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侍領主でござる  作者: ケヤキ
第四章 ブルクス領 領村ルクス編
42/130

42.御頭、助っ人に喜ぶ

朝が来た!


日が昇り、目が覚めると、

「ルーク様、お目覚めでございますか」


「……?……」

執事ジョセフの声が聞こえたような気もしたが、空耳のようだな。


「ルーク様、お目覚めでございますか」


「ーーー!!」


そんなバカな?! 扉から外を見るとジョセフがいた! 念の為、目を擦っても、凝らしてもジョセフがいる。


口を開けたままびっくりしている俺に「お食事をお召し上がりになりますか」と普通に聞いてくる。


「そ、そ、そうじゃなくて、何故ジョセフがここに居るんだ? しかも執事の正装をパリッと着こなしているのは良いが、山中では違和感大有りだぞ……っ」


ジョセフは周りをくるりと見渡し、「それは失礼致しました。着替えて参ります」っと、スタスタとどこかへ行ってしまった。



今のは夢だったのか、それともまだ寝ぼけてる? ぼーっと考えているとジョセフが戻ってきた。今度は狩用の仕立てで焦茶色だ。


ジョセフは背筋を正して話し始めた。

「まずは叙爵じょしゃくブルクス男爵閣下とのこと、お慶び申し上げます。クラウス辺境伯閣下、クラウス辺境伯夫人よりの御祝いの品がこちらに御座います。どうぞお納めくださいませ」


父上に差し上げた付与魔術付きの皮袋からたくさんの品々を取り出した。


クラウスの色とりどりのコリル布から始まって、純銀の繊細な彫りのあるカトラリーなどの数々、美しい手描きの食器に陶器、家具や絵画に大量の食べ物と酒類、そして最後に……父上と母上の巨大な肖像画……こ、これはどこかに飾らないといけないのだろうか?


とにかく殺風景だった領主館に彩りが入る。思い掛けない祝いの品たが、とても嬉しく思う。父上と母上には改めて礼状を差し上げねばな。


「ジョセフもここまでよく来てくれた。久しぶりに会えて嬉しいぞ。領主館に客室が4部屋あるから、まずは好きな部屋でゆっくりと休んでくれ」


「有難う御座います。それとジン様よりの祝いの品代わりにと、暫くこの地にて、ルーク様の補佐をするよう命を受けました。暫しこちらでの滞在の許可を頂きたく存じます」


ジョセフの話は寝耳に水だった。

「そ、それはとても嬉しい申し出だが、ここは山中で何もない。無理をせずとも、クラウス領に戻ってもいいぞ」


「いえ、久しぶりに自然豊かな地で、過ごしたく存じます」


長い付き合いで知っている……。ジョセフは一度言い出したら引かない頑固者なのである! そう言えば、ひとりで如何やってここまで来たのだろう? まあ、いいか……ジョセフだし。


「分かった、ジョセフ。よろしく頼む。しかし、クラウス領に戻りたくなったら、いつでも言ってくれ」



いつもよりもいきいきとした顔で辺りを見回しているジョセフを領主館の客室に案内し、よく休めるように白玉を用意した。


「これは白玉しらたまという光球で俺が魔術で造り名付けた。中はふわふわもふもふ、柔らかく、とても居心地が良いので、休む時や寝る時にどこでも大活躍中なのだ。一度試してみてくれ」


顎に片手を置き興味深げなジョセフを残し、客室を後にした。



今日は朝っぱらから仰天したが、いつも通りの日程をこなし、午後からは白丸と藤丸に会いに行くことにした。


まずは白丸召喚っと。召喚魔法で「白丸っ!」


今回も地面にころりと白丸が転がって現れた。

「ルーク! 藤丸の宮殿すごいよっ、早く行こう!」

「そうか、直ぐに観に行こう」


ふわふわもふもふを抱っこして、白丸に場所を念じてもらって転移した。



「おおおーーーーっ!!」


目の前というか、真前に現れたのは赤茶けた峡谷で、両側が聳え立つ断崖絶壁だ。大昔には急流が流れていたであろう地形で岩々が激しく削られている。


その狭い峡谷にあるうねった通路を歩いていくと、藤丸が迎えに来てくれた。


「ルーク、みてみて、どう?」

「ーーっ!? 正直、これは圧巻だ。こんな景色は観たことがない」


さまざまな地層が重なった荒々しい峡谷を更に進むと、精巧な造りの建造物、巨大な円柱が並び立つ大宮殿が聳え立っていた。


しかし、大宮殿は主の黒龍が居ないからか、無機質で静まり返っている。ん? 改めて観ると、黒の森にある青龍の宮殿と比べても、黒龍の宮殿は馬鹿でかいな!


宮殿の正面にある暗黒の入口も青龍の宮殿で学院の3階建と同じぐらいの高さだったから……その倍ぐらいの高さだ。


「藤丸、ひょっとして青龍よりも、黒龍は大きいのか?」

「うん、おおきいよ。いちばん、おおきい!」


「そうか、一度会ってみたいものだな。あっ! 青龍のように『クソ』呼ばわりはしないよな」

「う〜ん、するかも?」

「………っ!」


黒龍が行方不明なので宮殿内はがらんとしているが、隅に藤丸と白丸で工夫したであろう、居心地の良さそうな空間があった。よく乾いた藁がすり鉢状に積み上げられ、真ん中に白玉がある。


ふむ。藤丸と白丸は鳥の巣のような隠れ家を造ったようだ。帰る前に一度隠れ家に入れてもらったが、藁の匂いが心地よく、なかなか居心地が良いのである。


その後、宮殿の内部を案内してもらってから、皆で領主館へ転移した。



転移したのは良いが、すっかりとジョセフのことを忘れていた……。目の前に突然、ジョセフが現れたので、吃驚した白丸と藤丸が叫び声を上げた。


「だっだれ!! こわいーーぃ!」

「うわわっ?!」


ジョセフの方は目を見開いて、体が後にのけぞっていたが、踏ん張って立っていた。ちょっと二重顎になっていたが、流石がジョセフである。


それから従魔の白丸と藤丸の紹介をしたり、白丸の許可を得てから、転移魔法などを使えることなどを伝えた。



そう、力強い助っ人の参上なのである!


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