すごい従魔!
力の解放をした俺は作業を進めていく。
「次は装備品だな、亜空間の中身のセットアップは終わったか?」
『マキナ以外は終了しています』
「最強装備を頼む」
『了解しました、ロード名《最強装備》』
ヴィータの声と共に俺の全身は淡い魔力光に包まれた。
魔力光がやむとそこには貧相なTHE村人というような格好ではなく黒に銀の縁取りがなされた軍服を着こなす俺が立っていた。
「うん、やっぱりこれだな。しっくりくる」
『格好いいですよ、アーロン』
「ありがと。…うん、エーテルツインブレードも問題なし、コンバットガンもオッケーだな…」
『準備はこれで終了でよろしいですか?』
「いや、ちょっと待ってくれ。
どうやらこの世界には従魔というシステムがあるらしい。
だから自動人形を作ってそれを従魔ってことにしようと思うんだが」
『あの勇者が乗っていた馬のようなものですね。素材はエーテル合金とパラディナイトのどちらにしますか?』
「パラディナイトだ、足りなければ作ってくれ。
勇者様のセイントペガサスはこの世界で1番速くて賢いって話だ。
せっかくだからセイントペガサスより速くて強くて賢い奴を作ろう」
『それはいいですね、私もあの寝取り野郎には腹が立っていたところです。
速いというと猫科の魔物をベースにするのが良いでしょうね。
8つ前の世界に居た《ヴァ・ララガ・ジャル》や3つ前の世界の《サーベルライガー》などは如何でしょう』
「ヴァララ…?…あー、覚えてないから3Dホログラムを出してくれ」
『こちらになります。《デスサイスキャット》や《幻幕獅子》もいいかもしれませんね』
「おー、猫科の魔物いいね!ベースデザインはこれでいいよ。
機能なんだけど、セイントペガサスが空を飛べるらしいからこっちもスラスターを付けて飛べるようにしたい。あとはキャノン系の武装もつけたいな」
『近接用に高周波ブレードもつけたいところですね
他にも―――』
「いや、それだと――――」
俺とヴィータの従魔造りは夜を徹して行われた。
特に目を普通に付けるのかバイザー型にするのかモノアイにするのかで揉めに揉めた。
結局はヴィータの推すバイザー型になったのだが…
「ふおあ!遂に完成したか、俺の従魔が!!」
俺の軍服に合わせて黒を貴重とした艶消し仕様のカラーリングで、猫科の猛獣のようなシルエット。
口からはサーベルタイガーのような牙が伸び、太い手足の先には鋭い爪とスラスターが付いている。ちなみに牙と爪は両方高周波ブレードである。
両方の後ろ足の付け根には高圧縮魔素収束砲が2門ずつ装着され、太く長い尻尾の先はエーテルブレードになっている。
その背は俺が乗って移動することを考えて乗り心地は抜群だし、重力制御装置が組み込まれているため振り落とされる心配もない。
また、強固な魔力障壁とエネルギーフィールドを貼れるようになっているため守りも強固だ。
「これは完全にやり過ぎたな…」
『ええ、久し振りだったのではしゃいでしまいましたね』
「ま、まぁいい!我が従魔よ、お前の名前はダークライガーだ!」
ダークライガーは「がおーん」と間の抜けた鳴き声をあげた。
「…鳴き声なんとかなんない?」
『申し訳ありません、鳴き声のストックが無かったので上手く合成が出来なかったのです』
「…それじゃあ仕方ないか、あんまり鳴かない方向でいこう」
ダークライガーはうんうんと頷いている。
ダークライガーの中には自立思考型のAIを埋め込んであるので頭がかなり良いのだ。
「取り敢えず、夜明けちゃったし帰るか」
俺はダークライガーの背に乗ると家路へとついたのだった。




