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第二十三話「ドタバタ海騒動」

日の光が優しく街を包み込む朝方、昨日約束したとおり俺と正輝は

待ち合わせの駅のホームに来ていた。

約束の時間にはまだかなりの余裕があるため、渚の姿は無かった。

俺はあくびをするほど緊張感が無いのだが、正輝の奴は反対に周りから見ても

分かるほどガチガチに緊張している。

後ろから脅かすと心臓が停止してしまいそうなほど。


「どうしたんだよ正輝、何時ものお気楽で能天気なお前らしくない」

「俺はお前がなんで緊張しないのかが不思議だよ! あの白鳥さんだぞ!?

 完全無欠の超人パーフェクト! 俺達なんか指一本で殺されるぞ!」

「何処の化け物だよ」


あまりの緊張に正輝の言葉がおかしくなっていた。

そわそわと動き回り、今か今かと待ちわびる正輝。

そして約束の時間の五分程前、入り口の方からやや早足で俺達の方に

駆け寄ってくる女性がいた。


「ごめんね、待った?」

「いや、そうでもない。今来たばっかり」

「そそ、そうですよ! 俺達は一日待ってもいいぐらいですよ!」


正輝の言葉に少し笑う渚。

しかし当の本人は多分本気だろう。


「それじゃあ渚も来た事だし、そろそろ行くか」

「ちょっと待ってリョウ君」

「?」

「実は……その、もう一人同行者が増えてもいいかな?」


しどろもどろに喋る渚。若干目が何処か泳いでるようにも見える。

俺は増える事には全然反対しない。むしろ賛成の方なのだが、俺達に遠慮している

言い方からして、もしかして男なのだろうか?


「大丈夫っすよ! 全然OKです。なんなら十人でも百人でも呼んで

 頂いても結構です」

「いえ、そこまではいないから……」

「……で、何処に居るんだ? その同行者は?」


辺りを見回すが、俺達の方に歩いてくるような人はいない。

もしかして遅刻か? と思っていたその時。


「既に後ろにいますよ、亮介様」


突然、耳元で囁かれ全身に鳥肌が立つ。ギャー! と声をあげながら俺は

急いでその場を離れる。

俺は後ろを見ると、そこには私服姿をしているが、紛れもない渚のメイドのルビアがいた。


「失礼ですね亮介様、人の声を聞くなりまるでお化けを見たような叫び声を

 あげるなどとは……」

「普通に出てこい! 普通に! あんた何時から俺の後ろに!?」

「さっきからいましたが? お二方はお嬢様の姿に見惚れていたようで私には

 見向きもしていませんでしたが」


全く、と呆れた様子のルビア。

いやいや、見惚れる以前に気配すら感じていませんでしたから。


「渚、もしかして同行者って……」

「ごめんね……昨日の電話の内容聞かれてたらしくて、出かける寸前にいきなり

 付いてくるってきかなかったから……」

「当然です。お嬢様を悪しき輩から守るのが私の役目。海などに行けば

 その二人が何をしでかすか分かりませんからね」


ルビアの中では既に俺達は悪しき輩の分類に入っていた。

正直失礼である。

話している間に駅のアナウンスが流れ、俺達が乗る電車の時間が迫っていた。


「それじゃあ、全員揃った事だし行こうか?」

「待ちなさい、亮介様」

「? 何だよ? まさかアンタも同行者がいるとか?」

「そうではありません。ですが……」


少しため息をつくルビア。

口をモゴモゴとさせ、やけに困った表情をしていた。

もしかして……。


「何だよ、アンタがいきなり参加してきた事には怒ってなんか無いぞ?」

「それは当然のことです。むしろ喜んでいただきたいものです」

「……殴るぞ?」

「そんな事より、貴方達には"これ"を運んで頂きたいのです」


そう言ってルビアはある物を指差す。

それを見た俺と正輝は唖然とする。


「……おい、これ本気で?」

「本気でなければ言いません。仕方ないでしょう」



◆◆



いきなり意外なアクシデントがあったものの、無事に電車に乗り込んだ俺達は

海に着くまでの間、正輝が暇な時にと、用意してあった定番のトランプで遊んでいた。

四人でババ抜きをしている時、突然正輝が。


"なぁ、これで最初に十回負けた奴が全員の荷物持たないか?"


などと罰ゲームを提案してきた。

まぁ、確かに普通にするよりも何かあった方がよりヤル気がでるというものだ。

それに、また別の理由もあって俺達はこころよく承諾。

そして……。


「よし!」

「あー! ババだ!」


俺の手持ちのトランプを引いた渚ががっくりとうなだれる。

現在俺と渚の一騎打ち。

残るカードは二人合わせて三枚。今渚がババを引いたことで俺の手持ちは後一枚。

ここで俺がババを引かなければ渚は十敗となり、罰ゲームに。


「お嬢様、諦めてはなりません! まだチャンスはあります」

「そうだぜ白鳥さん」

「お前等……俺を応援する気は無いのか?」


実は俺も只今九敗目。

つまりここで罰ゲームをする奴が確定してしまうのだ。


「この馬鹿! なんで白鳥さんにババなんか引かせるんだよ!」

「無茶苦茶言うな! 俺だって必死なんだよ!」

「たかが荷物を持つだけなのに大人気ないですね亮介様」

「何とでも言え」


渚はカードを背中に回しシャッフルする。

そして、ずいっと俺の前にカードを見せる。


「ハイ、どっちでしょうか?」

「ムッ……」


普通に考えれば確率は二分の一なのだが、実は俺はババを引かない方法が

確実にあるのであった。

俺は片方のカードを取ろうとつまむと、渚の顔がニコニコしていた。


「いや、やっぱりこっちかな〜」


指をもう片方のカードにスライドさせると、渚の顔が途端にしょんぼりする。

何と分かりやすい。

俺はそのカードを引こうとするのだが……隣の二人からの視線が痛すぎる。

目がね、もう


"うわっ、こいつ正気かよ? 空気読めタコ!"

"なんという外道。やはり貴方は身も心もオオカミでしたか亮介様"


という言葉を発している。

フッ、俺だってここでババを引いて負ける事だってできる。

だがな……あの荷物がかかっているのなら話は別ですよ!

俺達の後ろの空席にありえない量の荷物。

水かき、ゴーグル、シャチの姿を模した水に浮く大きなオモチャ。浮き輪が六個……。

エッ! 六個!? 六個も何に使う気だよ!?

はたまた海に行って何に使うか分からない道具まである。

それら全てが渚の荷物なのだ。

駅のホームでこれを運べといわれた時は捨てようかと思ったほどだ。

つまり、ここで負けるとあれを全て一人で運ばなければならない。

それだけは勘弁。

渚には悪いが、まぁ自業自得と言う事と、自分がどれだけ余分な荷物を持ってきたか

という事を分かっていただく為、勝たせていただきます。

俺はババで無いほうのカードをつまむと、周りの視線が一層厳しくなる。

ハッハッハ、割り切った俺には痛くもかゆくも無いわ。

そして半分ほど引き抜いた時、不意に渚の目を見ると潤んでいた。

もう、見るからに引かないでー、お願いと捨てられた子犬のような目。

グッ……なんという強烈な訴え方。

だが、現実は非情なのだよ渚。俺はそして……カードを引いた。




◆◆




電車を降り、数分歩いた所で俺達の眼前に広がるコバルトブルーの海。

お日様が俺達を迎えるように燦々(さんさん)としていた。

浜辺には大勢の人が各々で海を満喫していた。

今にも海に入りたいところなのだが……。

背中に抱える荷物がそれを邪魔する。


「……なぁ、少しぐらい持ってくれないか? お、重すぎる」

「なに言ってるんだよ亮介。それじゃあ罰ゲームにならないだろ?」


あまりの荷物の重さに足がプルプルと震える。

あの後、結局引くことができずに俺が負けてしまった。


「それじゃあ場所確保頼んだぞ亮介〜」

「えっ? お、おい!」


それだけ言うと、着替えに行く三人。

一人大きな荷物を抱えた俺は、渋々浜辺の場所確保に向かうのであった。

運よくある程度大きな場所があり、そこにパラソルを立て、シートを敷く。

あまりの疲れに、着替えに行くよりもその場で倒れこむ。

やっと罰ゲームから開放され、ホッと一息していると。


「おー、もう場所をとったのか。うむ、よきかなよきかな」


ハッハッハと笑いながら水着姿に着替えた正輝が俺に向かってくる。

本来なら一言二言返すのだが、反論する気力もない。


「正輝、渚とルビアは?」

「ん? まだみたいだぞ?」

「そうか、来たら起こしてくれ。俺、寝るわ」

「ああ分かった……っておい! 寝るのかよ!」


正輝の言葉を最後まで聞かず、夢の世界の扉を開く。

まぁ、あれだけの荷物を運んだのだから少しぐらい大目に見てもらえるだろう。



「――きて」


突然、だれかに呼ばれて目が覚める。

頭がボーっとして目が開かない。俺は眠たい目を擦ろうと腕をうごかすのだが……。


「むっ?」


動かない。

腕どころか全身が動かない。

よく見ると、俺の全身は何時の間にか砂に埋められていた。

首から上がピョコっと砂からでていただけだった。


「えっ! な、なんでこんな事に?」

「リョウ君〜起きた〜?」


むっ、あからさまに超が付くほど不機嫌そうな声が聞こえてくる。

そして、その言葉の主が動けない俺の目の前に現れた。


「な、渚!?」

「ぴんぽ〜ん! だいせ〜いか〜い」


渚は白のワンピースの水着を着て姿を現した。

シンプルなものが一番良いとよく言うが、正にその言葉どおりだった。

スラッとした体型、金色の髪が白の水着にバッチリあっていた。

浜辺に降り立った少し不機嫌そうな女神がそこにいた。


「あ、あのなんで怒ってるの? 渚?」

「さて、何故でしょう? 一、リョウ君が寝ていた。二、リョウ君が幸せそうに寝ていた。

 三、リョウ君が私を誘ったにも関わらず、当の本人が勝手に寝てしまっていた」

「……あの、その問題に答える前に正輝のアホは何処に?」

「正輝君なら海のほうで泳いでるよ?」


……あの馬鹿、帰ってきたら覚えてろよ。

心に復讐を誓い、今は目の前のご立腹な渚をどうすれば許してくれるか

という問題に頭を抱える。


「いや、確かに寝てしまったのは申し訳ないんだが、俺は正輝に渚が来たら

 起こしてくれって頼んでいたんだよ!」

「ふ〜ん……」

「信じてくれ、俺だって一応今日を楽しみにしてたんだから」


とほほ、とほとんど泣きそうな声で訴える。

もう砂が熱くて死んでしまいそう……。


「……本当に?」

「ああ。本当に。心に誓って」


その言葉に渚の顔がほころび、機嫌がやや直る。

そして、フゥとため息をつくと。


「わかった。その言葉を信じていいんだよね? リョウ君」

「勿論」


そういうと、渚は荷物からスコップを取り出し、俺の体を埋めていた

砂をとりのぞこうと掘り出す。

俺の体が半分ほど砂から出てきた時。


「お嬢様、何をしていらっしゃるのですか?」

「あっ、ルビ」


黒いビキニを身に付けたルビアがやってきた。

メイド姿ではあまり分からなかったが、これまた凄いプロポーション。

全てにおいて非の打ち所が無い。造形の域に達していると言っても過言ではない。

他の男性もルビアとすれ違うと必ず振り向くほど。


「実はね……というわけなの」

「成る程、それは誘った男性として失格ですね。それでお嬢様はこの男を

 どうするのですか?」

「とりあえず反省してるみたいだから、助けてあげようと掘り出している所」

「ほぅ、お嬢様に内緒で黒羽様の誕生パーティーに参加していたのにですか?」


砂を掻きだしていた渚のスコップがピタッと止まる。


「えっ? それ本当なのルビ?」

「ええ。お嬢様が参加できなくて私が代理で行きました時に偶然出会いまして。

 それはそれはとても仲が良さそうに黒羽様と抱き合って……」

「おいメイド! 何、滅茶苦茶な嘘絡めてるんだ!」


にょほほほと、楽しそうに俺を窮地に陥れようとする悪魔。

渚が誤解したらどうする……って、砂! 掻きだした砂を戻さないでくれ渚!


「ルビアの言ってる事は嘘だって! 分かってくれ!」

「じゃあ、リョウ君は誕生日パーティーに行ってないの?」

「……え? いや、手紙が来たからパーティーには行ったんだけど、抱きあって

 なんかは……わぷっ!」

「ふーん、そうなんだ、私に内緒で、へー」

「ま、待った! だから話せば分かる!」

「うんうん。私はリョウ君の事信じてるから大丈夫ダヨー」

「信じてない! 絶対信じてないよね!?」


顔は笑顔でも、目は完全に笑っていなかった。

そうして俺は先程と同じように砂から顔を出した状態にされてしまった。

それから小一時間問い詰められ、誤解が解けるのに一時間ほどかかり、ようやく

開放される。


「ったく、酷い目にあった……」


なんとか着替えを終え、俺はようやく念願の海に入っていた。

海に身を任せぷかぷかと浮く。何と心地よい事か。

そんな幸せを噛みしめていると、浮き輪に掴まって誰かが近づいてくる。


「何をしているのですか亮介様」

「えっ! ルビア!?」


あまりに意外な人物が浮き輪にしっかりと掴まって俺の側に来ていた。


「そうですが、何故そこまで驚くのです?」

「いや、てっきり渚かと……」

「お嬢様ならそこで立派な泳ぎを披露しておられますが?」


と、ルビアが向く方向を見るとそこには豪快なバタフライやらクロールを

見せる渚の姿あった。

おい、浮き輪六個持ってきた意味無いじゃないか。


「あんたは泳がないのか?」

「わ、私は別に泳ぐまでもありません。こうして海の大きさを感じているだけで」

「そうなのか?」

「ええ。それだけでいいのですよ」

「でも、その浮き輪なんかしぼんできてるけど?」

「えっ?」


浮き輪の一部分からこぽこぽと泡が出ている。

明らかに空気が漏れている証拠だ。

それを見たルビアはあたふたと慌てる。その様子は明らかにパニックになっていた。


「お、おい、どうしたんだよ?」

「だ、駄目なのです! 私は泳げないのです!」

「えっ! もしかしてカナヅチなのか!?」


浮き輪は無情にもどんどんしぼみ、ついに浮き輪として役目を果たさなくなった。

ドブンと音を立て、深海に沈むルビア。

俺は急いで助けに潜り、ルビアの体を掴んで水面へ浮上する。


「おい、大丈夫か!」


ぺしぺしと頬を叩く。すると沈んでいた時間が少なかった為か、すぐに目を開ける。


「ひっ! お、溺れる!」

「お、おい! 大丈夫、大丈夫だ! 俺がいる!」

「……えっ? な、何故貴方が私を抱えているのですか!」

「アンタが溺れていたところを助けたからだよ」

「い、いりません! 貴方の助けなど」

「じゃあどうやって浜辺まで戻るんだよ?」

「そ、それは……」

「そういう事だ。とりあえず俺の肩にでも掴まれ、戻るぞ」


そういうとルビアは渋々俺の肩に掴まり、俺がおんぶしたような状態になる。

そしてゆっくりと岸に戻る。


「く、屈辱です、亮介様に助けられるとは……」

「あのな……しかし、まさかカナヅチとは驚いたな」

「わ、笑いたければ笑いなさい」

「笑わないよ。誰だって弱点というか苦手な物があるものだからな。ホッとしたよ」

「何故ですか?」

「だってアンタなんでもできる超人と思ってたから。あんたも人間なんだな〜と」

「あ、当たり前です」


話しているうちに体の硬さ、緊張が解けたのか俺の背中にしっかりと掴まるルビア。

……少し離れてもらったほうがいいかも。


「どうしたのですか? 顔が真っ赤になっていますが?」

「な、なんでもない! 大丈夫だ」


俺は必死に悟られぬように岸へと急いで泳いでいく事に。

辿り着くや否や、ルビアは直ぐに俺から離れる。


「……助けていただいてありがとうございます」


照れているのか、ムスッとした表情で感謝の言葉を述べるルビア。

その様子に少し笑いが込みあがるが抑える。


「どういたしまして。もう沖に出るなよ?」

「……仕方がありませんね、泳げない私では足手まといですから」

「そういえばどうしてアンタ泳げないのにあんな所に?」

「それはお嬢様が心配ですから。突然足が攣って溺れるなどの可能性も……

 しかし、肝心の私が溺れては何の意味もありませんね」


先程の失敗に心底反省している様子のルビア。

うーん、そうだったのか……だったら。

俺は渚と正輝を呼び、岸に集める。


「何? どうした亮介?」

「なぁ、四人でビーチバレーしないか? 丁度ボールもあるし」

「私は別にいいよ? ルビは?」

「わ、私もいいですが……」

「じゃあ決まりだな!」


早速俺達は急造のコートを作り出す。砂に線を描き、荷物の中のネットを取り出す。

そうやって準備を進めていると、ルビアが俺の近くに来る。


「亮介様、これは私の為に?」

「まぁ、これだったら海の中に入らないからな。渚に何かあっても大丈夫だろ。

 しかし、あまりの過保護はよくないと思うけどな、渚のためにも」


何時も何時もルビアがついて回っていたらあいつも中々動きづらいだろうし、

いざという時に頼りにしすぎてしまうから、それは渚のためにもならない。


「渚の事を大事に思うあんたの気持ちも分からなくも無いけど、本当に大事に思う

 なら少し離れてみるべきじゃないか?」

「そういうわけには参りません、私はお嬢様を守らなければなりませんから」

「あのな……」

「ですが、あなたの意見も少し取り入れてみましょう。確かに、付きまとい

 すぎるのもお嬢様の為になりませんからね」


フッとかすかにルビアが笑ったような気がした。

ムッ、先程助けたのが効いたのかな? やけにあっさり折れるルビアに少し戸惑うものの、

それがいいと、俺は言う。



そうしてコートもでき、楽しいビーチバレーを開始する。

結果は3−0で俺と正輝のチームがストレート負け。

全くのチームワークが無いのが敗因で、二人して遊ばれ続けた。

それとは裏腹に見事な連携の渚とルビア。

点が決まる度に周りのギャラリーから歓声が上がるほど。

他にもスイカ割り、ビーチフラッグ、果てにはやった事の無いサーフィンまで。

上手く行かずに失敗ばかりだが、それはそれで盛り上がる。

楽しい時間はあっという間に過ぎ、ついに帰る時間となった。

日はすっかり落ち、辺りは夕暮れ時。

駅のホームで電車を待つ。


「リョウ君、今日は楽しかった」

「俺も楽しかったよ」

「また、誘ってくれる?」

「勿論。俺なんかでよければ」

「……おーい、お二人さん、俺を忘れていませんか?」

「あ、悪い、忘れてた」

「亮介ー!」


ギャーギャーと怒る正輝。

俺と正輝のドタバタを見て笑う渚。

子供ですね、と呆れた様子で見つめるルビア。

さて、名残惜しいがこれで楽しかった一日も終りを告げる

電車が到着するアナウンスが……。


『大変申し訳ありません、先程大きな事故が発生しました。電車が脱線しており、

 復旧にはかなりの時間がかかる為、今日の運行は全て中止とさせていただきます』


……えっ?

 









 




























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