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その他 詩 純文学

睡魔との攻防

作者: 山目 広介

 うつらうつら、カクッ

 バタン、きょろきょろ。


 こんな経験はないだろうか。擬音だけで分からない?

 仕方がない。

 意識が薄れて起きていられなくなって次第に船を漕ぎ始める。

 正式名称は忘れましたが、頭が落ちたようになったり、存在しない階段を踏み外したり、するような状態によって覚醒へと至る。

 そして現状把握に情報取得への行動。周りを確認して羞恥に耐える。

 そんな行動です。


 それは大学の学部生であった頃、自分の専門の講義を聞いていたわけですね。

 私は前から3列目やや廊下側の席が固定席でした。

 かなり前方に腰掛けていたのでしょう。

 中央には2列目の優秀な子やお隣の子、その隣や後ろにも真面目な子と続いたりします。

 窓側には留年した先輩でしょうか。

 座席の半分以上埋まってはいませんでした。

 講義室の後ろ半分は空です。

 後ろの方にいる、といっても講義室の前半分の後ろですが、人たちはそこまで親しくないため、よくは分かりません。ですが、来ない人たちよりは真面目なのでしょう。

 連休が明けて、人数が絞られてくると席が完全に専用になっちゃいます。

 時たま来る子は席順を荒らします。朝の電車でもそうですよね。


 そういう真面目な人たちが(・・・・・・・・)、です。

 私が睡魔に抗って目覚めたとき、全滅してました。

 後にも先にもあの時だけでした。

 教授は眠りこける学生たちを他所に一人ぶつぶつと講義を続けていました。



 その後、私は教科書として指定された本と教授が呟いているものが同じ内容だと気付き、本に集中することで睡魔をやり過ごしました。


 皆の講義ノートには空白が目立ちました。もしくは飛躍が……


 その後先輩から聞いた話では、その教授はいくつか言語を操れたが、日本語が――母国語にも拘らず――最も下手と噂されていました。





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― 新着の感想 ―
[良い点] 小さなことを面白く書けていて凄いなと思いました。
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