですぜ!」
「片方はまだガキじゃねぇか!」
リンのこめかみに血管が浮き上がる。ガキと言われたことが我慢できなかったようだ。
「誰がガキよ!私がガキなら、あんた達なんかスライム以下じゃない!絶対許さない!」
「なんどと~!このクソガキが!」
騒ぎを聞いた男達がぞろぞろと出てきた。一番後ろには体の大きなスキンヘッドの男がいた。どうやら組織のボスのようだ。
「ミコト!やるわよ!」
「ああ。」
リンとミコトが剣を抜いた。すると、慌てて男達も剣を抜いて構えた。
カキン ズバッ スパン ガキッ スパッ
ドタン バタン バタン
「うわー!痛ぇよー!」
「お、俺の足が~!」
「痛ぇよー!助けてくれー!」
「バケモンだー!」
物の数分で男達は戦闘不能になった。全員が片足を斬り落とされて地面を転げまわっている。リンが手をかざすと、男達の足から流れていた血がとまった。
「止血したわ!これで死ぬことはないけど、このまま逃がすわけにはいかないわね。ミコト!やっちゃって!」
「わかった。」
ミコトが聖剣リジルを地面に突き刺し魔法を唱える。
「土の牢獄現れよ!『グランドプリズン』」
すると地面が盛り上がっていき、男達が逃げられないように高い壁になった。
「さて、ここで待ってようか。」
リンとミコトが戦いを終えたころ、オレと暁のメンバーとドラクは領主の館に来ていた。
「結構大きな屋敷だな~。」
「そうですね。ここには執事だけでなく、領主や領主の家族もいるんですよね?」
「多分な。」
「アスラさん。私とジュリーは領主の家族の護衛に回ろうかしら。」
「そうしてくれ。オクトとセプトは領主を守ってやってくれ。もしかすると、執事が人質にするかもしれないからな。」
すると、ドラクが不思議そうだ。
「アスラさん。そんな面倒くさいことしないで、一気にその執事を潰せばいいんじゃないですか?」
「念には念を入れるのさ。オレは死人を出したくないからね。」
それでもドラクは不思議そうだった。そして、オレ達は領主の屋敷へと向かった。可哀そうだが、門番には少し休んでいてもらうことした。
グホッ バキッ ゲボッ
「悪いな。少し休んでいてくれ!」
そのまま庭を通って屋敷に向かうと警備の兵士達がいた。そして、兵士達はオレ達を見て声を上げた
「侵入者だー!」
「侵入者がいるぞー!」