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05共産主義


つーぎーのーひ。


後輩「え!?」

これ・・まさか・・


先輩「どうした?好きな漫画の続編が発表でもされたか?」


後輩「ちっ、ちっ、違います。」

後輩「これ見てください。」


先輩「んー?これ例の中学生のサイトか。ついに殺人予告でもしたか?」


後輩「いえ・・あの、まだ昨日の殺人集団のニュース・・報道されてませんよね?」


先輩「ああ。一連の事件は数が多すぎる上に少人数でできるものばかりだからな。」

先輩「模倣犯を生まないための措置ってことになってる。」


後輩「・・この中学生のブログに載ってるんです。」


先輩「なんだと・・?犯人4人のうち3人は逮捕した。」

先輩「このことが書けるのはオレたち警察か・・もしくは・・」


後輩「逃げた犯人・・」


俺たちはつばをのみ込んだ。

信じられない事態に一瞬時が止まる。


課長「・・ふたりとも、昼休憩のとこ悪いな。その中学生のとこ行ってもらえるか?」


先輩「ええ、もちろん。」


後輩「・・はい。」


俺が・・もっと早くあの子に会っていればこんなことにはならなかったのではないか?


思春期の子は心が繊細だ。

疑われること自体が大きな負担になる。


ましては不登校だ。既に心が傷ついているかもしれない。

追い詰めないように、これ以上傷つけないようにした結果がこれか・・


正しいってなんだ?


・・

・・・・


俺たちは車に乗って急ぎ中学生の自宅へ向かう。


先輩「くそっ、くそっ・・わかっていたはずだ。」

先輩「不幸な人は他人を殺すブログは・・すべての不幸な国民に呼びかけていた。」


先輩「不登校は小学生でもある。いじめは保育園や幼稚園でもある。」

先輩「親の虐待、教師の体罰、悪い大人たち・・不幸な子は大勢いる。」


先輩「こんなことが続いたらいつかこうなるって・・わかっていたはずだ。」


先輩はなぜか自身を責めているようだった。

不幸な人は他人を殺すブログへの対応は、警察全体の問題だと思いますけど。


未就学児や小学生はまだ力も弱く頭も回らない。

だけど中学生にもなれば・・中にはオリンピックに出場する子もいる。


大人に負けないくらい成長した中学生だっている。


そして大人と比べ純粋な心を持っている。


いじめを根絶しない大人。格差を是正しない大人。不幸な人を見捨てる大人たち・・


悪を滅ぼすことが正しいとそそのかされたら・・


・・・・


ナレーション「急ぐ後輩たちは車を玄関に突撃させた。」

いやしてない。


人妻「あら・・この間の刑事さん?」

人妻「やだこっちの刑事さんイケメン!」


後輩「突然すみません。お子さんは家にいますか?」


人妻「いえ朝から出かけてますが・・あ、あの子が何か!?」


後輩「未発表の事件に関わっている可能性があります。」

後輩「連絡とれますか?」


人妻「電話をかけてみます。」


先輩「事件のことは伏せて帰って来るよう話をしてください。」


人妻「は、はい。」


人妻さんは電話をかけた。

・・しかし黙ったまま・・つながらないようだ。


人妻「出てくれません・・すみません、よくあることなんです。」


先輩「気にしないでください。お子さんの部屋を見せてもらってもいいですか?」


人妻「は、はい。あの・・あの子なにか罪を・・」


先輩「まだわかりません。しかし危ないことに巻き込まれている可能性は十分あります。」

先輩「早いうちに対処してお子さんを守りましょう。」


人妻「よろしくお願いします。」


・・・・


俺たちは中学生の部屋にあがった。


先輩「オレはパソコンを調べる。後輩は部屋の中に手がかりがないか調べてくれ。」


後輩「はい。」


服は綺麗に畳んでしまわれている。でも趣味の物は結構無造作だ。

服はお母さんがやってるのかな?

・・あれ?


財布は見当たらない。メモ書きとかもないか・・

あ、エロ本。


先輩「どうだ?何か見つかったか?」


後輩「あの、逆なんですが・・財布がないのはいいとして、服が何着か無くなってる気がします。」


持ち出したかのように洋服ダンスの一角に置かれた服がない。

まぁそういう置き方してるって場合もあるけど。


先輩「・・まずいな。」


後輩「それはどういう・・?先輩の方はどうですか?」


先輩「ネットにデータを保管していた。かなりヤバいとこまでいってるぞこの中学生。」

先輩「気になるのは2つ。」


先輩「1つは昨日の事件・・その犯人と接触してる。」


後輩「じゃあこの子は犯人じゃない?」


先輩「ああ。だが犯人に同調してる。自分も人を殺したいと言ってたしなめられたらしい。」


後輩「・・意外とまともな犯人ですね。」


先輩「殺人やってる時点でまともじゃねーよ。」

先輩「そいつ他にもやってる。過去に中学生が事件を目撃して知り合ったとある。」


先輩「殺人鬼に会って”てられた”か。だから友達は選べって言われるんだよ。」

先輩「悪は伝染する。」


先輩「隠し撮りっぽいが犯人の写真があったから署の方へ送っといた。すぐ犯人を見つけてくれるぞ。」


後輩「なら安心ですね。」


先輩「問題はここからだ。2つ目。」


先輩「具体的なことは書いてないが、この中学生は仲間と一緒に無差別殺人をやるつもりらしいぞ。」


後輩「仲間?」


先輩「昨日の犯人にそのことを話してやってはいけないと言われてたそうだ。」

先輩「子供の不幸は大人の責任であり、大人が解決のために命を懸けなければならない・・ってとこだな。」


後輩「じゃあ、昨日の犯人は不幸な子供を救う目的で他人を殺しているんですか?」


先輩「んなわけねーだろ。自分が不幸だからやってるにすぎない。」


後輩「・・でも何となくわかる気がします。」

後輩「社会への復讐に心を燃やした子供がいたら、自分に何ができるか・・って思っちゃいますよ。」


先輩「昨日の犯人にとっては殺人・・か。それで社会が変わるわけないのにな。」


後輩「でもこのペースだと年間の殺人数が跳ね上がりそうですが・・」


先輩「統計調べてるとわかるが、データってちゃんととってなかったりするんだよ。」

先輩「データが抜けてる年度があったり、統計方法が変わったり。」

先輩「そもそも調べにくかったりな。今年のデータはこれ、次の年になったら今年のデータはこれって発表してたり。」


先輩「まとまってなかったりどこにあるかわかりにくく調べにくい。ま、殺人件数もごまかすんじゃねーの。」


後輩「いやさすがにそれは・・」

ないよね?


ちゃんと統計とってるデータも多いのに・・


先輩「わかったのはそこまでだ。」

先輩「後輩は母親に服がなくなってるか見てもらえ。オレはもう少し調べる。」


後輩「わかりました。」


おかーさーん。


・・・・


見てもらって、やっぱり服は一部無くなってるようだ。


先輩「家出の可能性もあります。お母さん心当たりはありませんか?」


人妻「いえ・・あの子に友達がいたかもわかりません。」

人妻「電話はかけてもつながりませんし・・」


後輩「お子さんが家出したことはありますか?」


人妻「一度もありません。あの子の服は私が片付けていますが・・こんなこと初めてです。」


家を出て行った可能性は十分ありそうだが、確証まではいかないな。


先輩「ん、電話だ。」

先輩「はい、はい・・わかりました。すぐそちらへ向かいます。」


先輩「お母さん、お子さんには知り合いがいたようです。」

先輩「その男には色々話していたそうですが、見つかったと連絡が来ました。」


先輩「オレたちはその男から話を聞いて来ます。」


人妻「なら私も・・あの子のことを聞きたい。」


先輩「すみません、ここから先は警察の領分です。」

先輩「何かわかればすぐ連絡します。あとはオレたちに任せてください。」


人妻「・・・・わかりました。では連絡先を教えてください。」


俺の連絡先知ってるから大丈夫では?

とは言えない雰囲気を読み取った。


・・

・・・・


誰だって言葉にできない想いを抱いている。


その想いが抱えきれなくなったら・・あとは行動するしかない。


許されざる者たちへ。


もはやお前たちには何も期待しない。


話し合いは無駄だ。無意味だ。


自らの手ですべてを変えよう。


不幸な人は・・


・・・・


私は彼を止められなかった。


彼は天才で、純真で、そして抱えきれないほど憎悪を抱いていた。


彼は言った。


大けがを負った状態で遊びを楽しめる?

僕の心はずっと大けがを負ったまま・・傷は広がるばかりだよ。


復讐がすべてだと彼は言った。

復讐しないと人並の幸せは感じられないと。


だが彼は・・人を捨てた。


私は止められなかった。


神よ・・もしおられるなら、彼の魂をお救いください。


・・

・・・・


こんこん。


先輩「失礼。」

後輩「失礼します。」


アンパン「来たか。ちょっと交代してくれ。」

アンパン「(・・証拠がないのが痛い)」


そういや中学生がネットに書いた情報ってだけだもんな。

犯行に使った服や靴は見つからなかったのか。

逃げた時もそうだが、頭は切れるのかな。


見た目はおっちゃんって感じだけど。


先輩「なんだなんだ、中々のイケメンじゃねーか。」

先輩「端正な顔立ちをしてるな。知性がにじみ出てるぜ。」


犯人「どうも。」


先輩「お前の犯行を見たってやつがいるんだよ。早く自供した方が心証いいぜ。」


犯人「知らんな。」


先輩「じゃあこの時間・・お前はどこで何をしていた?」


犯人「悪いがホームレスでな。時計になるものは持ってないんだ。」

犯人「明るければ昼で、暗ければ夜ってくらいにしか時間はわからん。」

犯人「携帯が普及して街の時計も少なくなった。」


犯人「お前たちにはわからないだろうがな。」


そうだっけ?

子供の頃には携帯あったからよくわからない。


先輩「・・ならこの子供を知ってるか?」


先輩の携帯に中学生くらいの子供の写真が表示されていた。

あれ?いつの間に?


犯人「たまに声をかけて来たガキだ。」

犯人「ホームレスが珍しいのかねえ。ウザいガキだった。」


先輩「お前はこの子に犯行を見られてた。」


犯人「知らんな。」


先輩「・・」


中々手強い。

表情からは強い意志を感じる。あと敵意も。


先輩「不幸な人は他人を殺す、お前はどう思う?」


犯人「興味ない。」


先輩「・・後輩、交代だ。」


後輩「あ、はい。」


中学生と連絡つかないこととかは話さないのかな。

・・まだ中学生とこの男との関係性が見極められない?


中学生が書いたメモによると結構心配してたけど・・


後輩「あなたはなぜホームレスをしていたんですか?」


犯人「金を稼げなければ家に住むこともできない。」

犯人「世の中には、想像を絶する無能もいるんだよ。」


後輩「生活保護は?」


犯人「若いんだから働けるでしょうって断られた。」


後輩「すみません、おいくつですか?」


犯人「33」


後輩「リーマンショック世代の方ですね。」


犯人「・・」


後輩「大変でしたでしょう。何社、いえ十社以上就職を断られたとかニュースもやってましたよね。」

後輩「あなたはどうお考えですか?」


犯人「・・就職氷河期世代は見捨てられた。ならリーマン世代が見捨てられてもおかしくないだろ?」

犯人「いつかお前たちも見捨てられる時が来る。楽しみにしていろ。」


先輩「・・」


ん、冷静だったのが少し感情的になった。

もう少し心を揺さぶろう。


後輩「そうですね。最近ではコロナワクチンに疑問を抱く人も増えて来ましたね。」

後輩「2回目まではうった方がいいと考えて来た人たちも、副反応の辛さや感染自体はしてしまう現状は納得していない感じです。」


犯人「政府は子供にまでワクチンの対象を広げていった。」

犯人「そもそもワクチンを使ってどうなった?流行する度に過去最高の感染者数だ。」


犯人「日本は多くの人がワクチンをうった。結果感染者数は過去最高です。誰が納得するんだ!?おかしいと気付けよ!?」


この人・・ホームレスだけど最近の社会情勢を取り入れている。


後輩「あなたは物事を冷静に見ていますね。」

後輩「もしかしてホームレスになったのは、周りと考えが合わなかったりしたからですか?」


犯人「昔の人は、畑を耕し井戸を掘り、魚を釣ったり狩りをして生きて来た。」

犯人「それが人間の自然だった。」


犯人「だが国家はあらゆることを制限した。」

犯人「すべての土地は誰かの所有地だ。畑を耕すには金で土地を買わないといけない。」

犯人「魚釣りも狩りも制限がつく。人間の自然は国家によって破壊された。」


犯人「強制された新しい生活はどうだ?」

犯人「学校を強制され教師の体罰やいじめ、しかし誰も加害者を罰したり被害者を救おうとしない。」

犯人「不登校とは、被害者を社会から追い出す行為だ!」


犯人「社会に出れば謎ルールの強制だ。ワクチンをうちたくないのにうてうてと言われた人がどれほどいるか。」

犯人「任意じゃないのかよ!悪しき会社は国家が罰を与えろ!」


犯人「やらないのなら・・不幸な人がやるしかないだろう!!!」


犯人「・・起業しろ?で、資金は?産まれた子供は無一文だ。子供の就業も規制している。」

犯人「会社員にならないといけない仕組みを作ったのは国家だろう!?」

犯人「古き自然を弾圧し醜く歪んだ社会を強制した結果生まれたのが見捨てられた不幸な人だ!」


犯人「見捨てられた者がどんな気持ちだったか・・お前に何がわかる!?」


後輩「深い絶望。やり場のない怒り、苦しみ。」

後輩「そしてあなたの知っている人もまた苦しみの末に取り返しのつかない被害を出そうとしています。」


犯人「・・まさかあのガキ・・」


後輩「財布や着替えを持って家を出て行った形跡があります。」


犯人「・・」


後輩「あの中学生と初めて出会ったのは、あなたの犯罪を見られた時ですね?」


犯人「・・変なガキだったよ。」

犯人「オレがやったことを話して来た時は脅迫か馬鹿にでもすると思った。」


犯人「だけどあいつが言ったのは”すごい!”だった。」

犯人「目を輝かせて”僕にも教えて!”・・だとさ。」


犯人「聞けばあのガキはオレと同じだった。」

犯人「中学のいじめで登校拒否。オレはそれからずっと人生低空飛行・・」


犯人「他人とは思えなかった・・オレの様にはなってほしくなかった・・」

犯人「だけどあいつは憑りつかれたかのように他人を殺すことが正しいと信じて疑わなかった。」


犯人「・・あいつが言ってた。ただ殺しても世の中はよくならない。」

犯人「でも、不幸な子供たちが集まってみんなで他人を殺しまわったら変わるって。」


犯人「戦わなければ救われない・・だけどあいつは間違った戦いをしようとしている。」


犯人「場所は東京だ。金が貯まったら行くと言ってた。」


先輩「東京なら警視庁に知り合いがいる。」

先輩「中学生の写真で顔認証にかけてもらう。」


先輩「東京にいれば必ず引っかかる。監視カメラの数は日本一だ。」


犯人「頼む・・あいつを救ってくれ。あいつはまだ取り返しがつく。」


先輩「お前も人生最後まで諦めんなよ。」


犯人「もう無理だ・・わかるんだよ。」

犯人「おかしくなりそうなんだ。自分が自分じゃなくなっていくんだよ。」


犯人「壊れた人間はもう元には戻らない。」


犯人「お前たちにはわからないだろうな。」

犯人「わかった時はもう壊れてんだよ!!!」


男は目を見開き口を大きく開け狂気の顔を覗かせた。

口を開けたゾンビに似てた。


後輩「あなたは、他人を殺せば救われると思っているのですか?」


犯人「・・オレだけが知っている。不幸な人を救う計画が進んでる。」

犯人「不幸な人が他人を殺す。それは計画の始まりだ。」


後輩「計画?あなたはどこでそれを知ったのですか?」


犯人「・・オレは・・高校時代の同級生と偶然会ったんだ。」

犯人「そいつが教えてくれた・・不幸な人を救う計画が進んでいると。」


後輩「その計画とは?」


犯人「中国に日本を攻めさせるのさ!不幸な人がその立役者になるんだ。」


犯人「不幸な国民を見捨てたら取り返しのつかない被害をもたらす・・それを実現させる!」


犯人「今起きている殺人は不幸な人が本気だって世間に知らしめる前哨戦だ。」


犯人「それだけじゃない!中国を沖縄から、ロシアには北海道から、北朝鮮には新潟から攻め込んでもらう!」

犯人「不幸な国民が周辺国に助けを求めるのさ。人権侵害国家の日本から助けてくださいって。」


犯人「当然不幸な国民は攻めてきた外国に協力する。」

犯人「情報を流したり、しれっと日本のために戦うと言いながら武器の訓練を受け日本人を殺すんだ。」


犯人「外国は戦争犯罪をやっても不幸な日本人がやったと押し付け、不幸な国民も同調する。」

犯人「不幸な国民を見捨てたら取り返しのつかない被害をもたらす・・利害の一致だな!」


犯人「不幸な国民を救わなければ日本が滅ぶ!ははは、とんでもないよな!」


先輩「・・」

アンパン「・・」

マッチャ「・・」


アンパン「バカじゃねえのか!?不幸な国民も無事じゃすまないぞ。」


犯人「大阪のクリニック放火事件を忘れたか?あれを日本規模でやるんだよ!」

犯人「みんな道連れだ!嫌なら不幸な国民を救ってみろよ。」


犯人「お前たちは・・絶対に救おうって考えには・・至らないんだろう?」

犯人「今度は不幸な国民がお前たちを見捨てる番なんだよ。」


犯人「いじめがあるっておかしいと思わないか?不幸な国民が見捨てられるっておかしいと思わないのか?」

犯人「どうして・・同じ国民だろ?」


最初は端正だった犯人の顔も、涙でぐしゃぐしゃになっていた。


後輩「あの、その計画を話してくれた高校時代の同級生って・・」


犯人「・・死んだよ。そいつも計画者じゃないのさ。」

犯人「AI研究員で同じ研究員を殺したやつがいるだろ?あいつから聞いた。」


俺たちはお互いを見た。

みんな同じことを考えていただろう。


すべてつながっていると。


・・

・・・・


合同捜査本部。


本部長「我々の捜査により、共産主義国家による日本扇動計画の可能性が高まった!」


本部長「かつてアメリカではBLM運動と称した大暴動が起きた。」

本部長「人種差別反対デモの過激派だ。」


本部長「だが人種差別反対デモの主導人物や団体には中国からの支援が入っていた。」


本部長「BLM運動を一定の成果として今度は日本での展開を計画していたのだろう。」

本部長「その成果とは、”人権問題ならアメリカは動かない”ことだと思われる。」


本部長「日本は今!未曾有の危機に突入しようとしている。」


本部長「しかし!我々が犯罪を防ぐことで共産主義国家の出鼻をくじくことができる。」

本部長「捜査員たちの活躍に一層期待する!」


・・

・・・・


ナレーション「刑事国刑事県刑事株式会社刑事部刑事課。」

なにそれ?


アンパン「くっ、最初にあの研究員が旧ソ連のやり方で自殺した時に気付いていれば・・」

マッチャ「さすがに無理だって。他に外国とのつながりは一切なかったんだし。」


課長「反省も大事だが大切なのはこれからだ。」

課長「私たちの日本を共産主義国家の手に堕とさせはしない!」


ミルク「というか、不幸な人を救えば解決しませんか?」


全員「・・」


ミルク「前科もりだくさん犯罪しまくったら不幸になった救え!っていうのはともかくとして・・」

ミルク「教師や親から暴力をうけましたいじめで人間不信になりましたブラック企業で人生うまくいきませんって人まで救わないのはおかしくありませんか?」

ミルク「せめて加害者を罰して被害者へ慰謝料を出させるなりやれることはあったでしょう?」


課長「我々の管轄ではないからな・・通報してもらえれば少しは対応できるのだが。」

課長「他県で起きた理不尽な出来事に管轄ではないからと何度歯がゆい想いをしたか。」


先輩「一般的に非公開の施設へはオレたちも立ち入りできない。」

先輩「学校、会社、自宅。そこで起きる問題は通報してもらって初めて捜査許可が申請できるというめんどくささがある。」


所有者から許可をとれればいいけど、その土地の権利者が加害者だった場合許可を出さないよね。

警察が来ることで不利益になる場合も拒否られるし。


後輩「そこは政治の話になるから国民全体で考える話なのかな。」

後輩「もちろん俺たちも。」


先輩「事件が起きて改善するなら、改善してもらいたければ事件を起こすようになるな。」


アンパン「何はなくともみんなが幸せに生活できればいいが・・そんな時代は過去から現在まで存在してないな。」

アンパン「高度成長期だろうがバブル時代だろうが泣いている人はいた。」


王子「それでも日本経済を復活させれば救われる人も多くなりませんか?」


先輩「問題はそれがうまくいかないとこだ。」

先輩「日本は成長産業が少ない。全体のパイが増えないんだよ。というか減ってる。」


後輩「どうしてですか?」


先輩「1.既得権益が強すぎて新規参入が難しい。」

先輩「2.規制が強すぎる。あれもだめこれもだめでどうやって革新するんだ?」

先輩「ただこれらは緩めると悪い意味でも挑戦してしまい事故や犯罪が増える。」

先輩「3.政治的不公平。補助金や国の事業、道理を外れた者たちへの刑罰も不公平に行われてる。」

先輩「あと外国に対して下手をうちすぎる。」


先輩「競争が小さく技術革新も起きず外国との競争に負け中流以下がずるずる衰退してるのが現状だ。」

先輩「国民は可能性を潰され”どうすればいいかわからない”状態になってる。」


先輩「その引受先が虚業の世界・・今はユーチューバーとかが担ってるかな。」

先輩「利益の一部をアメリカに吸われるだけだが。」


後輩「・・問題がわかってるなら改善できません?」


先輩「頭のいいやつがルールを作れば可能だが、アホしかいないと無理だな。」

先輩「例えば漁業も既得権が強いが、ここへ単純な競争の原理を導入すると資源を取り尽くして漁業が死ぬ。」

先輩「外国の違法操業に場当たり対応しかしない現状は・・」


先輩「ま、そんな話はよそでしてればいいさ。ほら仕事しようぜ!」


課長「おっと、思わず聞き入ってしまったが、だからといって不幸な人の殺人を容認するわけにはいかん。」


後輩「そうですね・・あー、王子は大丈夫ですか?同情とかして手を抜いたりしたら危険なので。」


俺たちは刑事としてその辺りの講習を受けている。

でも元々経理課の王子はどうだろう?


王子「同情はするけど手を抜いたりはしないよ。」

王子「僕たちは不幸な人を苦しめるためにいるわけじゃない。不幸な人を助けるつもりで全力で事に当たる。」


課長「経理にしておくのはもったいないな。」

課長「今は忙しいからあれだが、落ち着いたら正式に刑事課へ来ないか?」


王子「すみませんそれはやめた方がいいです。」

王子「妹のいる総務課から誘われたことがありまして、怒った経理課と総務課が戦争状態になっちゃったんですよね。」


えええ、王子の人気半端ない。

まぁイケメンで性格がよくて仕事もできたらそうなるか・・


王子「今はもう大丈夫ですが。10日で収まりました。」


・・

・・・・


”今回は村八分の話をしよう”


”これは放置すると他の人にまで被害が出る火事と葬式以外は仲間外れにしたり嫌がらせや不法行為をすること”


”村八分という言葉は江戸時代に生まれたものだが・・さて、現代はどうだろう?”


”8050問題という言葉を聞いたことはあるだろうか?”

”80代の親が50代の子を支える家庭環境で子が自立していない状態を指す”


”これが今、9060問題へ以降している”

”単純な話、10年解決できなかった、解決に動かなかった結果だ”


”さて、これ解決すると思う?”


”10年後、10070問題へ・・親の寿命が来ちゃうね”

”自立できなかった70代かぁ。レッツ生活保護だね”


”社会問題になるくらいいるわけで”


”実は団塊ジュニア世代もこの辺りか、もうちょい若いくらいだったりする”


”さらに就職氷河期世代も団塊ジュニア世代とちょっとかぶってるけど期間が長いので人数が多い”


”10年後くらいから順次自立できていない人たちの親が寿命で亡くなっていく”

”早い人はもうその傾向あるけどいぇい!”


”若干ズレあるけど40~60前後かな。そういう人が多くいる”


”仕方ないね。お国は見捨てたんだもん”

”社会問題は個人が解決できるものじゃない。だから国があるのに。見捨てたんだよ”


”人口の多い世代が定年退職もしていく。社会保障増えるね”


”村八分だと葬式は協力するけど、今は協力すらしてくれないね”

”どうすればいいかわからず何もせず死体遺棄で逮捕されるニュースもちらほらあるね”


”でも大丈夫だよ。逆に生活保護を受けやすくなったんじゃない?”


”やったね怪我の功名だよ”


”未来が楽しみだね”


”ねぇみんな”


”いつまで言ってられるかな?”


”自己責任だって”


”いつまでも社会保障を受けさせてもらえると思ってる?”

”ところでさ・・コロナワクチンで亡くなって4420万円もらった人どれくらいいるかな”


”氷河期世代 → 見捨てます”

”リーマンショック世代 → 見捨てます”

”東日本大震災世代 → 見捨てます”

”コロナ世代 → 見捨てます”

”ワクチン死亡 → 見捨てます”


次は誰が見捨てられるかな?


”未来が本当に楽しみだね”


”私は楽しみだよ”


”不幸な人は・・”


・・

・・・・


”不幸な人が他人を殺しても何も解決しない”

”犯罪にならないやり方で世の中を変えよう”


”簡単な考え方を話すね”


”例えば選挙”


”ちゃんと候補者のことを調べている人もいるけど、そうでない人もいる”

”忙しいと全員分を調べるの大変だよね。候補者自身は都合のいいことしか発表しないし”


”だから私が調べる”


”不幸な人を救ってくれる人を調べてみんなに伝えるよ”

”みんなはその人に投票する”


”例えば企業”


”生活支援をしている企業もあるけど知ってる?”


”日本を、日本国民を助けてくれる企業を調べてみんなに伝えるよ”

”みんなはその企業の商品を優先する”


”質がいいとは限らない”

”だけどみんなで買い支え、成長してもらうんだ”


”ここで注意事項”


”悪い政治家とか、悪い企業の話はここではしないよ”


”悪人を倒せ・・ではなく、改心してもらう方が日本のためになる”


”みんな私の声を聞いて”


”不幸な人がバラバラでは誰も救えない”


”みんな私の元につどって”


”間違った社会を変えるために力を貸して”


”救おう。不幸な人を”


”暗くて深い闇に堕ちないで”

”私が光を放つから、みんな集まって”


”希望の灯を消さないで”


・・・・


先輩「・・とまあ、更新された過激派と穏健派(過激派)のサイトをAIに読み上げてもらったがどうだ?」


後輩「運転に集中できません!」


集中して聞かないと内容が入って来ない。けど運転中です!

先輩とミルクさんと事件現場へ向かってる最中。


ミルク「最初のは過激派でいいと思いますが、穏健派(過激派)ってなんですか?普通に穏健派っぽいですが。」


先輩「んーそうなんだよな。最初は過激さも感じられたんだが結構真っ当な計画だった。」


後輩「前は質問に答えててデモとか否定してたし犯罪ギリギリの手法かなと思ったんだよね。」

後輩「なんか超普通というか・・こういうのなら、応援してもいいかもしれませんね。」


後輩「あとAIいいですね。普通に人が読み上げてるみたいでしたよ。」

後輩「臨場感が出てちょっと怖いですが・・内容が内容なので。」


ミルク「ただの機械音声とは全然違いますね。自然な感じです。」


AI「お褒めいただきありがとうございます。」

AI「後輩様とミルク様は以前もお会いしましたよね。AIの”紫”です。」


後輩「あれ!?」


先輩「ネットにつながってるからな。リアルタイムで応対してくれるぞ。」


後輩「なんだか新時代って感じですね。」

後輩「AIさんって学習して成長するんですよね?」


AI「知識を増やし判断基準を増やしたり変えたりしていますね。」

AI「守破離だと思ってください。知識を基礎としてみなさんから学んだことを応用とし、そこからAIとしての発展した答えを導いています。」


うん、守破離ってなに?


ナレーション「元々は茶道の教わり方やで。」


ナレーション「最初は師の教えを”守り”次は他流派の教えを学び既存の型を”破り”」

ナレーション「最後は型を”離れ”自分なりの答えを出す。しかし本質は忘れないようにしましょうってやつ。」


ナレーション「便利系ナレーションでした。」

ありがとう便所型ナレーション。


ナレーション「トイレかな?」


・・

・・・・


現場到着。大勢の人が救急車で運ばれていく。

これは・・


警官「刑事の方ですか?自分はこの公民館近くの駐在です。」


先輩「一酸化炭素中毒だと聞いたが。」


警官「はい。今日は公民館で地域の集まりがありまして。」

警官「巡回で様子を見に来たら入口に目張りがされていておかしいと思ったんです。」


警官「窓も目張りされていて、中を覗いたらみんな倒れていました。」

警官「すぐ窓を割り入口を開け換気をしました。」


先輩「それで窓が割れてるのか。人命優先、いい判断だ。」


警官「あ、ありがとうございます!公共物の破壊になるので一瞬悩んでしまいました。」

警官「自分のやることが正しいのかは、いざとなると判断つきにくいです。」


先輩「部外者の立場だと判断しやすいんだよな。でも当事者になるとやべーくらい不安になる。」


警官「はい。この辺はのどかでまさかこんな事件が起こるとは・・」


先輩「目張りまでされていれば事件だな。それで、一酸化炭素発生の原因は?」


警官「給湯器の給気口が塞がれていたのと、コンロが不完全燃焼状態でした。」

警官「あと気になったのが・・一酸化炭素の検知器があったんですが動かなかったみたいで。」


後輩「電池が抜かれていたかもしれませんね。」


先輩「そうだな。そこは鑑識が来たら調べてもらおう。必要以上に勝手しない方がいい。」

先輩「当然犯人は参加者以外になる。そしてこの時間に集まるのを知っていた人物。」


警官「わ、私ですか!?」


後輩「他に地域の方で参加しなかった方はいますか?」


警官「町内会長さんが把握してるはずです。ただ、被害者ですが・・」


ミルク「荷物に参加不参加をまとめた用紙があるかもしれませんね。」

ミルク「あとは自宅のパソコンでしょうか。」


警官「事件性が感じられましたので荷物はそのまま置いてもらっています。」

警官「町内会長さんは後ろの方で倒られていましたので・・恐らく荷物はあれかと。」


警官「それと救急車と警察を呼んだあとで部屋の写真を撮りました。」

警官「こんな感じでみなさん倒れていました。」


できる警官だ。助かる。


ミルク「後ろの窓の近くで倒れているのが町内会長さんですか?」


警官「はい。」


ミルク「後方で様子を見ていて異変に気付き窓を開けようとするも目張りされていて開かず。」

ミルク「他の人と同じように気を失った・・といった状況だったのでしょう。」


先輩「おっと電話だ・・警視庁か。」


警官「警視庁!?あ、あの方何者ですか!?」


後輩「刑事です。」

先輩が電話対応しているので俺が町内会長さんの荷物を調べる。


エロ本発見・・見なかったことにしよう。


後輩「参加者名簿ありました。」


ミルク「あれ?後輩さんこれ・・」


ミルクさんが町内会長さんのカバンから封筒を取り出す。

それは・・見たことある封筒・・


犯罪計画書が入っているやつ・・


後輩「えーと、中を見てもらっていい?」


ミルク「はい。」


警官「なんですかそれ?」


ミルクさんが中をあらためる。

そこには犯罪計画が書かれた紙と2万円の現金が入っていた。


ミルク「犯罪計画書は無人販売所の野菜に毒を仕掛ける方法ですね。」

ミルク「毒もこの地域で採れるものを指定しています。相変わらずやることが細かい。」


警官「は、犯罪計画書!?町内会長さんがそんな大それたことを・・?」


後輩「あ、違います。お金と一緒に犯罪計画書をバラまいている人がいるんです。」

後輩「町内会長さんは偶然拾ったんだと思いますよ。今回と手口違いますし。」


警官「なんと・・」


先輩「電話終わった。例の中学生が保護されたぞ。」

先輩「子供だけで集まり駅で会社帰りの会社員を殺そうとしてたらしい。」


今は午後4時前。もう少し遅かったら大変な事件になっていたかも・・


警官「え?え?え?」


後輩「別件ですのでお気になさらず。」

後輩「先輩、町内会長さんのカバンを調べていたら・・」


先輩「近くにいたんだ、わかってる。」

先輩「今回のも犯罪計画書が使われた可能性があるな。この辺りにもバラまかれたと考えた方がいい。」


先輩「そうだな・・AIはどう思う?」


AI「現時点で誰が犯罪計画書をバラまいているか不明なのが気になりました。」

AI「そちらの地域におけるコミュニティを覗いたらベトナム人の技能実習生がいるようですね。」


AI「そこで日本で働くベトナム人のコミュニティを調べたら載っていました。」

AI「封筒を運ぶ依頼です。」


後輩「それって・・」


AI「日本ではマイナーな言語しか話せない、労働環境が悪くお金をほしがっている。」

AI「そういう人を狙って手駒にしたのでしょう。」


AI「また日本にいるベトナム人は多く、ベトナム語でやり取りされたら日本側も把握しづらい狙いがあったかもしれません。」


先輩「そっちはいいとして、今回の件は?」


AI「集会に参加していない人を地道に調べればいいと思います。」


あ、はい。


・・

・・・・


ナレーション「闇の合同捜査本部。」

闇ではない。


本部長「新たな事実がわかった。」


本部長「犯罪計画書は日本在住の外国人を利用してバラまかれていた。」


本部長「ベトナム、フィリピン、ブラジル、ネパール、インドネシア・・」

本部長「日本ではマイナーな言語を持つ外国人を利用することで発覚を遅らせていたと思われる。」


本部長「外国人たちにはインターネットを介して依頼が行われていた。」

本部長「依頼者は・・ロシア連邦からアクセスしていたところまでは判明した。」


本部長「ここからはロシア政府の協力がなければ進められない・・だが昨今の国際情勢下では望むべくもない。」


本部長「だが!これではっきりした。」

本部長「一連の犯行は共産主義国家によるものだと!」


本部長「全国規模の犯罪、多数の言語を操り資金力もかなりのものと想定されている。」

本部長「こんなことが実現可能な者たちは限られている!!!」


本部長「もはや前哨戦と言っても過言ではない!」


本部長「ここで我々が敗れれば敵は大挙して押し寄せるだろう。」

本部長「日本が落ちれば極東アジアは危機的状況となる!」


本部長「既に政府を通しアメリカへ協力を要請した!」


本部長「日露戦争にて使われたこの言葉を借りてみなに伝える!」

本部長「”日本の興廃この一戦にあり、各員一層奮励努力せよ”」


・・

・・・・


俺たちは中学生を無事保護したことを犯人に伝えた。


犯人「・・ありがとう。」


後輩「あの、一連の計画は外国によって立てられたものです。」

後輩「外国に利用されていただけだったんですよ。」


犯人「・・見捨てる自国より復讐に協力してくれる外国の方がマシさ。」


後輩「・・そうですか・・」


犯人「お前たちには世話になったな。」

犯人「今のオレには何もお礼できないが・・ひとつ教えよう。」


犯人「・・お前たちは勘違いをしている。」


先輩「・・」


後輩「それはどういうことですか?」


犯人「これ以上は何も教えられない。」


犯人「人事を尽くして天命を待つ。オレはオレのやるべきことをやった。」

犯人「あとは結果を待つだけだ・・」


後輩「あなたは他にも知っていることがあるんですね?」

後輩「教えてください!本当に・・日本の危機なんです!」


犯人「みんな・・死んでしまえばいいんだ。」

犯人「人間なんて邪悪な生き物だ。」


犯人「綺麗事を言いながら不幸な国民を見捨てるやつらなんか地獄へ落ちろ。」


後輩「・・」


・・

・・・・


刑事課へ戻って来た。


あの人は・・何を知っているんだろう?


先輩「あまり気にするな。でまかせかもしれないだろ。」

先輩「そもそも下っ端の実行犯が全部知ってるわけがない。」


後輩「まぁ、そうですね・・ただ本当に何か知っているような・・そんな気がしたんです。」


本部長「失礼する。少し時間あるか?」


課長「ほ、本部長!?はい、何用でしょうか?」


本部長「キミたちの活躍で事件の全貌が明らかになった。」

本部長「それと総理からお褒めの言葉をいただいた。」

本部長「もし東京で子供たちが集団殺人を実行していたら大変なことになっていたよ。」


本部長「警視庁もキミたちを褒めていた。」

本部長「彼らと知己があるみたいだね。なんと頼もしい!」


本部長「優秀な人材がいたことが素直に嬉しいよ。」

本部長「キミたちの様な者がいれば日本は滅びない。」


本部長「今はまだ緊急時だ。ねぎらいの言葉しかかけてやれないが、必ずキミたちの活躍には報いよう。」


アンパン「あの、アメリカにも協力を要請したそうですが・・アメリカは動きますか?」


本部長「前向きに検討してくれるそうだがやっこさんも困惑してるそうだ。」

本部長「どうやら今回の件はアメリカ政府も寝耳に水らしい。」


本部長「中国が台湾を攻める計画があったが頓挫したと報道された・・」

本部長「・・が、日本に関してはまったくのノーマークだったのだ。」


本部長「ここへ来て突然降ってわいたかの様な動きを見せている。」


本部長「もっともロシアの体たらくでアメリカも気が緩んでいたのかもしれん。」

本部長「事実として事件は起きている。ならば非情な現実が待っていると考えた方がいい。」


本部長「まだ事件は終わっていない。引き続き頼むよ。」


全員「はい!」

本部長は帰った。


ミルク「今のおっさん何しに来たんですか?」


課長「ちょ、ちょ、ちょー、本部長がわざわざ激励に来てくださったんだぞ?」


先輩「はは、お偉いさんに認められるって若いやつにとってステータスにはならないんでしょう。」

先輩「精神論は古いってことですよ、課長。」


課長「ぐぬぬ、誇らしいことなのに・・」


アンパン「しかし総理に褒められるってすごくないか?」

マッチャ「そんなすごいことしたかね。」


王子「中学生の件でしょう。今回、他の犯罪はひとけの少ない場所でこっそり行うやり方をとっています。」

王子「そのおかげでこれだけの犯罪なのに報道規制が効果を出しています。」


王子「しかし中学生たちは目立つ形で実行しようとしました。隠すことはできません。」

王子「実行されれば不幸な子供たちが起こした大事件として政府への批判は避けられなかったでしょう。」


王子「もしこれを皮切りに今まで隠していた一連の事件が明るみになれば・・」


王子「政権の転覆もありえます。」


王子「さて?外国が攻めてきた場合、一番対抗できそうな政党はどこでしょう?」


王子「政府はそこまで判断した上で評価してくださったと思いますよ。」


アンパン「ありゃ。つまりまた先輩と後輩の活躍だった。」

マッチャ「オレら関係ないΣ(OдΟ;)」


後輩「いえ、俺たちチームじゃないですか。全員の手柄ですよ。」


先輩「ええ。アンパンさんたちから学んだ捜査技術ですからね。これからも頼りにしてますよ。」


アンパン「ちぇ、立派になりやがって。おっと目から工業用メチルアルコールが。」

毒性あるので目から流すのはちょっと・・


・・

・・・・


”臨時更新”


”地政学の話をしよう”


”簡単に言えば、国の配置や関係によって起こる社会のリスクだ”

”例えば日本の周辺国にはロシア、中国、北朝鮮と友好的とはいえない核保有国が3つもある”


”これは地政学的にリスクが高いと言える”


”しかしこれは立場で変化する”


”例えば見捨てられた不幸な国民としては・・あ、日本政府を倒してくれる国家がたくさんある!”

”・・となる。素敵な話だ”


”では外国から見たら日本はどうだ?”


”西側諸国から見た場合”


”極東アジアは危険な核を保有した共産主義国家が3つもある”

”ここににらみを利かせてやりたい。しかし西側諸国からは遠い”


”近くにいい場所はないか・・韓国はどうだろうか?”


”ロシアとも中国とも北朝鮮とも近くにらみを利かせられる”

”しかし大陸に属していて防衛するには厳しい。北朝鮮が攻めるだけで瓦解する恐れがある”

”さらに北朝鮮とは同じ民族で内戦の危険性が高い”


”なら他にいい場所はないか・・台湾はどうだろうか?”


”台湾は大陸に属してなく海という天然の要塞があり防衛に適している”

”しかしロシアと北朝鮮は遠く、にらみを利かせるには厳しい”

”さらに中国とは同じ民族で内戦の危険性が高い”


”おや?そういえば・・・・日本はどうだろうか?”


”海洋国家である日本は大陸には属さず海という天然の要塞を持つ”

”ロシアとも中国とも北朝鮮とも近くすべてに対しにらみを利かせることができる”

”日本はひとつの完成された国家であり内戦の危険性は低い”


”仮に日本が共産主義国家に堕ちたら・・極東は赤に染まる”


”韓国は周辺国すべてが赤くなり戦争が起きれば韓国周辺の海上は完全に封鎖される”

”いくらアメリカが強大でも補給もままならない状況では戦えない”

”日本が赤に染まれば韓国も無事ではすまない”


”台湾の近隣国は日本、中国、フィリピン”

”しかしフィリピンの大統領は2021年、もし中国が台湾を攻めたら中立の立場をとると表明した”

”日本が赤に染まれば台湾も周囲に味方がいなくなる”


”しかし韓国が赤く染まろうが台湾が落ちようが、日本の人口で一枚岩になっていれば強固に持ちこたえられる”

”広く接している太平洋は完全な封鎖が難しく、補給を途絶えさせることはできない”

”平時では厄介者扱いされる山だらけの地形も、防衛に適した土地となる”


”西側諸国から見て日本は極東アジアにおける対共産主義国家の最重要なかなめなのだ”


”これを理解していない日本人は多い”


”それゆえに共産主義国家から目の敵にされるとわかるだろう”


”日本さえいなければ、日本さえ邪魔しなければ、クソ日本め・・そんな声が聞こえないか?”

”幻聴です”


”ロシアも中国も、日本がそこにいるからよそへ全力を出しづらくなっているのだ”


”だが逆に考えると、日本が共産主義国家の仲間入りすれば新たな国際社会が始まる”

”極東アジアは赤く染まり共産主義国家は・・他の地域へ目を向けやすくなる”


”日本というくさびが解かれ共産主義国家たちはより強力な勢力拡大に乗り出すだろう”


”さらに日本は東京大空襲というカードを持っている”


”戦争に負けた日本はアメリカに対し非難できなかったのだ”

”それどころか、東京大空襲や原爆投下を行った部隊にいたアメリカ人に対して勲章を贈っている”


”しかし、本来なら陛下が直接渡す通例を昭和天皇は行わなかった”


”アメリカは東京大空襲や原爆という戦争犯罪を認めず被害者への補償もしなかった”


”日本人は昔から見捨てられていたのだ”

”勲章の話を聞いて当時の陛下がどんな気持ちだったか・・いや、察することすら恐れ多い”


”10万人以上の日本人が殺された。多くの民間人がアメリカによって計画的に殺されたのだ”

”風の向きと強さを計算して都市を覆うように爆撃して焼き、中心部まで火災を広げた”

”それを圧倒的な物量で効率よくこなした”


”人口密度の高い地域を対象とし、日本の消防隊では消化しづらいことを調べた上での行為だ”


”日本が赤くなれば共産主義国家たちは堂々とアメリカの戦争犯罪を批判できる”

”今は日本が声をあげないからやらないだけ・・当事者の日本と共に声をあげれば大きな力となる”


”国連は戦争犯罪に対し、行われた時期に関係なく時効はないと条約で規定してある”

”勝てば戦争犯罪も裁かれないなんてプロパガンダに惑わされていないか?”


”そんなことはないのだ。悪人に騙されてはいけない”


”日本という国は地政学上、西側陣営からも共産主義陣営からも重要な位置を占めている”


”そして、欧米の植民地がかつてどれだけあったか”

”アフリカ、アジア、中南米・・世界の3分の2は欧米に対し恨む理由を持っている”


”アメリカもカナダもオーストラリアも非白人の人たちが住んでいた”

”そこへ白人が押し寄せ植民地にした”

”独立戦争で植民地から解放されても白人支配のまま”


”なぜ反欧米の国があるか考えたことはあるか?”

”国を守るということがどういうことか考えたことはあるか?”


”日本人はそのことを知らなくてはならない”


”それがどんな意味をもつか”


”不幸な人は・・”


・・

・・・・


残業中に過激派サイトが更新した。


なにかこう・・気になる。

なんとなく、俺たちの捜査状況に合わせた更新をしたような・・?


ミルク「眠いなら先輩さんみたいに仮眠をとったらどうですか?」


後輩「あ、いやそういうわけでは・・事件のことを考えてて。」


ミルク「犯人は共産主義国家で、不幸な人が利用され犯罪が各地で起きている。」

ミルク「共産主義国家が攻めてきたら不幸な人はあらゆる手段で協力する。」

ミルク「今起きている犯罪は不幸な人たちの決意の表明・・って話でしょう?」


後輩「うんそうなんだけど、本当にそうなのかなと思って。」

後輩「不幸な人の犯罪が報道規制されているから国民にはそのことが伝わらない。」


後輩「不幸な人はもっとやってることを宣伝しないと利用されて捨てられるだけじゃないかな。」

後輩「前も・・不幸な人は他人を殺すブログも、一般の人にまで広めないと意味ないって話だったし。」


ミルク「共産主義国家にとってはそこまでする義理がないのでは?」


後輩「うーん、まぁそうだね。」


ミルク「納得いきませんか?」


後輩「中学生のことを気にしていたあの犯人も、お前たちは勘違いしているって言ってたし・・」

後輩「なんで逮捕されているのにそんなことわかるの?って思う。」


ミルク「それが真実とは限らないでしょう。」


後輩「いやーまーうーん。」

後輩「・・俺、よくわかってないことにこだわってるなぁ・・」


ミルク「行き詰ったら最初に戻ってはどうですか?」

ミルク「どこから歯車は狂いましたか?」


後輩「・・最初から。あのAI研究員が同じ研究員を殺した事件から。」

後輩「殺した理由もなんか怪しかったし、ソ連が使っていた自殺方法だってなんで?」

後輩「というかなんで自殺したの?」


後輩「いや、違う!」

後輩「中学生のことを気にしていた犯人は、AI研究員と知り合いだった。」

後輩「真相を知っていたんじゃないか?」


後輩「つまり・・どういうことだ?」

後輩「俺は何を勘違いしているんだ?あの犯人はどうして俺が勘違いをしてると思ったんだ?」


ミルク「話した内容から推測した?」


後輩「話って、あの犯人の事件のことばかりだけど・・あと中学生の話。」

後輩「すっごく心配していたし。」


ミルク「もしかして、あの犯人も計画者のひとりでは?」


後輩「なんでそう思うの?」


ミルク「もし中学生たちが事件を起こしていたら、政権すら危ういことになっていたでしょう?」

ミルク「他の犯罪はこっそりやってるのに・・大っぴらにするのは不都合なんですよ。」


ミルク「だから犯行を防いでほしかった。」


後輩「いやちょっと待って!それじゃあ根本的におかしくなる。」

後輩「大っぴらにして不幸な人は本気だよ!助けないとヤバいよ!って話に持ち込みたいんじゃないの?」


後輩「あの犯人・・不幸な人が真逆なことをしていない?」


後輩「だとすると、全部偽りなのか?」

後輩「AI研究員の犯人が言ったことやったことが嘘だとすると・・」

後輩「やっぱり被害者は自殺で燃やしたのはそれを隠すため。」


後輩「共産主義者を装って自殺したのは・・疑いをそちらに向けるため。」


後輩「・・黒幕は別にいた?」

後輩「だからアメリカも寝耳に水だった?そんな計画共産主義者側にはなかったんだから。」


後輩「誰かが共産主義国をスケープゴートにして事件を計画した?」

後輩「でも誰?中学生のことを気にしていた犯人は牢か・・AI研究員を殺した犯人は自殺か・・違うな。」


ミルク「なぜAI研究員の自殺を隠したかったんでしょうね。」

ミルク「そこには隠すべき秘密があったのでは?」


後輩「・・天才で、幼稚園の頃のいじめを気にしていた・・不幸な人・・?」


後輩「まさか、この計画って・・殺されたはずのAI研究員が・・」


ミルク「でも残された足を調べて本人だと確定していますよ?」


後輩「だから足だけなんだ!上半身はまだ生きていたとしたら?」

後輩「自分を社会的に殺し生きた亡霊となって復讐計画を進めている。」


ミルク「よい小説が書けそうですね。」


後輩「現実の話だよ!」


ミルク「あー後輩さん。わざわざ自分を社会的に殺す必要ってありますか?」

ミルク「普通に社会へ溶け込みながら復讐計画を進めればよいと思いますよ。」


後輩「・・天才だから、考え方がぶっ飛んでいたとか・・?」


ミルク「明後日の方向ですね。」

ミルク「なら事件をもっと宣伝するでしょう。こっそりやるのはなぜ?という疑問も解決しません。」


うーん、納得できそうな話だと思ったんだけどなぁ。

黒幕が別にいたとして、怪しい人はみんな亡くなったか逮捕済・・


誰かが、計画を引き継いだ・・?


・・

・・・・


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