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侍領主でござる  作者: ケヤキ
第三章 ディアス王国 黒の森編
34/130

34.魔術学院 従魔

無事に王都に戻ってきた!


王都の城門を見た途端に蹲って泣き出す者もいた。皆揃って無事に到着できたことを嬉しく思う。


功績を認められ、10日の特別休暇をもらえる事になった。10日間の自由を満喫するつもりだ。


白丸をポンポンと撫でながら、話し掛ける。

「白丸、10日も休暇をもらったぞ。何か欲しい物やしたい事とかはあるか?」


「うーん、そうだねー。食べる物も十分あるし、外には気軽に出かけてるし、居心地もい……?! ん、白玉だっけ、あの青龍に上げたやつ。あれが欲しい!」


「おっ、あれか、あれはいいぞ。白玉の中は白丸を思い浮かべて造ったんだ。白丸と同じ、ふかふかもふもふで柔らかいから、入った途端眠くなる。好きな色とかあるか?」


白丸はワクワクと嬉しそうにしている。

「ふふ! それは楽しみ。うーん……色か……思い浮かばないから、僕と同じ『白』で!」


早速、光球を造った。色は白で、大きさは白丸が体を伸ばせるように、中はふかふかもふもふでっと。


「よし! 出来たぞ、白玉3号だ。ちょっと試してくれ」


白丸はいそいそと中に入る。居心地を確かめているようだ……と思ったら寝落ちした。青龍と同じ、ええ!? もう!? である。


気持ち良さそうにすやすやと寝ている姿を見ると自然と口元が上がる。久しぶりに白丸と過ごす予定だったが、仕方ない。



ハムサンドでも貰いにいくかと、食堂へ行くと食堂にはセシルがいた。

「おお、セシルも飯か?」


あの森以降、セシルだけではなく、あの森に行った全員は戦友のような、何らかの固い絆が出来たように思う。


「あっ、ちょうど良かった。午後に従魔の店に行くから、声を掛けようと思ってたんだよ。リリーとサラも行くよ」


「従魔の店なんてあるのか? それは面白そうだ」


同級生のリリーとサラと会話したのは入学して一月経ったぐらいだったな。不思議なことに途轍もなく、遠い昔のように感じる。いろいろとありすぎだからな!


リリー達も昼食の時間になり食堂にやってきた。

「「ああっ、ルークさん!!」」


「おっ、元気でいたか?」

「「はいっ!!」」


俺も従魔の店に行きたい旨を伝えると、快諾してもらえた。

「そういえば、俺は従魔について詳しくは知らない。教えてくれるか?」


「はい! えぇっと、従魔は使い魔とも呼ばれていて、動物や魔獣、稀に魔物などを隷属させ、使役することができます。今はディアス王国に魔物はいないし、魔獣は希少だし、動物の鳥や猫を従魔にすることが多いです」


((うぐっ………………!))


俺とセシルは魔物の件で、声を詰まらせてしまった。魔物の件は箝口令を敷かれている。


リリーは俺たちの『うぐっ』には気付かず、そのまま続ける。

「鳥は手紙を運んでくれるし、猫はお使いも出来ます!他にも留守番だったり、届け物を届けたりも。これから行く従魔のお店は魔力に順応力のある小型専門ですっ。それにごく稀に小さな魔獣もいることがあるんですよ!」


聞けば聞くほど面白そうなのだ。

従魔の店に行く道すがら、他にも色々とセシル、リリーとサラに教えてもらった。


魔獣を扱うこともあるので、念の為に従魔契約は上級生からしか許可されていないことや、従魔契約をして魔力を与えると、体が進化して主にどこか似た姿になることが多い。また、主の魔力量の違いで従魔の能力に違いが出る。


(ふむ、白丸の目は俺の瞳と同じ色だな!)


イアン先生がいい例で、魔術師でも世話が面倒だからと従魔を持たない者も多くいること。最後に、セシルが気の合う従魔を探し中だが、従魔の店で希少な動物や魔獣は宝石と同じくらい値が張るそうだ。



「ルーク、あの店だよ」

セシルが指差した先には高級な店が立ち並ぶ一角で店先からも高級感漂う造りだ。


サラを先頭に店へ入ると、執事のジョセフと同じような雰囲気の上品な初老の店主が出迎えてくれた。


「いらっしゃいませ。本日はどのような従魔をお探しでいらしゃいますか?」

「えぇっと、まずはお店の中を見せてもらってもいいですか?」

「はい。どうぞ、ごゆるりとご覧くださいませ」


店内は広く、動物はそれぞれの清潔で綺麗な入れ物の中で寛いでいる。ふわふわで毛が長かったりの綺麗な目の猫達。美しい羽根をもつ小鳥達、強そうな鷹や鴉にフクロウ。何故かカエルやトカゲ、蛇までいた……。


子犬もいて、『ひ……っ』とセシルが弾けるように後ずさっていた。うむ……黒の森の後遺症である。


店内を見回したのだが、魔獣はいないようだ。


「魔獣はいるのだろうか?」

「いいえ、先週まではいたのですが」


ふと、黒布がかかっている入れ物が目についた。大きさはそれ程でもない。


「あちらでございますか? 当店に来た時から弱っている魔獣がおりまして、魔術師を呼び、治療はしているのですが……なかなか」

俺の視線を追ってだろうか、店主が説明をしてくれた。


「少し、見せて貰えるだろうか」

「はい、よろしければどうぞ」


黒布を捲り、言葉を失ってしまった……この色に見覚えがある。な、茄子くんじゃないか!? 丸まっていてよく分からないが、茄子色で形も茄子、ぽってり尻である。ふむむ、真剣に見詰めているとセシルが横からひょいと顔を出した。


「見た事ない面白い色と形の魔獣だね」

「そうだな」


真上から俺らの声がするからか、

茄子に似た何かが顔を上げ、物言いたげな目で見返した。


「ーーーーつ!!」


これは茄子くんじゃない。茄子くんは青龍と同じ青色の、前髪? たてがみ? があった。


この子は黒色なのだ! 

____


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