夢中
(気がつくと……)
「お、目が覚めたか?」
う……、ここは、どこだ?
「ここは夢のなかじゃ」
夢か……、え?
「驚くことはない。おヌシはただ寝ているだけだ」
なるほどこれは全て夢だと
「あぁ、そうじゃ」
じゃあ君は?
「ワシは夢の住人じゃ。まぁ、精霊みたいなものかのぅ」
話し方が古くさい化け物ですか
「う、まぁ、そうじゃ……」
夢の中でも変な人に会うなんて……
「人ではないぞ」
それはすみません
「分かればよいのじゃ」
なんで俺の夢に現れたんですか?
「ノリと勢いじゃ」
適当と気まぐれですね
「と言うわけで、今晩の酒の友として宜しくなのじゃ」
未成年なんですけどね
「夢だからなんでも許されるぞ」
少なくともこれを読んでいる人は起きていますよ
「まったく、キャラが読者を気にしたら負けだぞ?」
なんの勝負が知りませんけど
「良いじゃないか。どうせ明日の朝には全て忘れるじゃろ」
やっぱり夢だから忘れるんですか
「いや、わしがオヌシを殴るからじゃ」
無理矢理消すんですか……
「渾身の右ストレートでな」
夢だから痛くないのでは?
「起きてから殴るのじゃ」
……つまり、今現実では
「お前の横に座っているのじゃぞ」
嘘ですよね
「嘘じゃ」
やはり
「おヌシなかなか鋭いな」
そりゃどーも
「ワシじゃなく、高校生が座っておるぞ」
え゛
「友達か?」
……どんな奴が座っているんですか?
「起きたら分かるぞ」
殴られますけどね
「良いではないか、この大鎌で首とられるよりはマシじゃよ?」
気になっていたんですけど、その鎌って……
「なに、つまらんものじゃ。気にすんな」
あと、この大きな川はなんですか?
「確か、三途って呼ばれていたような」
川の向こうで誰かが呼んでいるんですけど……
「気にしたらゲーム・オーバーじゃ」
何のゲームですか?
「人生ゲームかのぅ」
…………
「安心せい、おヌシは無事帰れる……ハズじゃ」
不安要素を残さないでくださいよ
「三回回ってワンと鳴けば……」
戻れるんですか?
「いや、面白そうじゃな~って」
……殴ったら戻れますよね?
「自分を殴るのか? それはあんまりグヘッ?!」
よく見たらそこにドアがありましたね
「知ってて殴ったよなおヌシ」
あれで帰れるんですか?
「まぁ、そのはずじゃ」
じゃあもう帰ってもいいですか?
「うむ、じゃがその前に……」
? まだ何かグハッ!
「じゃあのぅ~」
(ドアに吸い込まれた)