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ドラゴン討伐!

 ダークライガーの背に乗ってヴィータに指示された地点へ辿り着くと、そこには銀色の大きな竜が2頭が居た。


「ドラゴンか…どうだ、ヴィータ?」


『ドラゴンは古来より恐れられ、ドラゴンを狩る者は英雄と呼ばれます。その絶大なる力はその屍に残り続け、数多の有力者が求めたとされています』


「…つまり?」


『倒せばガッポガッポです』


「キタアアアアアアアアア!!」

「がおーん」


 俺の雄叫びにダークライガーも同調して気の抜けた声で鳴く。

 銀色の竜もこちらに気付いたようだ。

 牙を剥き出し唸りながらこちらを威嚇している。


 が、しかし。

 高級レストランのディナー、高級な酒、綺麗な装飾品、マッサージチェア、便利な魔導製品、俺には既にドラゴンが父さんと母さんにプレゼントする物にしか見えなくなっていた。


「うふふ、うはははははははははは!!!

 よし、ダークライガー!お前のデビュー戦だ!!戦ってみろ!!」


「がおーん」


 テンションMAXになった俺はダークライガーの試運転を兼ねてドラゴンと戦わせてみることにした。


 ダークライガーはその気の抜けた鳴き声とは対照的にスラスターと反重力エンジンを用いた物理法則を無視したような疾走でドラゴンへと迫る。

 ドラゴンは迫り来るダークライガーに、炎というより熱線と化したブレスを浴びせかけるのだがダークライガーは気にした素振りも見せずにブレスの中を突っ切っていく。


 ダークライガーの全身はトンデモ金属パラディナイトで造られているため世界を壊すような攻撃でも無い限り傷ひとつ付けることは出来ないのだ。

 ちなみにパラディナイトは名前から分かるように俺が作り出した金属である。

 何度か転生した後に魔力を全力で圧縮したらどうなるのだろうかと実験をした際に生まれたものだ。

 金属とは言っているが、その実態は国を1つ消し去れるほどの魔力を結晶化するまで圧縮したものだ。


 ダークライガーは尻尾のエーテルソードと牙と爪を巧みに使いドラゴンを追い詰めている。


 そんなとき、悲劇は起こった。


 ダークライガーが片方のドラゴンに後ろ足部分に装着されている計4門の高圧縮(プラズマ)魔素(パルス)収束砲(キャノン)を発射したところこれが命中、直撃したドラゴンはパルスキャノンの高火力の前に爆散した。


 そう、木っ端微塵になったのである。

 その高く売れる素材と共に。


「ああああああああ!!!嘘だああああああああああああああ!!!!高級ディナーがああああああああ!!!

 …あぁ…ああ…」


高圧縮(プラズマ)魔素(パルス)収束砲(キャノン)は威力調整が必要なようですね』


 俺の慟哭とヴィータの冷静な意見を聞いてダークライガーが狼狽えている。

 相方が消し飛んだドラゴンより挙動不審になってるぞあいつ。


「ダークライガー、もういい下がってろ…残りの1匹は俺がやる」


「がおーん…」


 ダークライガーの気の抜けた鳴き声も若干すまなそうな響きに聞こえてくるな…


 俺は腰の両方にぶら下がっている50cm程のバトンのような物を一本手に持つとドラゴンに近付いていく。

 ドラゴンは俺になら勝てると思ったのか、その鋭い牙が並んだ口で俺を一呑みにしようと食らい付いてこようとした。

 が、次の瞬間にはその頭は首から離れ地面へと落ちていた。


 俺の手には青白い光を放つ刃を持った大剣が握られている。

 この武器の名はエーテルツインブレード。

 腰の両側に携えられた2本のバトンの正体である。

 エーテルとは魔力に高い親和性を持ち魔力を流すことで実体化する元素のことだ。

 刃として用いれば比類無き切断力を誇り、また魔力を込めなければ実体が無いという特殊性から、剣などの武器に用いると刃の部分が要らない携帯性の高さ、また魔力の込め方により自在に刃の形を変えられるという利点がある。

 反面、魔力を込め続けなければ刃を維持出来ないという明確な弱点もあり、俺の最初に居た世界では騎士など実力のある者のみが持つことの出来る武器でもあった。


「ヴィータ、亜空間(ストレージ)の中にしまってくれ」


『解体はしますか?』


「いや、いい。丸ごと持ってった方が覚えが良さそうだ」


 首を落とされたドラゴンの死体はストレージに収納され、辺りに残っているのはパルスキャノンで飛び散ったドラゴンの破片だけになった。


「がおーん…」


 ダークライガーが後ろの方をとぼとぼと歩いて近付いてくる。


「あー、その、ごめんな?ダークライガー。

 お前はデビュー戦だったから力の加減が分からないのは仕方無いさ。

 俺が大袈裟に騒いだのが悪かった!お前はよくやったよ。

 それにドラゴンは1体確保出来たからさ、俺の親孝行だって出来るはずだ」


『そもそもは威力の確認をせずに貴方に高圧縮(プラズマ)魔素(パルス)収束砲(キャノン)を取り付けた私たちの責任なのです。

 ダークライガー、貴方が気に病むことはありません。

 寧ろデビュー戦でよくドラゴンを仕留めたと言えます』


「がおーーん」


 ダークライガーもなんとか元気になってくれたようだし、ギルドに戻ってドラゴンを売るか!

 出来るだけ高くなってくれよ!!

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