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という訳で、魔王とお会いします。

三話です。

よろしくお願いします。

「ここが魔王の城か・・・」

生命線を担いだ俺は、途中で雇ったガイドの案内で、魔王の城までやってきていた。

それまでの間には、出会ったオークの群れに『あるとくん』を盾にしてやり過ごしたり、魔王軍の街で、『あるとくん』の亡骸を見せて宿を借りたりしたのだが、生命線の正しい使い方をしただけなので、特にといって特筆すべきところは無かった。

このガイドも、生命線を見せたら無償で案内してくれたし、案外と異世界も易しい世界なのかもしれん。

とりあえず豪華な門の前に立った俺は、ガイド君を帰すと、思いっ切り叫んだ。

「まーおうくーん、あっ、そっ、ぼ――――――‼」

すると、内側からやけに低い声が響いてきた。

「汝、我に用があると申すか?」 

「うん、あるよー。具体的にはねー・・・」

そこで、俺は口元の笑みを深めて言った。

「―――コレの代わりって、欲しくない?」

「・・・よかろう、入れ。」

低い声が響き終わるのと同時に、重そうな扉がギギギ、と音を立てて開いた。

一応、生命線を盾にしながら、俺はスキップで城の中に入っていくのだった。



◇◇◇ 



 「で、どこに行きゃあええの?」

 意気揚々と魔王の城に入ったはいいものの、全く内部の構造を理解していない俺は、しらみつぶしに一つ一つの部屋を調べてくことにした。

 本当は入ってすぐの所に、明らかに2階に続いていそうな階段があったのだが、いかんせん段数が多く、上る気にもならないので、エレベーターないかなー、と思いエレベーターを探すため、階段を上らず1階の探索を始めたのだった。

 「ここにもない、っと。ここ、マジでエレベーター無いんじゃね?うわー、マジかー。てか使用人の一人もいいねーのかよ。魔王ってボッチだったんだな。」

 そんな事を呟きながら城内を歩いていると、前から一人の少女が歩いてきた。何事もなく通り過ぎようとする。

 「ちょっとそこの死体担いでるアンタ、待ちなさい!」

 俺は周囲を見回す。当然誰もいない。やべー、この子、見えちゃう系?近づかないどこ。

 そうしてまた歩き出そうとすると、今度はもっと声を張り上げて呼び止めてきた。

 「そこのアンタよ、アンタ‼アンタ以外に死体担いでる馬鹿がいるっ思ってるの?」

 おや、これは・・・?一応、もう一度周囲を確認してから、振り返り、自分の顔を指さす。

 「・・・俺?」

 「そうよ。ちょっとアンタ。話があるから着いてきなさい。」

 そう言うと、少女はさっさと歩きだして行ってしまう。

 ほう、分かったぞ。この偉そうな口調。他人を見下した感じ・・・間違いない。

 コイツ、魔王・・・の娘だ。

 だって、村の魔物とかから聞いた話では、魔王様には角が生えていて、身長が何十メトリ(こちらの世界のメートルらしい)もあって、尚且つ、野太い重低音の声で話すらしいのだ。 

 目の前の少女とは似ても似つかない。大方、中々現れない訪問者に業を煮やして、自分の娘に迎えに来させたのだろう。フフ、アレ?なんか俺魔王怒らせてる?やばくない?

 俺が一人戦慄している間に、どうやら魔王の部屋の前まで来たようだ。今まで歩いていた所より、一段と雰囲気が重くなっている。

 少女は重そうな扉を開けると、視線で俺に「入れ」と合図してきた。緊張で震える膝を何とか黙らせ、堂々とした態度で部屋に入る。奥は暗くて良く見えないが、玉座らしき物があることがわかる。のだが・・・ 

 「・・・誰も・・・座ってない?」

 どれだけ目を擦っても、そこに魔王らしき人影など全く見えなかった。

 「ね、ねぇ・・・魔王様ってさ、何処にいるの?」

 俺は振り返り、背後で扉を閉めていた少女に尋ねる。

 「目の前にいるじゃない。」

 「目の前って・・・玉座には誰も座ってないんだけれど?」

 「だーかーらー、目の前にいるって言ってるでしょ?最近の人間は頭を使う事を知らないのかしら。」

 少女はそう言うと、俺の脇を通って、玉座へと向かう。そして、玉座に腰かけ、こう言った。

 「私が、魔王よ。名をスィール=アンドロネスと言うわ。覚えておきなさい。」

 ・・・え、マジで?


次回、魔王の参謀になります(ネタバレ)。

さて、理央の初仕事とは・・・?

お楽しみに!

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