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永本悠

大学の授業を終え、1月の寒い風に打たれながら、一人暮らししている駅の近くのアパートに帰ると、私の部屋の前に人がいるのが見える。

誰だろうと、近づいても、知り合いでは無いような気がする。でも、確実に私の部屋の前に居る。

長身、黒い髪、ロングワンピースにニットのカーディガン。赤チェックのマフラー。

観察しながら近づくと、目があった。

「あっ」

その女の人は、驚いた顔をしてこっちを見ている。すごい綺麗な人だ。

私を知っているのか?私はやっぱり知らない。

「あのっ、松草さんですか?」

と、女の人は私に駆け寄ってきた。

「えっ、あ、はい」

私の名前は否定するまでもなく松草だったので、うなずいた。

それを聞くと女の人は

「私、斉藤夏実というものですが」

「はぁ」

「覚えてないですか?」

「えっ、」

知り合いなの??

「お、覚えてないです。すみません」

申し訳なく思いながらも、正直に白状した。

「そうですよね!あの私同じ大学の3年で、永本悠の知り合いなんですけど…」


永本悠…?


あ、キオのことだ!


一回だけ大学の講義を一緒に受けた時、キオは出席確認の紙に「永本悠」と書いていた。


「あぁ、キオ…永本君は今何処かへ行っていますけど…私も何処かは知らないので…」


とヘンテコな事を戸惑いながら斉藤夏実に伝えた。


「そうだよね。解らないよね。本当、何処にいるんだろうね。ふふっ」


と斉藤夏実は笑うと、



「私ね、悠のペットなの。」



と真顔で言った。



はっ?ペット?



「ぺっ、ペットですか?」


言葉が理解出来ず、頭に入ってこない。


「そう、ペット」斉藤夏実はニコッとした顔を作ってもう一度伝えた。


そして、


「あなたもペットよね?」


と仲間意識をむき出しにした顔をして聞いてきた。


わ、訳が分からない。


「え、そ、そうなんですか?」


彼女なのかも分からなかったし、


自信満々にそう言われてしまったから、自分はその「ペット」とやらなのかもしれないと思えてきた。


「うん。悠ペットいっぱい飼ってるよ!多分20匹はいるよ!」


に、20匹??


「えっと、全部、、人間ですか?」


恐る恐る聞く。


「もちろん!」


斉藤夏実はまたしても、自信満々に言う。


そして、


「突然訪ねてきてごめんね!ありがとう!他のペット仲間に聞いてみる!悠、、この頃あなたと居ることが多かったから、聞きに来たの!じゃあね!」


と、放心状態の私の横を、長い髪をなびかせて斉藤夏実は帰って行った。












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