魔法とかある世界で一般人は理不尽な目に遭う
途中から書いてて疑問符が頭に浮かび上がったけど適当に書きました。
魔法、超能力、異能力。
この三種は、人類が持つ特異な能力として存在自体がすでに世界で確立していた。
誰もが扱える訳でもなく、先天的且つ遺伝性が殆どで、後天的に能力に目覚めるのは稀である。比率にして人類の七割強が特別な能力を持った人間である反面、残りの三割弱が能力を持たない通常の人間だ。
今では人々の生活圏に於ける環境は、能力者に依って支えられている部分もあり、行政機関や公共機関の一部が当て嵌まる――例を挙げるならば、医療機関と執行機関がそれだろう。
現状、すでに能力者は特殊な力と共に現代社会に根付いているのが見て取れる。全ての人々に言える事だが能力と無縁を貫くのは不可能なのだろう、何処かしらで接点や接触が存在している。
能力者と無能力者、二つに分類された人類だが、どちらか一方が淘汰されているという事は無く、両者とも関係は良好である。
しかし、持つ者と持たざる者の違いは弱者である方が敏感だ。
「おはよう、父さん、母さん。それと、妹も」
自室で学校の制服に着替えた兄は二階から降りて、リビングに顔を出すと家族に挨拶をした。
いつも通りの朝の一時、庭先に通じる窓辺から春の陽射しが射し込み穏やかで過ごしやすい空間を作り出されていた。
母はキッチンに立ち朝食を作っていて、父と妹はダイニングテーブルを囲ってイスに座りながらテレビを観ていた。
「おはよう、兄ちゃん」
「兄。おはよう、今朝は遅いんだな」
「おはよう、兄。ちょっとは、妹ちゃんを見習いなさい」
挨拶に気が付いた家族達は、三者三様の返事を兄に返して再び自分の時間を過ごし始めた。
「朝食はもう少しでできるから、顔でも洗ってきなさい」
「はーい」
兄はリビングに出していた顔を引っ込めて、母の言い付け通りに洗面所へ向かった。
『頃年、能力者による凶悪犯罪が増えていく傾向が見られまして警察も対応に追われてるとの事で――』
その途中で、テレビの放送から聞こえてきた内容に一抹の不安を覚えた。
自分を含めた家族全員は無能力者で、能力者の事件や事故に巻き込まれた場合に自衛する手段が無いと心配になる。
だが、それも一時的な物で、理不尽な出来事が簡単に起きるとは思えないと考えて杞憂に過ぎないとした。
洗面所に着くと、蛇口から水を捻り出して顔を洗った。春先の冷水が、肌身に染みて一気に意識を覚醒させていく。
「ぷはぁっ――ん? 今、揺れた様な気がしたけど地震か?」
微弱な振動を感じた様な気がした兄は、洗い立ての顔をタオルで拭きながら、再び振動を感じるかどうか神経を張り巡らせて見た。
数秒間だけ地面に意識を向けて佇立するも、振動は感じられずに「気のせいか」と自己完結に終わらせて兄はそのままリビングへと戻る事にした。
「うん、良い匂いだ」
廊下まで漂ってくる朝食の香りが、鼻腔を擽り朝飯前のお腹に軽い空腹感を訴え掛けてくる。
兄がリビングへ着くと、家族は食卓を囲み、すでに料理がダイニングテーブルに並んでいる状態だった。
メニューはトースターで焼いた食パンに目玉焼きで包んだベーコンとオニオンスープだ。
「さあ、兄も座れ。一家一同揃って、いただきますをするぞ! 朝食は一日の始まり、元気の源だからな」
「はーい」
父の言葉を受けて、兄は返事をしながら食卓に混ざろうとダイニングテーブルに歩み寄ろうとした時だった。
異変が起きた。
――きゃぁぁぁっ!
それは外から聴き取れた悲鳴の声と、身体で体感出来る程の揺れが生じた事だった。
揺れは一定間隔で起きて、同時に家の外から何かが激しく衝突し合う轟音が鳴り響いていた。
家族全員に動揺が走り困惑する中で、兄は嫌な予感を感じて心臓の鼓動を痛いくらいに速めていた。
徐々に大きくなる衝撃の揺れと衝突音が、自分達の許へと近付いてくるのがわかる。
きっと、それは抗えない何かの力だと動物的な本能が察知をした。
呆然と佇立する兄は瞬きすらを忘れていた事に身体が気が付き、瞳の渇きを潤そうと一度の瞑目した時だった。
世界が暗転した。
全ては一瞬の出来事だった。まるで砲弾が飛来して来たかの様な爆発がしたと思うと衝撃波と衝撃音が自宅と一家一同を襲った。
次に視界を得た時には穴抜けた屋根とその瓦礫がリビングに落ちて、衝撃によって損壊した家具や調度品と一緒に乱雑していたのが見えた。
咄嗟に周囲を確認して家族の安否を確かめたが、吹き飛ばされたままの状態で床に転がっているだけで、幸いな事に意識もあり無事な様子である。
この悲惨な事態を引き起こしたと思われる人物が、滅茶苦茶になったリビングで宙に浮きながら悠々と佇んでいて家族全員の視界の内に入っていた。
その人物は男で、身形は囚人を連想させるような姿をしている。ただの布を衣服として着用していて、両手と両足に錠を掛けられ拘束されている状態だ。
家族達は何が起きたのか理解できずにいて、酷く混乱をしながら目を丸めることしかできていなかった。
「お邪魔しま~す。くふっふふけけけけけかかかかかっ」
男は第一声と共に気味が悪い声で哄笑していた。何が可笑しいのか、何が目的なのか分からない。
全員の目に映る突然とした来訪者は、ただ狂っているだけの様にしか瞳に映らなかった。
「な、何だ、お前は!? 強盗か!? 金ならやる! これ以上、私たち家族に関わらないでくれ!」
父がすでに廃材と化している瓦礫を盾に、恐怖に怯えながらも振り絞った声で男へ説得を試みる。
金の言葉に反応を示したのか、男は口許を歪めて下卑た笑みを浮かべながら父の方へ振り向き言葉を発した。
「かねぇ~? 確かに欲しいが、今は必要ねーなぁ。今、俺が欲しいのは人質なんだよぉ」
男の言葉に全員が悟った。身形を含めた言動から、凶悪な犯罪者であると確信した。
それを裏付けるかの様に、穴の開いた屋根、天井から男に対しての追っ手であろう人物が舞い降りた。黒のスーツ姿に黒いサングラスを掛けた男だ。
「囚人番号114514、抵抗を止めて大人しく投降しろ。これ以上、抵抗するのであれば殺害も止むえないぞ」
錠で拘束されている男を番号で呼び、追っ手の男は彼に対して投降を呼び掛けた。
「あー、はいはいテンプレご馳走様。てことでぇ、こっちもテンプレの人質デースッ。てめぇこそ、動いてぇ能力を使ったりしたら、人質が破裂しちゃうぜぇ」
自分達は命の手綱を握られた人質なのだと家族全員が戦慄する中で、サングラスの男だけは表情の読めない顔で囚人を黙って見詰めていた。
人質となった全員は縋る想いで、家族が誰一人傷つく事の無く事態が収集して欲しいと願っていた。
「……これ以上の被害は看過できない。多少の犠牲を払ってでも、貴様の息の根を止める事を優先する」
兄達は絶望した。
「あーらら、折角の人質なのに見捨てられちゃったねぇ。んじゃ、全員死ねやぁああああ!」
「――ッ!」
囚人が叫ぶと、身体に青白い光に纏わせて能力を発動した。
変化が訪れたのは一瞬だった。父と母と妹が、順に上半身を異常なまでに膨れ上がらせて、
「――ッぷげらっちょ」
「――ッぴゅったらぉ」
「――ッびぇっへるま」
咽喉から奇怪な音声を出して破裂した。
破裂すると同時に臓物と血液を全て撒き散らして、肉塊が飛び散っては周辺に肉肉しい音を立てて肉を落としていった。
兄の眼前にはサングラスの男が割って入り、不可視な壁を生成して囚人の能力から護ってくれている様だった。
「すまない、君だけしか護れなかった」
彼の近くに兄が居た。兄が助かった理由はそれだけだった。
「っち、やっぱり、防がれるかッ! 糞がッ」
囚人は悪態を付きながら、割れた窓から逃げるようにして家から出て行った。
それを追い駆けるように、サングラスの男も直ぐに家を出て行った。
残されたのは、兄一人だけだった。
「……」
兄は亡者の様に歩き、リビングの床に散らばっていた朝食を手掴みで食べ始めた。
「っはは、目玉焼きにトマトケチャップはつけないよ」
兄は泣きながら美味しそうに朝食を食べた。
一通り読んで、最初の説明っぽい件を、これ何の為に書いた説明なの?って気が付いた人は正常です。
あれの意味の無さが異常過ぎて自分でも理解できませんでした。
こういうのを気分的に書くって言うんでしょうね、他にも可笑しい点は多々あると思いますがご愛嬌という事でお願いしますね!