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第3話 戦闘

説明を疲れのせいか、少しぐったりしているアイを横で、この世界のことを聞いて満足している俺。


「えーっと、チェッカーの授与も終わったみたいだし、これで解散なのかな?」


「いえ、このあと余興という形で、希望者を募って周辺から捕まえてきたモンスターとの戦闘を行います。モンスターとの戦闘に勝てば、パンドラボックスという箱から褒美をいただけることになっていますよ。もし、危険そうな場合でも周りの先生が倒してくれますので、死ぬことはないと思います」


「パンドラボックス?」


「パンドラボックスとは、箱の中に手を入れ、手を入れた者に有用な道具、武器などが出るものです。まぁ、たまに変なものが出たりもするらしいですけど。・・・というかさっきの質問もそうですが、授業で説明しいていたことをなんでそんなに知らないんですか・・・」


「寝る子はよく育つっていうしね」


「意味がわかりませんよ・・・」


(つまり、戦闘で勝てば引けるガチャってことかな)


そんな、やり取りをした中、余興(戦闘)が始まった。

モンスターはどこの地域の水辺に生息しているジャイアントスラッグ【Lv.5】

約2mほどの巨大なナメクジであった。触手の攻撃は鋭く、体表は粘液のせいか、武器でのダメージは効きにくいとのこと。毎回この余興で出る定番のモンスターであり、新人としてソロでは難しいが、しっかり連携がとれたパーティーであれば、勝てるものらしい。


最初のパーティーは4人とも全員が各クラスので上位者であり、順調にダメージを与えている。

「ファイヤーボール!」、「ウォーターボール!」、「エアボール!」、「アースボール!」


(なんだろう、武器の攻撃が効きにくいからって、近寄らずに魔法撃っておけばおっけーみたいなの。なんかモンスターが不憫すぎる。というかエアボールなんかあるのか。なぜに俺のチェッカーにはでてないんだろう)



各魔法の初級は[○○○ボール]系であり、エアカッターも初級魔法であるが、通常であれば、エアボール→エアカッターと修得する。ただし、修得については、個人の性質や性格に影響するため、この限りではない。



その後、近寄られ触手の攻撃範囲に入ったら範囲外に離れ、無難に魔法を当てていき、ジャイアントスラッグは倒された。

次々戦闘が行われていくが、勝率はだいたい2割くらいであった。あくまで最初のパーティーがうまかっただけで、近寄られたら離れるという行為も簡単なことではなく、初めて自分たちだけで行う戦闘により、モンスターへの恐怖、触手の攻撃範囲を見極めづらく、直撃すれば骨を砕くのも余裕な威力があるため、この結果はしょうがないのかもしれない。

この結果も踏まえて、だんだん希望者もいなくなり、戦闘に勝利したパーティーはパンドラボックスへ。その他は解散という雰囲気が周囲からした時、


「すいませーん、うちのパーティーも参加していいですか?」

俺は声を上げた。


「え?ぇえええええぇえええええええええええ!?」

アイの驚愕の声も上がった。


その声により、周りの視線を一心に集めてしまう。


「おいおい、2人パーティーでほぼドベのやつらがやるのかよ・・・」、「あいつら今までの戦闘見てなかったのかよ」、「頭おかしいんじゃないか」、「あ、アレクでるのかあいつ今日ちょっとおかしかったからなぁ。どっか壊れちゃったんかな」


(最後のやつ、隣にいた少年だろうけど。壊れたってなんだよ、あとで覚えてろよ)

と、心の中でこの後の予定を埋めるのであった。


「見たところ、2人組のパーティーのようだが、本当に参加するのかね?危険だと判断したら私達も戦闘に入るが、必ずしも事故が起きないとは限らない、それでもいいのかね?隣の子はすごい顔で首を振っているが・・・」

と、先生が参加の有無を確認する。


「はい、大丈夫です。もし危険のようであれば、お願いしますが、事故が起きるのも承知してますので。横のは気にしないで下さい。武者震いのようなものですから」

と、参加の意向を伝える。アイは、俺の服を引っ張り、名状しがたい視線と顔を俺に向けるが無視をした。


「分かった。では、戦闘スペースに入るように」


「はい」

と、横のアイをずるずる引っ張りながら戦闘スペースに入る。

俺達が入ると周りに戦闘の影響が出ないように結界が張られる。


「なんで、私のこと無視して話を進めるんですかー!!!というか、勝てるわけないじゃないですか!私レベル1ですよ!?あなたレベル3じゃないですか!他の人達だって4人フルメンバーでやってるのに、2人でどうするんですかー!?こんなレベルでもし直撃したら、下手したら死んじゃうかもしれないんですよ!?」


戦闘スペースに入って観念したのか、アイが怒涛の勢いで言ってきた。


「えー、だってやらない後悔するより、やって後悔したいじゃん」


「死んだら、後悔もできないんですよ!」


「死んだら、死んでから後悔しようZE☆ミ!」


「あぁ、ダメだこの人、早くなんとかしないと・・・。なんで、私はこんな人とパーティーを組んだんでしょう・・・」


「そっちから組んでっていたくせに」


「そんなの分かってますよ!だから後悔してるんじゃないですか!」


「お、やって後悔だね。有言実行じゃん」


「それ私の言葉じゃないですから!」


「まあまあ、それより、そろそろお相手さんが来るよ」


「あぁ、もういいです!こうなれば、とことんやって後悔してやりますよっ!」


「いいねっ!それじゃーとりあえず作戦は『ガンガンいこうぜ!』で」


「それ作戦なんてもんじゃないですっ!」



──そして、異世界に転生した俺の初戦闘が始まった──


戦闘・・・してなかった。

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