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魔王少年アスラ  作者: バーチ君
ナデシア聖教国
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シロヤの街の悪党退治(1)

 ワサイに行く途中、盗賊らしき男達に襲われたオレ達の前に竜人が現れた。盗賊らしき男達に違和感を感じたオレは、竜人が彼らを殺すのを止めた。すると、いきなり竜人が戦いを挑んできた。リンを見ると呆れた顔で頷いている。どうやらリンはオレが戦うのを許してくれているようだ。



「わかったよ。オレが相手をしてやるよ。」



 オレが戦うと聞いて、暁のメンバー達はその場から大分距離を取った。竜人はそれを見てニタニタと笑った。



「なるほどな。仲間を見ればお前がどれくらいの強さかわかるな。相手にとって不足はない。行くぞ!」



 竜人は両手の爪を長く伸ばした。そしてこちらに向かってくる。オレはそれを剣で受け流した。オレから攻撃は仕掛けない。すると、オレが本気でないと分かったのか、竜人が怒り始めた。



「貴様!俺をなめているのか!なぜ攻撃してこない!」


「お前だって本気じゃないだろ?魔法を使ってこないじゃないか!」


「そうか。わかっていたか。ならお前に本気を出させてやるさ。」



 竜人の身体から闘気が溢れだした。辺り一帯に緊張感が漂う。



「行くぞ!」



 今度は爪の攻撃に合わせて炎のブレスを放ってきた。オレはそれを手で払い落す。さらに竜人はスピードを上げていく。もはや暁のメンバー達には見えないだろう。



「ハーハーハー お前は何者なんだ?俺の攻撃がここまでかわされたのは初めてだ!」


「もうお終いでいいのか?」


「ふざけるな!まだまだだ!」



 これ以上やっても仕方がない。オレは神気を少しだけ解放した。オレの身体から神々しい光が溢れ始める。そして、辺り一帯に温かく優しい空気が流れ込み、オレの背後に光り輝く竜が現れた。



「な、な、何なんだ?!お前は!」


「いくぞ!」



 オレは竜人の前に転移して腹に拳をめり込ませた。



グホッ



 竜人はそのまま地面に倒れた。



「アスラ~。あなた、あれで手加減したの?」


「ああ、そのつもりなんだけど。」



 オレ達の戦いを見ていた盗賊まがいの男達は真っ青な顔をしている。オレが声をかけると全員が震えあがった。



「お前達に聞きたいことがあるんだけど。」



ヒエー



 オレが聞いても無駄なようだ。代わりにミコトが聞いた。



「お前達、なぜこんなことしたんだ?」



 すると男達が泣きながら話始めた。



「お、お、お許しください!お金を持って帰らないと妻や子どもを返してもらえないんです。」


「もっと詳しく話せ!」


「はい。俺達はこの先のシロヤに住んでるんですけど、そこに『コンドル』っていう連中がいるんです。安い利子をうたって金を貸してくれるんですけど、実際には利息が高くて返せないようになってるんです。俺達の家族が彼らに人質に取られて、お金を持って帰らないと返してもらえないんです。」


「そうか~。酷いな~。」


「あんた達の話は後でゆっくり聞くから、ちょっと待ってなさい。」



 盗賊まがいの男達と話をしていると、竜人の男が意識を取り戻したようだ。そして、いきなりオレに片膝をついてきた。



「俺はドラクと言います。どうかアスラさんの弟子にしてください。」



 リンがドラクの隣に立った。



「あんた、その前に私の質問に答えてないでしょ!どうして竜人のあんたがこんなところにいるのよ!」



 ドラクが話し始めた。



「修行と言っても無駄ですよね。」


「当たり前じゃない。あんたより弱い人族の国に来たって修行にならないでしょ!正直に言いなさい!」


「わかりました。実は、少し前に悪魔族が俺達に戦争を仕掛けるって噂が流れたんです。それまでは平和に暮らしていたんですが、攻められる前に攻めるべきだという者達が現れて、太古の時代のように世界の征服を目指そうと活動を始めたんです。俺は竜王様に言われて、大陸を出て行った彼らを説得しに来たんです。」



 どうやら悪魔族のマモンの影響が出てしまったようだ。



「ドラク。わかったよ。オレ達もいずれ竜族を訪ねようと思っていたところだ。オレ達に同行することを許すよ。でも、その前にやらないといけないことがあるから、それまでは待っててくれ。」



 その後、リン達も自己紹介した。そして、暁のメンバー達と相談して、シロヤの『コンドル』を殲滅してからワサイに向かうことにした。盗賊のような男達は、シーマ、リャンカ、チーサ、ウータ、ローアと名乗った。



「シーマ。領主はどうして取り締まらないのよ?」


「領主のソルト子爵様は病気なんです。それをいいことに、執事のテンデラーが『コンドル』から裏金をもらって見逃しているんです。」



 ミコトが怒り始めた。



「酷い奴だな~!許しがたいぞ!」


「ミコト姉。懲らしめた方がいい!」


「そうだな。アスラ!私達でその執事と『コンドル』の連中を懲らしめるんだよな?」


「ああ、そのつもりさ。」



 リンがシーマに聞いた。


 

「シーマ。『コンドル』のアジトに私達を案内してくれる?」


「リンさん。どうするんですか?相手は30人以上いるんですよ。」


「大丈夫よ。あなた達も見たでしょ?私達は強いんだから。」


「は、はい。」



 オレ達は『コンドル』のアジトに向かう途中相談した。その結果、アジトにはリンとマロンとミコトがシーマ達と一緒に乗り込むことになった。そして、オレと暁のメンバーとドラクは領主の館に向かうことにした。



「リン!頼んだぞ!」


「わかってるわよ。それよりもちゃんとドラクに言っておいた方がいいわよ。」


「リンさん。何をですか?」


「アスラの許可がないときは殺さないってことよ。」


「そうなんですか?」


「ああ、そうさ。中にはどうしようもない悪党もいるけどな。」


「わかりました。」



 二手に分かれてそれぞれの目的地に向かった。


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