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第四話

妖精はたかしにこう告げた。

「3日以内に脱出したら友達は君に殺され、君は火だるまの刑になる」

「3日以上ここにいたら君はどうなるか分からないけど友達は死ぬね」。

たかしはせめて脱出ルートを確保し、あわよくば運命に逆らうために

1つ目の「3つのやること」をすることに――――

僕はそこらじゅうから本を探した。

怪物についての本、水中のマーメイドについての本、

読んだら死ぬ本なんてのもあった(鍵がかかっていて開かないようになっていた)。

シェイルのほうも色々と集めてきたらしく、本を大量にかかえて

僕のいる部屋に戻ってきた。


「これで・・・全部だと・・・いいなッ!」

ドスッと机の上に本を載せる。

「僕、もっかい見てみるよ!」

と僕は走って2階の部屋をくまなく探した。

全部が見つかったであろう時には、もう夕暮れ時になっていた。

「んじゃ、僕整理整頓しているから、シェイル君は食材のほう、頼んだよ!」

「おう!任せておき!」シェイルは意気込んでどこかへ走り去った。


僕は題名のAからZの順番に、本を本棚にしまっていくことにした。

アルカードの書籍である「A」から「B」、「C」と・・・

半分終わったところで、シェイルが夕食ができたという呼び出しがあった。


「なぁ、どうして本なんか綺麗にしようと思ったんだい?」

シェイルが硬いくんせい肉を一生懸命噛みながら僕に聞いた。

「え、あぁ~・・・だって、何か脱出するヒントがあればいいなぁ~、って」

僕はあの妖精のことを隠して話した。

「そうか・・・確かに、情報源としてはいいかもしれないな。」

シェイルはため息を吐きつつ、非常用ビスケットに手を出す。

僕はブイヨン粉末を溶かしたスープを頬張った。

疲れたのか、僕はとてつもない眠気に襲われた。

僕はそのままテーブルに突っ伏して寝てしまったのだ。


「効き目抜群だったな・・・今のうちにやらなきゃ・・・」


僕は夢を見た。

何かが僕に命令して、そのまま異世界に放り投げられて、

気が付いたら無数の勇者の死体がそこらに転がっていて・・・

頭が・・・・頭が痛い!

こう、なんだか思い出せないものを思い出している気がしてならなかった。

しかし、しばらくするとその頭痛も悪夢も消えてしまっていた。


僕は真夜中に目が覚めた。

僕はいつの間にか床の上で寝ていたようだ。

「あれ・・・僕は・・・?あれ、シェイル・・・?」

僕は壁に寄り掛かってぐーすか寝ているシェイルをそっとベッドに運び、

自分の部屋に戻ろうとした。


帰ろうとしたとき、本棚の整理を忘れていることに気付く。

急いで僕はその作業に向かった。

本を整理して、その中で26番目の本を開くと、中からぺらっと紙が落ちた。

その紙には、


「男女が壁で閉ざされている部屋の隣に日記を隠す」


と書かれていた。

僕はそれを覚えて本を元の位置にしまった。

そのとたん、耳元で声がした。

「やぁ、1つ目、終わったね!」

僕は背筋が凍ったかと思った。あれだけビクッとなったのは初めてだ。

よく見たら妖精だった。

「つ、次は何だよ!早く教えてくれ!」

僕は必死になって聞いた。


「次って、もうそこに書いてあるじゃない。

 『男女が壁で閉ざされている部屋の隣に』ある日記を探して読むのさ。」


僕は必死になって『男女が壁で閉ざされている部屋』はどこか考えた。

でも、眠気がまた襲ってきたので今日は寝ることにした。

明日になったらまたやればいいかな、今はそんな考えだった。


朝、起きて大部屋に行くと、シェイルがいなかった。

きっとまだ寝ているのだろう、そう思ってシェイルの寝ている部屋に向かった。

しかしシェイルはそこにいなかった。

あたりには本が散らばっている。拾い上げてみると、気になる記事を発見した。

僕はその本を夢中になって読んだ。


-魔法生物と人間の混合種-

主に魔法生物の憑依によって生まれる亜種。

見た目は人間のような生物をしているが、よく見ると

眼が赤く、牙が生えるようになり、爪も鋭くなる。


――――シェイルはよく周りから牙や爪のことでいじめられていた。

爪のとがった狼野郎だなんて言われていたのを思い出した。

僕は続きを読む。


時には人間を襲うが、魔法生物は頭がよく、

密室などの閉ざされた環境で襲う場合が多い。


――――今のこの状態がまさにこの状態だ。

しかし、襲ってくる気配なんてなかった。

僕はさらに続きを読む。


薬などを利用しての殺害も多数報告されているともいわれている。

殺害方法は多彩であり、一定ではない。

覚醒時に人間を殺害し、覚醒後は眠るというが、たまに

覚醒しきれずに寝てしまうこともあるという。


――――僕はもしかしたらあの夕方の時、殺されていたのかもしれなかったのか。

夕方のあの睡魔もやはりおかしい。

もしかして、精霊の言いたかったことは、


「覚醒したシェイルに何らかの方法で火だるまにされてしまうが、

 抗った結果シェイルを殺す羽目になってしまった」

「3日経ったある日シェイルが覚醒し、襲ってくるが、

 何らかの原因でシェイルが死ぬ、もしくは殺してしまう」


ということではないのか・・・!?

僕は焦りを覚えた。これは運命がどうあれ、いつ殺されるかわからないからだ。

僕は、


魔物に狩られるために魔物によって閉じ込められたのか・・・!


そうとなると長居は禁物・・・そう思った僕は

急いで2つ目の「日記」を探すために必死になった。

閉じ込められてから1日目なので、

今はまだ2日目です。

2日目が終わるまで火だるまになる運命は避けられないのですが、

今はたかしがそんな状態でいられるわけがありませんね?

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