表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王少年アスラ  作者: バーチ君
魔大陸
101/151

魔大陸に向けて出発

 ガイア共和国の再建の目途が立ったオレ達は、マロンの故郷の魔大陸に行くことにした。魔大陸は魔族の住む世界だ。魔素が濃く、そこに生きる野生動物も魔物も体が大きい。それに、魔物は進化している物が多い。かなり危険な大陸だ。



「アスラ。魔大陸までどうやって行くつもり?」


「普通、船だろ?」



 するとミコトが怪訝な顔をした。



「魔大陸に行く船なんかあるわけないじゃないか!」


「そうなのか?なら、マロンはどうやって来たんだ?」


「飛んできた!結構大変。」



 魔大陸の近くの海には強力な魔物がいるのだ。だからかもしれないが、魔大陸に行こうとする人々はまずいない。当然、魔大陸まで行く船はない。



「仕方ない。飛翔して行こうか。」


「そうね。それしかなさそうね。」



 オレ達は魔大陸に向かって飛翔を始めた。海風が気もちいい。1時間ほど飛翔したところでミコトがかなりきつそうだ。そんな時、少し先に島が見えた。



「あの島で少し休憩しようか。」


「了解よ。」


「うん。」


「よかった~。」



 島の浜辺に降りるとミコトはいきなり倒れ込んだ。



「ハーハーハーハー 限界よ~!」


「情けないわね~!それでも勇者の末裔なの!」


「仕方ないだろ!飛翔するのに慣れてないんだから!」


「ミコト姉!情けない!」


「マロンはもっと優しいと思ってたんだけどな~。」



 ミコトは人族だ。仕方ないかもしれない。オレやリンと比べたら可哀そうだ。



「なあ、マロン。お前は魔大陸から帝国まで休まずに来たのか?」


「違う。この島ともう少し先の島に寄った~。」


「なら、この島にも来たことがあるんだな?」


「うん。来た。この島は美味しい果物が沢山ある。」


「そうか~。なら、果物を取りに行こうか?」



 するとミコトが辛そうに言った。



「私はここで休んでいていいか?」


「ああ、いいさ。リン。お前もここでミコトと一緒にいてやってくれ!」


「え~!私も探検に行きたいんだけど~。」


「ミコトを一人にしておくわけにいかないだろ!」


「わかったわよ!なら、私の分も果物とって来てよ!」


「ああ、わかってる。時間があったら魚でも取っててくれ。今日はここで野宿するつもりだからな。」


「アスラ~。本当に野宿なの~?」


「リン姉、野宿楽しい!スリル満点!」



 野宿と聞いてリンもミコトも嫌そうだ。だけどマロンだけは何故かウキウキしている。オレとマロンは果実を探しに森の中に入って行った。すると森に入ってすぐに赤い大きな実があった。



「アスラ兄。これ知ってる?」


「いいや。知らないよ。」


「これマングル。とっても甘い。」


「もしかして魔大陸にもあるのか?」


「うん。魔大陸のはもっと大きい。」



 オレとマロンはマングルの実を取って空間収納に仕舞った。そしてさらに奥に進んで行くとレッドボアがいた。今まで見たレッドボアよりも一回り大きい。魔大陸に近づくほど魔素が濃くなるせいだろうか。



「マロン。あれを狩ってみろ!」


「うん。」



 マロンはレッドボアに気付かれないようにゆっくりと近づいていく。だが、マロンの位置はレッドボアの風上だ。レッドボアがマロンに気付いた。そしてマロンめがけて鋭い牙を突き立ててきた。マロンが横に飛び避けながら剣を一振りすると、レッドボアの頭が地面に落ちた。



ドカッ



「マロン。お前、相当腕をあげたな。」


「ありがと。アスラ兄とリン姉のお陰。魔法使わなくても余裕だった。」



 考えてみればマロンはオレやリンともう何年も一緒に行動している。強くなって当たり前なのかもしれない。レッドボアのいた場所には茸が群生していた。



「アスラ兄。トリュフ見つけた!」


「それ食べられるのか?」


「うん!すごく美味しい!」



 トリュフを採取して空間収納に仕舞った。その後も森を歩いて大きなピーチの実を取って帰ることにした。


一方、浜辺に残っているリンとミコトは枯れ枝を集めた後、釣りをしていた。



「なあ、リン。」


「何よ。」


「リンは天使見習いなんだろ?」


「そうよ。それがどうかしたの?」


「普通、天使は神界にいるんじゃないのか?」


「そうよ。でも、私は見習いだからいいのよ。」


「もしかしてアスラが理由か?」


「そうかもね。」



 そんな話をしているとリンの竿に魚がかかった。1匹2匹と順調にリンが魚を釣っていくが、ミコトの仕掛けには全く魚がかからない。



「ミコト!あなたやる気あるの?やる気ないなら夕食抜きだからね!」


「勘弁してくれよ!私だって頑張ってるんだから。」


「ちょっとミコト見せて見なさい!」



 リンがミコトの仕掛けを見ると餌が付いていない。



「ミコト。あなた釣りしたことないでしょ?」



 ミコトがソワソワしながら言った。



「なんでわかるんだ?」


「だってあなた、餌がついてないじゃないの!」


「餌ってなんだ?」


「もういい!あなた火をおこしなさい!それぐらいできるでしょ!」



 リンに怒られてミコトはしょぼくれながら枯れ枝に火を付けに行った。丁度その時、オレとマロンが戻ってきた。



「魚釣れたか?」


「私はからっきしだ!だが、リンがかなり釣ったぞ!」


「ミコト姉、お魚さんに嫌われてる。」


「しょうがないだろ!釣りなんてやったことないんだから。」



 するとリンがやってきた。 



「聞いてよ!ミコトったら餌もつけずに海に投げ込んでるのよ!釣れるわけないじゃないね!」


「まあまあ、リン。人には得手不得手があるんだから仕方ないよ。それよりこっちは大漁だったぞ。」



 オレは空間収納から果物とレッドボアを出した。



「凄いじゃない!ねえ!これ食べてもいい?」



 リンがマングルの実を取っていきなりかぶりついた。



「甘~い!これメチャクチャ美味しいんだけど!」



 ミコトも口元の涎を拭きながらマングルにかぶりついた。



「本当だ!めちゃくちゃ甘いぞ!」



 その後、レッドボアをさばいてトリュフと一緒に焼いて食べた。魚も食べようと思ったがみんなお腹一杯だ。そこでオレの空間収納に仕舞った。そしてその日はみんなで雑魚寝して、翌朝、オレ達は再び魔大陸に向けて飛び立った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ