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魔王少年アスラ  作者: バーチ君
魔大陸
104/151

ディアブ王国のサキュバス、その名はグルシア!

 魔大陸に到着した後、オレ達は最初の街ジェネーロに行った。そこで街の住民達はディアブ王国が攻めてくるということで隠れていた。



「じゃあ、クレスポさん。オレ達ちょっと出かけてくるんで。」


「本当に行くんですか?」


「大丈夫ですよ。」



 オレ達は再びジェネーロの街中に出た。そこで魔力感知を広げてハイオークの居場所を探し始めた。



「いたぞ!」


「どの辺り?」


「ここから10㎞先の岩場があるところだな。」


「なら街に被害はでないわね。」



 オレ達は気配を消してハイオーク達のいる場所まで歩いて行った。すると、オークジェネラルよりも一回り大きなオークがたくさん集まっていた。やつらの様子を見ていると魔物というより知恵を持った魔人のように思えた。



「みんな。あいつらは普通のオークとはわけが違うぞ!どうやら魔人化しているようだ。気をつけろ!」


「リン。魔人化してると何が違うんだ?」


「ミコト、あなた知らないの?魔物は知恵がないから本能のままに動くでしょ!でも魔人化してるってことは考えて行動するってことよ!」


「つまり魔族が200体いるってことなのか?」


「そういうことよ。わかった?」



 ミコトの顔が青ざめていく。



「ミコト~。何を焦っているのよ。大丈夫だから!魔人化したってそれほど能力があがってるわけじゃないんだから。」


「ふ~。そうか~。なら安心だな。」



 どうやらハイオークがオレ達に気付いたようだ。魔族の女グルシアがオレ達のところまでやってきた。



「あんた達何者よ!どうしてこんなところに隠れてるのよ!」


「オレ達は旅の途中だ。それより、なぜお前達はジェネーロの街を襲うんだ?」


「ハッハー あなた達、あの街の連中に頼まれて探りに来たのね。いいわ。答えてあげるわ。この大陸は我がディアブ王国が統一するのよ。そして我が主様が魔王になるのさ。そのためには、マジョリカ王国は邪魔なのよ。わかるでしょ?」



 どうやら我慢の限界が来たようだ。隣にいたマロンの身体からオーラが溢れ出していく。



「なるほどね。ただのネズミじゃなさそうね。まあいいわ。この子達の相手でもしなさい。」



 ハイオーク達が剣や槍を持ってオレ達に向かってきた。オレ達も剣を抜いて構えた。



「リン!ミコトの援護を頼む!」


「わかったわ!」



 普通のオークなら何も考えずに突っ込んでくるだけだ。だが、ハイオークは違った。集団で息を合わせて攻撃してくる。まるで盗賊や軍隊と戦っているようだ。



カッキーン


ドサッ


バタッ


グサッ



 さすがに200は多い。斬っても斬ってもやってくる。



「みんな下がって!」



 オレが魔法を放とうとすると辺り一帯にピンク色の靄がかかり始めた。



「あんた達、結構手ごわいわね。でも、もう終わりよ。ゆっくり眠りなさい。」



 どうやらこのピンク色の靄は睡眠ガスのようだ。オレはマロンとミコトの周りに結界を張った。そして魔法を放った。



「風の大精霊シルフィーよ!我に力を!『スコール』」



 すると突然強い風が吹き始め、辺り一帯にかかっていたピンクの靄がすっかり晴れてしまった。焦ったのはグルシアだ。



「あんた、一体何をしたのさ!」


「答える必要はないだろ!」



 デヤー



 マロンがグルシアに斬りかかった。だが、空中にいるグルシアは軽く後ろに避ける。



「危ないわねー!」


「お前は敵!許さない!」


「もしかして、お前はマジョリーヌの娘か?」


「だったら何!」


「なるほどな。私、チョーついてるわ!あんたを殺して主様に褒めてもらうことにするわ!」



 マロンはグルシアと対峙している。今のマロンの力があれば負けることはないだろう。リンを見ると我慢できなかったらしく、ハイオーク達を魔法で攻撃している。ミコトは聖剣に魔法を付与して戦っていた。



“みんな頑張ってるよな~。オレも頑張るかな。”



 オレは魔力を少しだけ開放した。晴れ渡っていた上空に黒い雲がかかり始める。そして、オレの身体が黒い靄に包まれ背中には漆黒の翼が出た。



「敵を焼き殺せ!『ブラックサンダー』」



 黒い雲から真っ黒な稲妻が地面に降り注ぐ。辺りには生き物の焼け焦げたにおいが充満し始めた。



バキバキバキ ダーン


バリバリバリ バーン


グギャー


ベチャ


グチャ



 黒い雲が晴れ渡るとそこには無残なハイオークの死体が転がっていた。グルシアはマロンから距離をとってオレを見た。



「そうか~。あんたが魔王なんだ~。結構かわいい顔してるじゃない。勝てそうもないからいったん帰るわ!でも覚えておきなさい!真なる魔王にふさわしいのは主様なんだから!」



 マロンが攻撃を仕掛けようとしたが、グルシアはその場から姿が消えた。恐らく転移魔法で逃げたのだろう。悪魔族ならそのくらいできても当然だ。



「終わったわね。」


「まあな。」


「それにしてもアスラの魔法は凄いな~!」


「ミコト!あんた今更何言ってるのよ!」


「アスラ兄は最強!」


「そんなことより早くクレスポさんに報告して、王都に急ごうか。オレ達が来たことがばれたから、カエサルがどう動くかわからないし。」


「そうね。いきなり王都ナポルに総攻撃なんてこともあり得るわね。」


「アスラ兄!急ごう!早く~!早く~!」



 オレ達はジェネーロの街に戻ってクレスポに報告に行った。



「ま、まさか本当なんですか?本当にハイオーク達を討伐していただいたんですか?」


「ええ、間違いありませんよ。魔族の女も逃げ帰りましたから。」


「そうなんですか~。なんとお礼を言ってよいやら。」



 その後、街の住人達は地下の隠れ家から全員が出てきた。そして安心した様子でそれぞれの家に帰っていった。


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