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侍領主でござる  作者: ケヤキ
第一章 クラウス領 領都ダル編
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3.下の兄上、参上

二月の鍛錬を重ねて、やっとこさ、指先を使った逆立の腕立て伏せが出来るようになった。


ある朝、朝食を食べていた時に目の隅に一瞬影を捉えた。午前の森での鍛錬時にも、もう一度。ふむ、悪意がないところを見ると、間違いない。兄上だ!


あらゆる気配を消して、自然と同一化するその腕前は流石だとしか言いようがないな。居場所を特定するために集中する。神経を研ぎ澄ませ、僅かに違和感を感じた場所に声をかけた。


「ジン兄上、お久しぶりです!」

「…………」


ジン=クラウス、19歳、ジン兄上だ。


ジン兄上は基本無口。引っ込み思案の恥ずかしがり屋さんなのだ。しかし、あらゆる気配に存在感を消し去ることができ、諜報、暗殺の手練れでもある。そして、クラウスの影の諜報集団を一手に取り纏めている頭なのだ。


ジン兄上曰く、『会話する必要がなくて、手と目線の合図で済むから気が楽ー』は秘密なのである。


ひとえに領主が領都を空けていても、不本な動きに輩が出ないのはジン兄上のお陰なのだ。


クラウス領地で反旗を翻す行動、危害となり得る者は兄上の集団に監視される。表には出てこないのだが、領民の暮らしを陰から守っている陰の騎士団長とも言えるのがジン兄上である。


お陰様でこの二月丸々、安心して鍛錬に費やすことができた。


この1年、兄上を城で時々見かけたような気もするが確かではない。多分、ここ1年は会ってない? なので、お久しぶりと声をかけた。


「ジン兄上!」

久しぶりに兄上に会えるので笑顔で声をかけた。


「…………」


すると恥ずかしそうにもじもじと木の影から兄上が姿を見せてくれた。 

なんか、かわいいのである。


ジン兄上は母上に似たクセ毛で栗色の髪に瞳、貴公子の如くの印象で、気品のある顔立ちだ。それでいて仕草からか、あどけなさが残る年若い少年にも見える。


会話をするのは1年ぶりで、嬉しくなる。ふむ、丁度良かった! ジン兄上に手ほどきも受けたいし、忍道具の相談もしたいし、お願いしてみる事にした。


「ジン兄上、お願いがあります。俺を弟子にしてください!」

「…………」


顔を赤くして、もじもじしている。どうしよう、兄上なのにかわいい。


『仕事が立て込んでて、今はちょっと無理。取り敢えず、城内の守りを任せてるジョセフに手ほどきを受けてー』


相変わらずの声の小ささだ。唇の動きから読み取る読唇術でっと。


「ええっ、兄上?! ジョセフですか?」

『そうだよー。ジョセフは僕の師匠だよ』


こりゃ、驚いた。でもジョセフの動きを思い浮かべると、納得だな。


『待ってね。いま呼んであげるー』

するとジョセフが一瞬で現れた。どういう仕組みなのだろう? まあ、ジン兄上だし、いいか。


「ジン様、お呼びでございますか」

『うん。ルークにちょっと色々教えてあげてくれる? 僕ちょっと忙しくてー』


「承知いたしました」

『それじゃ、ルーク。また来るね』



ジン兄上は消えてしまい、残ったのは俺とジョセフだけであった。


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