異世界で作ったポーチのせいで大変なことになりそうです
みなさまはじめまして。
わたしの名前は佐々木のぞむといいます。
今から5ヶ月前でしょうか。気がついたらこの異世界にいまして。
それまで日本生まれ・日本育ちだったんですけどねぇ。
それが日本から言えばまさしくファンタジーな異世界に来てしまったんですから。ビックリしましたよ。
え?そんなにビックリしているようには見えない?
そんなことないですよ。いきなり見知らぬ場所にいたんですから、ビックリです。
見たこともない生き物、街、人ばっかりでいったいこれはどういうことなのかとしばらく悩みましたよ。
しばらくなのはそれだけ経っても現状が変わらなかったからですね。
気がついたらここにいたなら、また気がついたら戻ってないかなーと楽天的に考えていたんですけどそういうことはなくて。
今に至るまで元の世界に帰れていません。
まぁ深刻に悩んでいる暇はあまり無くてですね。
だって生きなきゃいけないですからね。わたしは死にたくはないですから。
拾ってくれた人がスパルタだったのもありますけど。
とにかくこの世界には見たこともない生き物…ゲームに出てくるようなモンスターがいたんでそいつらから逃げるなり倒すなり出来る様になれっ!ってのがその人の主張でして。
それまでろくに運動もしてないし、ましてや武道とか学校の授業以外やったことなかったんですよ。
でもここで生きて行くならそれをしなきゃいけなかった。
もちろんそのために拾ってくれた人がつきっきり…というわけでもないですけど面倒を今に至るまでみてくれてるわけです。
おかげさまで今では弱いやつならなんとか倒せるほどにはなりました。
それでようやく、まぁ一息つけた訳です。
余裕が出来たなら今まで我慢していた趣味をまたやりたいなーと思うじゃないですか。
考えたらなんとか道具とか材料を揃えて、昨日を休みと決めてやっていたんですよ。
え?わたしの趣味はなにか?
言ってなかったですっけ?革で何か作るのが趣味です。
で、昨日はよくわからない動物…たぶん動物の革でポーチを作ったんですよ。
小さめのポーチならまぁ簡単にできるかなーと。
久々に作るのはとっても楽しかったですよ。道具は…まぁもっといろいろ欲しいですけど。
出来たポーチは上手く出来たと思いますよ?
チャックとかないからまぁ微妙かもしれないですけど。
外側は大丈夫だから、内側はどうかなって中を見ようとしたんですけど。
でも暗くて見えなくて。あれっと思って手を入れたんですよ。
ポーチだからせいぜい10センチくらいの深さしかないのにいつまでたっても底に触れないんですよ。
しかもどれだけ腕を入れても。ポーチなのに腕が全部入るとかおかしくないかと思って。しかも中はまだまだ入りそうですし。
この世界ではひょっとしてポーチとか全部こういうものになるのかな?と思って今日こうして相談に来たんですけど。
という訳です。
相談相手はわたしを拾ってくれた人です。
なんだかんだと面倒を見て貰ってるんで。
今はわたしの話を聞いてなぜかテーブルで頭を抱えてますけど。
未だにこの世界の細かいことはわからないんで、どうなんですか?
なんでいきなり叩こうとするんです?危ないじゃないですか。
ちょ、頭をおさえないでくださいよ。なんでヒソヒソ話するんですか?
『お前が作ったのはアイテムバッグだ。
…王都の職人でも作るのは難しいものだし、このポーチでも金貨数枚になる。
簡単に作れると知られたらお前どこかしらに拉致監禁されて死ぬまで作らされるぞ…?』
えーなんかそれ面倒くさいじゃないですか。
ちょ…どうしたらいいですか?
わたしはそんな面倒事は遠慮したいです。
あ、痛いイタタタタタタタ!
締めないで!頭を締めないでくださいよ!
『お前のその事情を知った俺も巻き込まれるじゃねぇか!』
それはほら。拾った責任を取ってくださいよ。
うーんでも原因はなんですかね?
やっぱりよくわからない動物の革で作ったのがいけなかったのかなー。
次は別の革で作ってみたいと思います。
作らないという選択肢は無いのかって?
そりゃあ唯一の趣味ですから。やめる気は一切ないですよ?
主人公の性別をどちらにしようか悩んでどっちでもいっかーとなりました。
手芸大好きです。本当はポーチ作ってるとこ描写しようと思ったんですけど説明難しい…ので諦めました。
主人公、佐々木のぞむ
二十代
異世界トリップした。
基本自分の好きなようにやる。
流される様にみえて我を通すのでトラブルをおこして拾った人によく怒られている。
でも根本は日本人なので空気は読む。
拾った人、名前は決めていない
男、3*歳。
面倒見がよい。スパルタ。
のぞむを見つけた人。
のぞむのせいで起きるトラブルに巻き込まれるのでよくのぞむを叱る姿が見られる。
そんなことがあってものぞむの面倒をみるすごくいい人。