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侍領主でござる  作者: ケヤキ
第一章 クラウス領 領都ダル編
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4.執事ジョセフ

ジン兄上が消えてしまい、俺とジョセフが残った。


「驚いたな。気配の消し方や間合に死角の取り方。只者ではないとは思っていたが」

「恐縮にございます」


ふむ、何から教えてもらうかな? 大三郎の5歳からの10年間の経験もあるので、基礎はあると思う。よし、剣だな! この体に合わせた剣の立ち回りからを頼む事にしよう。


「ジョセフ、剣の手合わせから頼めるだろうか」

「承知いたしました。それではまず武器庫に参りましょう」


城には二つの武器庫があり、一つは騎士団用の非常時に備えた武器庫で、もう一つがクラウス家の武器庫である。


クラウス家の武器庫は隠し部屋にあり、さらに王宮魔術師だった祖父上によって、魔術陣が張られているのだ。クラウス家の血を引く者が隠し部屋の前に立つと、扉が現れるようになっている。


早速、その重厚な大扉を開くと、部屋の壁には剣が所狭しと掛けられている。流石は武術に秀でた名門、クラウス辺境伯といったところだろうか。代々、国境に面した領地を持つ、領主の重みが感じられる。


ふむふむと見て回ると、盾や鎧、弓に槍などもあるな。剣は短剣、長剣、直刀、湾刀、全てが両刃だ。


「ジョセフ、片刃はあるだろうか」

「2本だけですが、こちらにございます」


あったあった。ふむ、刃こぼれもなく良い状態で、鞘の感じもいい。 


「これにする。それとこの短刀も」


後を振り向くと、なんだか少し驚いた顔のジョセフがいた。値が張るのを選んでしまったのだろうか? まあ、いいか。その内、忍刀に仕込み刀もあると便利だし、棒手裏剣も準備できたらいいな!


今日は手に入れた刀の手馴しをしたいので、ジョセフとの手合わせは明日からになった。



一人で森に戻り、


余分な力を抜き、集中する。

正しい構え、正しい振りを意識し、精神を研ぎ澄ます。


鞘に収まった刀を抜き、剣をヒュンっと振って太刀筋を確認し、残心所作を示しつつ、静かに鞘に治めた。



まだまだではあるが、これは大三郎の太刀筋だ。大伴大三郎吉久は此処にありか……。



____


【SIDE】ジョセフ


ルーク様は2ヶ月前に流行病を患らわれて、高熱で一時はとても危なかった程で、どれ程肝を冷やした事か。


熱が下がられてからも、暫くはひたすら寝て過ごされました。しかし、ご様子がおかしいのです。説明するのは難しいのですが、雰囲気とでもいうのでしょうか。何かが……違うのです。


ルーク様の主治医に相談しましたところ、大病の後はそのような事もあるそうなのです。疑念は残りましたが、お元気になられた事は変わりなく、大変嬉しく思いました。



お元気になられてからはシーツの肌触りが良いと大層気に入られ、シーツを指定の長さと幅に切り揃えて、置くようにとの命を受けました。シーツは一体、何に使われるのでしょうか?


それと、以前は一日中、図書室でご勉学に勤しんでおられたのですが、今では朝から晩まで森で過ごされています。困った子犬のようなお顔でプルプルと足を振るわれ、涙を浮かべながら歩かれたりも……? 謎が謎を呼ぶのです。



ある日、ついに謎の一つ、シーツの行方が判明しました!


何処らかで泳がれたようで、全身水濡れでお帰りになられた際のお召し替えで、あ、あのシーツは奇天烈な……いえ、斬新な下着として使われていたのが分かったのです……。


後日、城下で人気の絵画<溜池の君>はルーク様だと推測されます。しかも、領民男子の間で斬新な下着として、それは流行っているそうで、眩暈がして倒れそうでした……。



そして、二月過ぎた頃でしょうか。逞しくなられ、本格的に何かが違うと強く感じたのはお手合わせの時でした。剣を手にされた一連の所作は、凄まじい威圧感があり、妖艶なほどに美して恐ろしいものだったのです……。



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