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侍領主でござる  作者: ケヤキ
第三章 ディアス王国 黒の森編
29/130

29.魔術学院 黒の森 3

昼飯だ!


朝から歩き通しで腹が減った。待ちに待った昼飯なのだ。皆もそわそわしながら受取りの列に加わる。


騎士団長のシリルさんが皮袋から10人分の昼飯を取り出した。シリルさんの皮袋は付与魔術で馬車一台分の荷物を入れることができ、騎士団では騎士団長のみに支給されているそうだ。


適当な座り心地の良さそうな石に腰掛け、昼飯を食べながらふと気になった魔法のことを考える。白天さんの言葉『教えた魔法を決して他人に見せない』なのだ。


ふむ。今一ピンっと来ないのだが、一子相伝の秘技のようなものだろうか?


「よう! ルーク、何物思いに耽ってんだ? 女か?」

「あらあら、隅に置けないわねぇ」

「きっと婚約者に思いを馳せていたのかも知れませんね!」


セシルが止めのキツイ横槍を入れた。うぅ、婚約者はいないし、あれは姉上なのだ。


「ち、違います。魔術のこととです」


寝癖がトレードマークの魔術師ローディスさんに何故かローブだけでなく、マントもよれよれのシーラさん。二人しかいない特級王宮魔術師に絡まれてしまったのである……。それに、鬼のイアン先生もいつもの怪しい笑みを浮かべてやって来た。


「それはそうと、ルークはどんな女の子が好きなのかしら?」


くぅ……っ! 新入りはツラい。好きなおなごか、こりゃまた、難しい問いである……。


「荒地に咲く野菊のような、懸命に生きる人?」

「ええ?! のぎ……」



嫌な気配を察知した。


的確な剣筋を心掛け、逆風さかかぜで下から上へ斬り上げ、シーラさんを襲ってきた禍々しい黒の何かを仕留めた。


「ちょ、ちょっ、鞘に剣を納めるまで、針で刺されるような殺気はなんなのよ!! その前にいつ鞘から剣を抜いたのっ?!」


他の魔術師達が、ただ口を開けてぽかんとしている。うむ、どっかで見た光景だな? 


「それよりも、これは一体なんですか?」


騎士団もやって来て、黒の得体の知れない何かを見つめる。ディアス王国には魔物はおらず、どこかの国に魔物がいるとか、いないとか、話に聞いたことがあるくらいなのだ。


この得体の知れない何かで大混乱なのだ!


突然生き返ったりしないか棒で突いて確認したり、他にもまだいるのではないかとキョロキョロしたり、他にも多々である。


最後に微妙に禍々しい魔力もあるので魔物だという結論に至った。円陣を組み、皆で顔を見合わせる。これは困った想定外だ。山を越えた先にある黒の森近辺の現状調査だけだった。


山越えの大変さや野生動物までは想定内で、危険な地域とは黒の森のことだったのだが、ここからよく分からん魔物に襲われ続ける?!



特級王宮魔術師のローディスさんがキリリッとした表情で前に出た。

「まず、情報が無いのが一番の痛手だ。計画に対策も講じられない。『魔物』は古書によると何かで発生した瘴気に自然界にある魔力が集まり、発生する化物の類だ」


変な寝癖つきの髪型だが、流石特級王宮魔術師。やる時はやるのであるぅ。


「とにかく瘴気などの異常事態は黒の森にあるのでは、と推測される。そこでだ。風魔術が使えるイアン、イアンだけでは心配なので、ルークと二人で飛行魔術を使い黒の森の現状を調査してくれ」


筆頭騎士団長シリルさんがシャキシャキと続ける。

「知らなかったが、ルークは剣が使える。イアンとルークの二人だと安心だ。我らもこの8人で前に進む。前衛に騎士団、後衛に魔術師の陣形で行く。進行ルートと方角を決めて、イアン達は戻り次第、探索魔術を使って我らと合流してくれ」



ローディスさんが声を挙げた。「よーし、進むしかないから進むぞ!」

___


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