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04事件に次ぐ事件


次の日。合同捜査本部。


本部長「各地を捜索したところ、犯罪計画書が次々発見された。」

本部長「・・今回の事件は、かなり繊細なやり方がとられている。」


本部長「我々はしばらくこの状況が続くと判断を下した。各自体調に気を付けて捜査に当たってくれ。」


・・・・


ナレーション「ダークネス刑事課。」

普通の刑事課です。


アンパン「今回のやり口が繊細ってどういうことですか?」


課長「例えば過去に子供が出す騒音でトラブルの起きた地域では、子供を殺すような犯罪計画書が多めに見つかった。」

課長「安いアパートが多い地域では、騒音の犯罪性を煽るような内容だったり・・」


アンパン「地域に合わせたやり方をしているってことですか?それを全国各地で・・?」


課長「集まった情報を元に考えた結果、そう判断せざるを得なかったそうだ。」

課長「日本の内情に詳しく、なおかつ大規模な組織だろうと。」


先輩「ネットにもその話が出回ってますが、中々えぐいですよ。」

先輩「バレずに夫を殺す方法とか、老人を殺して高齢化社会を改善しようとかも結構あるそうです。」


アンパン「・・あのさ、バレずに夫を殺す方法ってわかるか?」


先輩「やっぱ気になりますよね。」

先輩「自分がやられないためにその方法を知りたいって書き込みも多くて結構拡散されてます。」


先輩「人の殺し方がネットで散見されるようになったってことです。」


課長「その通り。それで実際に犯罪まで至ったという報告はないが、危険な兆候だ。」

課長「削除しているが数が多くて間に合ってない。」


課長「これを食い止めるためには捕まらない犯罪などないことを我々が示すことだ。」

課長「さあ事件はいくらでもある!好きなのを選んでいいぞ!」


課長が資料を出す。これが俺たちの割り当てか・・多すぎでは?


・・・・


後輩「・・ここに置かれた鏡のせいでS字カーブが曲がれなかったのか。」

後輩「そして対向車とぶつかった。」


ミルク「置かれて1日以内だと鑑識が言ってました。」

ミルク「スピードが出ていなかったのが幸いでしたね。命に別状はないそうです。」


・・・・


後輩「・・橋の欄干を壊れやすくして、寄りかかったら川に落ちるようにしたのか。」


ミルク「花見に来たお客が犠牲になりましたね。」

ミルク「夏も危なそうです。花火とかありますし。」


橋の修繕費もかかりそう。


・・・・


後輩「・・信号の押しボタンのところに毒を塗るとかひどすぎる。」


ミルク「犯罪は全部ひどいですよ。」


そうでした。


・・

・・・・


後輩「ただいま戻りました・・」


先輩「大変そうだな。どんな感じだ?」


後輩「うーん・・爆弾を使ったものがまったくないのが不思議ですね。」

後輩「毒はよくて爆弾はだめって変な感じがします。」


後輩「まぁ、犯人がやり方を知らないだけかもしれませんが。」


ミルク「化学兵器もないですよね。こちらも犯人が知らないだけかもしれませんけど。」


先輩「じゃあ逆に、知っているけど使ってないとしたら考えられる理由は?」


後輩「・・二の矢?次の手として用意してる?」


先輩「なんで二の矢にする必要がある?」


後輩「・・・・脅迫するつもりとか?」

後輩「要求が通らなければ過激さを増す。」


先輩「その場合は犯人から接触がありそうだな。」


ミルク「強すぎる力を与えたくなかった可能性も考えられます。」

ミルク「支援した武装組織が厄介な敵になった事例もありますから。」


先輩「それもありそうだな。」

先輩「犯罪計画書は中々細かくやり方が書かれている。」


先輩「自由にやらせるというより、コントロールしたがってるように思える。」


後輩「もしかして革命を!?」


先輩「武力革命は戦争だ。武力差がありすぎて難しいだろ。」

先輩「銃も戦車もないなら、爆弾や化学兵器くらいないと話にならないぞ。」


後輩「まぁ・・そうですね。それでオウムもサリンを用意したんですし。」


先輩「どうだ?犯人の目的が見えて来たか?」


後輩「まったく見えません。」


先輩「だとしたら、まだ核心にはほど遠いってことだな。」

先輩「無理しすぎんなよ。大変なのはむしろこれからだろうぜ。」


後輩「はい。」

ミルク「気を付けます。」

ナレーション「ニートになります!」


ミルク「邪魔」

ナレーション「ぎゃああああああああああああああああああああああ」


あれ?


・・

・・・・


死後の世界なんてない。


生きてるうちがすべてだ。


・・

・・・・


おじさん・・人を、殺したの?


教えて。僕も人を殺したいの。


・・どうして?おじさんも社会に復讐したいんでしょ?


同じだよ・・僕も同じ。


復讐がすべてなんだ。復讐だけが生きる意味なんだ。


・・

・・・・


お昼を食べながら、昨日の中学生が作ったサイトを見る。

がんばってよくまとめている。今日も更新しているし。


そして中々厳しい感想を述べている。


”刃物を使っても、ガソリンを使っても、精々殺せるのは数十人くらいまで”

”必要なのはもっと大きな影響力を与える殺し方だと思う”

”大人なのにこの人たちはそんなこともわからないの?”


”個人でやってるのも本当に残念”

”もっと大勢でやればいいのに・・そしたらもっと殺せる”

”ひとりじゃできないこともみんなでやれば可能だと思う”


うーん・・中学生がこれ書くって大丈夫かな。

やっぱ一度話をした方が・・あれ?


そういえば、今起きている事件はひとりから少人数でやれることばかりだった・・


昨今起きている不幸な人の殺人は大抵個人でやるからそれに合わせた?


それともいずれ組織犯罪の計画書もバラまくつもりだろうか・・うーん、わからん。

考えても仕方ないな。


過激派と穏健派(過激派)のサイトも見ておくか。

俺はサンドイッチを頬張りながらサイトを開いた。


・・・・


まずは過激派のサイトから。


”たくさんのコメントありがとうございます”


”しかし返事をするつもりはありません”


”からかうものや批判コメントは問題外”


”質問するなら、その質問にどんな意味があるかもう一度考えて”

”価値のない質問は時間の無駄”


”ああすればいい、こうすればいいと意見があるけど一度シミュレーションくらいして”

”現実的ではなかったり、都合のいい展開だったり、誰かの真似ばかり”

”まともな意見なんてまったくない。全部無責任なもの”


”これらを相手にしても、見捨てられた不幸な国民は救われない”


”今までのやり方ではうまくいかない。ではどうするかという話です”

”説得力のある話をしましょう”


”そして不幸な人は全方位攻撃を旨とします”

”慣れ合いなど不要。利用できるものは利用する。基本すべてが敵”


”応援はありがとうございます。これからもがんばります”


・・ちょっと違和感。


先輩「お、昼飯食べながらも仕事か?」


後輩「あの先輩、不幸な人は他人を殺すブログって、宣伝したりコメント返しも結構してましたよね?」


先輩「ああ。人集めて他人を殺させるってもんだからな。」

先輩「客寄せがんばってたぞ。」


後輩「この過激派サイトは逆のことしていませんか?」


先輩「事件のことを予知してたってことで閲覧者が増えてるからな。」

先輩「精鋭を作ろうとしてるんじゃないか?」


なるほど。

・・精鋭集めて何するの?


・・・・


穏健派(過激派)のサイトも見てみる。


”たくさんのコメントありがとうございます”

”今日はコメントの返事を書いていきましょう”


”Q.罪にならないやり方ってデモですか?”

”A.デモなんて意味がありません。デモで解決しないから不幸な人だらけなのです”

”不幸な人を見捨てる人たちが決めたルールで戦うなど下策です。戦い方はこちらで決めましょう”


”Q.誰も殺さなくていいんですか?危険なことはしたくないのですが・・”

”A.殺しても解決しないので殺しません”


”Q.早く救ってください”

”A.私がやるのではなく、私たちがやるんですよ”


”Q.お茶漬けおいしい”

”A.梅茶漬けが好きです”


”Q.成功率はどれくらいですか?”

”A.成功か失敗なので50%ですね”


”Q.具体的に何するんですか?”

”A.いきなり全部話しても理解できない人もいます。少しずつこのサイトで公開していきますね”


”Q.死ね”

”A.あと100年以内には死にますね”


”Q.信用していいですか?”

”A.急激な変化を避けるため時間はかかりますがやり遂げます。見ていてください”


”Q.もう手遅れなんですが”

”A.私は絶対にあなたを見捨てません。諦めないでください”


”Q.不幸な人は他人を殺す”

”A.無意味ですよ。私はみなさんを殺人鬼にはしたくありません”


”もっとたくさん質問コメントをいただいたのですが、今日はここまでです”

”あ、もちろんみんな目を通して参考にさせていただきました”


”必ず救われましょう!最後まで・・いえ、どんなことがあろうと絶対に諦めないでください”


”最後は救われます。絶対にです”


・・・・


後輩「こっちは普通に対応してますね。」


先輩「コメ返しは結構重要だよな。」


後輩「無視されるよりずっと好感持てますよね。」

後輩「なんか・・日本各地で殺人が起きてる中ゆっくりしてますね。」


先輩「中のやつが余裕あるのか、まだその時じゃないか。」


後輩「その時が来たらどうなるんだろう・・」


課長「みんな大変だ!殺人集団が現れた!」

課長「手の空いてるやつは全員出動してくれ。」


殺人・・集団?


先輩「いつか来るとは思っていたが・・犯行が組織化されて来たな。」


まさか本当に日本を壊滅する気か?

そして・・不幸な人はどれくらいいるのだろうか・・


・・

・・・・


俺たちはパトカーに乗り込み出動した。


無線で課長が事件のあらましを説明する。


課長「事件は山道で起きた。」

課長「犯人はマスクをかぶった4人。木を切り道を塞ぎ立往生した車を襲い殺害した。」


課長「後続車が来て事件の一部始終を目撃したそうだ。通報も目撃者が行った。」


先輩「・・山道か。監視カメラはあまり期待できませんね。」

助手席に座る先輩が静かに話した。


課長「逃走経路で引っかかるかもしれない・・とはいえ、まだどこへ行ったかわかっていない。」


アンパン「場合によっては殺人集団が町中に潜伏してるかもしれないってことか。」

前を走るパトカーからアンパンさんの声が無線を通して聞こえた。


ミルク「今のうちに可能性のある逃走ルートを洗いだしますね。」


後ろからミルクさんが喋る。

本当に総力戦みたいだなぁ。


後輩「酔わないようにね。」


ミルク「三半規管がないので大丈夫ですよ。」


先輩「ナイスジョーク。」


ナレーション「三半規管は耳にある器官だよ!」


ミルク「うるさい」


ナレーション「うぎゃあああああああああああああああああ」


何がなんだか。

あとナレーション前もやられてなかった?


ミルク「中身が変わっているんですよ。」


・・どういうこと?


・・

・・・・


現場は近隣の警官たちが来て捜査を始めていた。


警官「ご苦労様です!」


アンパン「何かわかったか?」


警官「犯人の足取りですが、道路ではなく坂を下りて行った形跡がありました。」

警官「数も4つでまだ新しく間違いないかと。」


アンパン「町の方か。ヤバいことにならなきゃいいが。」

マッチャ「犯人と同じルートを調べるチームと、車で犯人を探すチームに分かれるか。」


先輩「よし、後輩オレたちは坂を下りるぞ。」

後輩「はい!」


王子「僕も行くよ。ふたりじゃ危ない。」


先輩「根性あるな。経理にしておくのは惜しいぜ。」


王子「先輩さんこそサイバー対策課から同じこと言われてるでしょう。」


先輩「向き不向きじゃない。刑事がいいんだよ。」


後輩「ふたりともマルチに活躍できる人材ですね。」


ナレーション「坂を下りながら話すとは余裕ありそう。」

ナレーション「安全には十分注意しなよ!」


はーい。


・・・・


アンパン「こっちも犯人を追うぞ!」

マッチャ「おう!」


ミルク「ここからなら下が見えますね。」

ミルク「双眼鏡で何か・・アンパンさん、マッチャさん、あれを見てください!」


アンパン「双眼鏡を・・あれ走ってるの犯人か?ガチ町中じゃないか。」


マッチャ「ミルクはここで犯人を双眼鏡で追ってくれ!坂を下りたあいつらにも連絡頼む!」

マッチャ「アンパン!車で追うぞ!」


アンパン「ああ急ごう!!」

ふたりは急いでパトカーに乗り町へ向かった。


・・

・・・・


あれ?電話?

ミルクさんだ。


後輩「はい後輩です。」


ミルク「怪しい人物がいました。双眼鏡カメラで撮影した写真を先輩さんの携帯に送ります。」


すぐ先輩の携帯がブルった。


先輩「全体画像と拡大画像か。こいつらが犯人・・」


王子「もうマスクはしてないみたいだね。」


ミルク「とりあえずその場所へ向かってください。細かい場所はナビします。」


ナレーション「ふー、ここまで離れれば安心。」


ミルク「死の言葉」


ナレーション「ぐわあああああああああああ」


あ、ごめんスピーカーにしてた。


・・

・・・・


お互い走っていたらいつまでも追いつけないのでは?


ミルク「アンパンさんたちが先に到着しました。」

ミルク「パトカーを見て道を変えましたので怪しいです。」


先輩「挟み撃ちするように誘導できるか?」


ミルク「はい!」


ナレーション「私の手のひらで踊るがよい!おほほほほ。」

そんなことしてたらまたミルクさんにやられちゃうよ?


・・・・


いた!犯人と・・アンパンさんたちのパトカーもいる。


先輩「お前ら神妙にしろ!もう逃げられないぞ!・・ん?3人?」


ほんとだ。犯人は4人じゃなかったの?


「お、オレたちが何したってんだ。」


「町中を走っちゃいけないのかよ。」


「そーよそーよ。」


王子「近くで事件がありました。犯人は舗装されていない道を通ったようです。」

王子「・・靴の裏を見せてください。町中を走るだけなら土はつきませんよね?」


「う・・逃げるぞ!」


「バラバラに逃げろ!」


「逃げよ逃げよ。」


アンパン「確保!!!」

俺たちは犯人を追いかけ捕まえた。


ナレーション「鍛え方が違うんだよ!」

よく喋るね。


胸ポケットに入れた携帯から声がした。


ミルク「これでいい。だがいずれまた第二第三の悪が生まれるだろう・・」


後輩「締めるのは早いというか、ひとり足りないんだけど?」


ミルク「頭のいい人がいたみたいですね。」

ミルク「山から覗かれてるのに気付き死角を通って逃げたのでしょう。」


後輩「逃がしちゃったか・・」


先輩「仲間は捕まえたんだ。すぐそいつも捕まるさ。」


ですね。


・・

・・・・


しかしこの犯人たち・・全員今日が初対面だったらしく、逃げた犯人のことは何もわからなかった。


アンパン「これもバラまかれた犯罪計画書のひとつでした。」


課長「ぐぬぬ・・何者なんだこの黒幕は・・」

課長「みんなご苦労だった。少し体を休めるといい。」


課長「・・まだまだ事件はあるからな。先は長いぞ。」


黒幕さんもう勘弁してください。

あなたは何がしたいんですか?


・・

・・・・


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