第3話
俺が召喚された事に気付き、顔を上げるとそこにあったのは、ただの暗い森だった。そして叫んでしまった。
「異世界召喚って、王国とかに召喚されるんじゃねぇのかよ!」
そしてもう一度周りを見回し、言った。
「1人…?士郎は?雪音は?クラスのみんなは?王様はどこですかぁぁあ」
2回大声で叫ぶと、近くの茂みから『ガサ』っと音がする。茂みを見る。そして口から自然にその言葉はでる。
「ハハ…あの、あなたゴブリンって奴ですか?」
そう、茂みから出てきたのは全身緑色で手に棍棒を持った、モンスター?ゴブリンだった。ゴブリンが声をあげる、『グガァァア』ゴブリンが叫んだ瞬間に俺は、悟った。
逃げなければ死ぬと。
しかし、足が震えて動かない『やばぃ、やばぃ』そう考えでいる間もゴブリンは俺に近づいてくる。5秒程で俺のところに来れる距離だ、しかし俺にはその5秒が長かった。まるで死へのカウントダウンが始まったかのように心臓が『ドクン ドクン』と動き出す。
ゴブリンが俺の目の前まで来て棍棒を振り上げ、俺の右足に振り下ろす。『ドカッ…』そんな音がしたと、同時に右足に強烈な痛みがはしる。俺は叫んだ
「がぁあああ…痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い……………寒い?」
ゴブリンは何故だか何かを感じ取ったのか、その場から去って行った。良かった…そう思った、その直後に『それ』は凄まじい咆哮と共に来た。
「グルァァァァア」
それは、まるで恐竜…ティラノサウルスだった。それは、俺を見ると爪を振り上げ、俺の左腕へとその爪を振り下ろした。『バキッ』その音と共に痛みが俺を襲う。
「ガァァァア、死ぬ、嫌だ…」俺が言う。
そんな俺を見て『それ』は笑ったような気がした。俺はその笑ったような顔を見て『プツリ』と意識が切れた。
そう、俺は死んだのだ