第1話 異世界転移?転生?
「おい...おい、アレク!聞いてるのか!?」
隣の少年が叫んでくる。
「え、俺のこと?」
「他に誰がいるってんだよ!」
少年が俺に向かってそう話してくる。
(いや、他に誰がいるって言われても。そんな名前じゃないし。)
そんなことを考えながら自分の姿を確認する。
見慣れたかさついた手ではなく、まだ柔らかく瑞瑞しい手を見て驚く。目の高さも前に比べると幾分低く感じる。
「大丈夫か、お前。いきなり、ぼーっとして」
「ああ、大丈夫、大丈夫。」
「大丈夫ならいいけどさ。それより、どのクラスとパーティー組むのかはもう決めてるのか?」
「え、なにそれ。」
「なんだ、まだなのかよ。俺なんかそれを考えるので、昨日寝られなかったんだぜ。」
「攻撃に火だろ、守りには水か土に入れるか、俺達風はどちらでも良さそうだしなぁ。バランスよく組んだ方が何かと便利だしなぁ。」
(なんか、いきなり説明しだしたけど。とりあえず、頷いておこう。)
「こら、そこ!これから卒業生の懇親会をやるから、速やかに移動するように!」
と、先生っぽい人に怒鳴られてしまった。
「いけね!さっさと行こうぜ!アレク!!」
隣の少年に引っ張られながら、ついていく俺であった。
ざわざわ...
「ねえ、ねえ俺と組まないか?火はパーティーに1人は必要だろう?」、「あたしたちは女だけで組むんだもんねー♪」、「水1人いらないかー?」、「パーティーの要になる土は絶対だろう!」
(なんか、出店みたいに声掛けやってるな...。)
「そんじゃ、俺もいってくるから!お前も良いやつ見つけないとこれから苦労するぞー。」
と、隣の少年はにこやかに去っていった。
(えー、ここで君と離れたら俺何すれば良いのか。おじさん寂しくて泣いちゃいそう。)
そんなことを思いながら、手を降って離れていく少年を見送っていた。
(とりあえず、現状を改めて考えよう)
1.朝、会社の出勤で電車が来たところで…、あーやめとこう。これは除外。
2.鏡がないから、何とも言えないが。自分の容姿が周りの少年少女と同じようになっている。中学生くらい?
3.卒業生の懇親会ってことは、どっかの学校の卒業式なんだろう。
4.懇親会でパーティーを組むようにすること。クラスのバランスが重要とのこと←隣の少年曰く。
結論:異世界転移?転生?やっふぅー!!!
よっしゃ!よっしゃ!伊達に異世界転生ものの小説を読みまくってわけじゃない!
現代知識チートしちゃう?しちゃう?
あ、普通の生活していた俺にサバイバル知識なんかないし、なんかの作り方を知ってるわけじゃないから、無理じゃね?グー○ル先生ー!ヘルプミー!!!
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(ふぅ、とりあえず落ち着こう)