第5話 明日に向かって
ジャイアントスラッグが完全に溶けきると、戦闘が終わったためか周囲に張られていた結界も消えていった。
周りからはものすごい歓声が上が・・・らなかったが、アイがこちらに向かって名状しがたい顔で走ってきたので、とりあえず避けることにした。
ッサ!!
避けられると思わなかったのか、こける。
「っ痛いです・・・。というか、何で避けるんですか!」
「え?お決まりでしょ?」
「そんなお決まり知らないですよ!」
と、わーわー何やら叫んでいるが、面倒なのでほっとくことにした。
(それより、ガチャだ、ガチャだー♪)
俺はこのあとのガチャについて、夢を見るのであった。
「っぐ、いててて、後から痛みがきたな」
「大丈夫ですか?回復手段がなくて、申し訳ないです・・・」
「あぁ、気にしないで・・・それよりさ、さっきの水魔法の反対で少し冷たくして背中に当てられる?もしできるなら、そのままその水をしばらくくっつけれると嬉しいんだけど」
「さっきもそうですが、授業でやったことないことばっかりさせますね・・・、さっきは何とか上手くいきましたが、あれをやるのに結構集中しなければいけないですし、時間もかかるんですよ?」
「ごめん、ごめん。水魔法ってのがどこまでできるのかなって思ってさ。というかあんまやらないんだね、温度変えたりサイズを変えたりとか」
「サイズくらいは、魔力の放出量とかで調整はできるんですけど、温度まではあまり話には聞かないですね、というか、温度変えるのに魔力がものすごく消費するのに驚きましたよ」
そうしていると、1人のの先生がこちらに向かってくる。
「傷の手当てを行いますので、痛む箇所を見せて下さい」
「あ、はい。ありがとうございます」
「ヒール」
手当てのため、回復魔法をかけてもらう。
(あ~、温泉に浸かっているみたいな感覚だ。気持ちいいわ~)
治療を受けている間、周りの人達も落ち着いたのか、アイはお祝いの声を掛けられていた。
俺はというと、誰も声を掛けられず1人治療を受けていた。
(友達いないんかな・・・俺・・・)
そんな悲しい事実に浸っていると、1人の少年が声を掛けてくる。
「おーい、アレク!やったじゃんー!」
と、卒業式の時に隣にいた少年が声を掛けてきた。
「あー、ありがとう」
「なんだよ、そっけないなぁ。同じクラスのよしみで応援もしてたんだぜ」
「嘘つけ、なんか頭おかしくなったとか言ってたくせに」
「あ、聞こえてたのか。いや~、いつも成績下位にいたやつが勝てるとは思わなかったからしょうがないじゃんか。でも、祝いの声を掛けるだけでもいいだろ?学校で唯一の友人俺しかいないんだしさ!」
「うるさいわ!まぁ素直に受け取っておくよ」
「ツンデレおつ」
「はいはい」
「つれないな~、ま、アレクらしいからいいけどさ。それより、お仲間結構大変そうだけど、大丈夫か?」
「うん?」
そんなやり取りをして、アイの様子を確認する。
(あれは、パーティーを組む時に声かけてた3人組か?)
「やるじゃん、二人でジャイアントスラッグを倒すなんて。しかもあの水魔法見たことなかったし」
「そうよ、そうよ。あんなの授業でも習っていないのに。意外にやるじゃない」
「は、はい。あ、ありがとうございます」
「ところでさ、水クラスこっちに1人いるんだけどさ、どちらかというと前衛系だし、後衛系のメンツもいたら助かるし、俺ら3人組だから、うちにいれてやってもいいぜ」
「そうよ、そうよ。実質さっきのもあなた1人で倒したんだし、風の落ちこぼれより、こっちの方がうまくいくと思うわよ」
「え、えっと・・・」
(さっき、断っていたくせに。というかあんまり面識ないだろうに、俺のこと、落ちこぼれってよく言えるな)
「な、絶対こっちのがいいって、だからこいよ」
「で、でも。すぐにパーティー組んで、解消しましょうっていうのは・・・」
と、こちらに視線を送るアイ。
治療も終わったので、そちらに向かう俺。
「えーっと、話しが盛り上がってるところ悪いけど。こちらに何も言わず、パーティーメンバー引き抜くのはどうなの?」
勧誘しているやつらが、めんどうくさそうな顔をする。
「あぁ、悪い、悪い。そうだな、いきなりそちらに了承も得ずに声かけるのはあまりにも礼儀がなかったね」
と、3人組の中の爽やかイケメン風の男が謝ってきた。
「でも、そっちの子にとっても悪い話じゃないと思ってね、最初に声かけてもらって断ったことには悪いと思ったけど。色々話し合った中で、人数にも空きがあるしどうかな?って思ってね。で、実際どうかな?」
(嘘つけ。大方今の戦闘を見て決めたくせに。まぁ、この世界のこと教えてもらう人間がいなくなるのは厳しいけど。他の人達と最初から問題を起こすのは遠慮したいな・・・)
「なるほどね・・・まぁ、こちらとしても本人の意思次第だし、アイが了承するなら構わないよ」
「えぇえええ・・・」
アイが驚いた声を上げる。そして、少し離れたところに引っ張られる。
「私が抜けてもいいんですか!?」
「いいもなにも、ぶっちゃけいい話じゃん、人数が多いほうがこれからの戦闘も有利になるだろうし。生活面でも何かと便利だろう?」
「私、ドジかもしれないですけど。よく図書館行ってたから、知識はありますよ!アレクシスさん授業聞いてなかったみたいだし、便利ですよ!私!」
「しつこいなぁ、別に行きたいなら、構わないよ」
「そ、それに家は宿屋ですから、宿探さなくても大丈夫ですよ!なんならパーティーメンバーで少しお安くも・・・!」
「それは別に普通に借りるからいいし。」
「え、えっと。私、女ですよ!どうせなら女の人と冒険したい男のかた多いじゃないですか!?」
「意味わからん。というか、そんなことを言う前にもうちょい身だしなみ整えて、巨乳になって、俺より3歳以上年上になってから言いなさい」
「・・・自分で話振りましたけど、女性に対して辛辣で最低ですね・・・。最後なんか絶対無理じゃないですか!・・・うぅ、いいですよ・・・はぁ、あとはお姉ちゃんがいるだけだし。でももう行き遅れみたいなもんだし・・・」
「お姉ちゃんっ!?姉がいるのか!?」
「は、はい!もう19歳で行き遅れですが。あと・・・」
(19で行き遅れなのかよ!)
「して、姉は巨乳なのか!?」
「な、なかなかに人の姉に対しての質問じゃないですけど・・・食い付きますね・・・胸は大きい方だと思いますが・・・」
「悪い!せっかく誘ってもらったが、パーティーを組んで行きなり解散も今後の印象を含めて悪いと思うんだ。そっちもメンバーが増えるにしても、いきなり変えるのは周りの目もあるだろう?」
と、爽やかイケメンにさっきの戦闘ですぐ手のひら返しはどうなの?という意味を含めて伝える。
「・・・さっきの態度から真逆になりましたね・・・えっと、せっかく誘ってもらって申し訳ないですが、すいません」
「ふぅん、まあこちらも良かったらって話だし。構わないよ。まぁ、後から後悔しても知らないけど」
爽やかイケメンくんはつまらない顔して去っていった。
その後、他に余興の希望者もいなく、各自解散、余興に勝利したパーティーはパンドラボックスの保管庫に移動するように言われた。
保管庫には、各パーティーで入り、引き終わったら、そのまま解散という流れで行われていった。そして、最後に俺達の順番が回ってきて入室する。
パンドラボックスは、見た目コンビニの抽選箱のようなものであり、最初に期待してたものよりしょぼくてがっかりした。
「どちらから、引きますか?」
と、引率の先生に言われる。
「アイ、先に引いていいよ」
「あ、いいんですか。ありがとうございます」
(残り物には福があるっていうしね)
そしてアイが引くと、中からは少し大きめのバックパックが出てきた。
(あの箱からは、想像できない大きさが出たな・・・)
「背嚢型の魔法袋ですね、おめでとうございます。この大きさなら容量もありますし、とても便利ですよ」
「やったー!どうですか、アレクシスさんやっぱり私がいて良かったですね!」
「はいはい、それじゃ、次俺ね」
「対応が雑ですよ!」
そして、俺も箱に手を入れ、引いていく。
「...メガネ?」
「これは鑑定グラスですね、おめでとうございます。滅多に出ないものですよ」
かけてみると、注視するものの名称が分かり、視力補正もあるみたいだ。ただ、名称は転生したばっかりの俺にはどんな効果があるのさっぱりであった。
「はぁ、これあげる」
「え!?いいんですか!?わっ!よく見えますね、これ!ありがとうございますー!」
はしゃぐアイを見つつ、ガチャの結果にテンションが駄々下がりな俺であった。
「それじゃ、アイの家に行って・・・お姉さんに会いにじゃなく・・・宿をとろうか」
「願望隠せてないですよ・・・、案内しますのでついてきて下さいね」
その後、アイの案内&紹介で無事、宿はとれることができた。
俺は、ベッドの上でアイの姉については、頭の中から除外することにして、明日からの予定を考える。そして、チェッカーも忘れずに確認した。
(アイがドジだったり言われてたのって、主に目がとんでもなく悪かったんだろうな、あれは、姉じゃなく兄だろうに・・・というか巨乳に見えるほどの胸筋って・・・。あぁもうそれを考えるのやめて、戦闘もしたし、ステータスチェックをしよっと)
名前:アレクシス
種族:人間
年齢:13
属性:風
レベル:3
スキル:風魔法(1)エアカッター、風強化魔法(1)アクセル
預金:100,000z
名前:アイ
種族:人間
年齢:13
属性:水
レベル:1→2
スキル:水魔法(1)ウォーターボール、性質変化 New!
預金:-
(アイだけレベル上がってスキルも追加してあるし・・・。そんなにポンポンレベル上がるわけないか)
(転生初日で色々あったし、疲れたなぁ。でも、楽しかったな。これからどんなことがあるのか想像するだけでも楽しそうだ。)
「やっぱり、異世界転生って楽しいなっ!」
ノリと勢いだけで作ってしまいました。文章や文章の見せ方も書いてみることでどれだけ難しいかよくわかりました。しかし、やってみると少しでも見てくれる人がいたのか、アクセス解析を見てにやにやしたり、評価くれないかなとかドキドキしながら楽しんでいました。
初めて書いてみて、書くにつれて最初の方をもっと直したいなど改稿ばっかり考えてしまうので、今回で完結することにしました。今後の構想はあっても、もう少し勉強した中で、新しく書いていければと思います。
ここまで読んでいただいた皆様誠にありがとうございました。